第33話 テストプレイ ダンジョンマスターG ①
「ひーまひま、ひーまひまー♪」
「どっか出かけるか?」
「あちーし、いいわ」
とある土曜の昼下がり、俺とシュウトは自宅の大部屋でゴロゴロしていた。
「ちょっとシュウちゃん、昼間からゴロゴロして!」
すると、シュウトの嫁シュンカがご機嫌斜めな様子で部屋に入ってきた。
しかし、横回転ではなく縦回転でゴロゴロしていたのを確認して、「食後の運動ならヨシ!」と言って部屋から出て行った。
「食べてばっかじゃデブっちまうだろ。太ったら離婚だって、シュンカに言われてんだよ」
「そりゃ奇遇だな、俺の親父も禿たら離婚って言われてんだと」
そんな話を、ゴロゴロし続けながらしばらく続ける。
すると今度は、細井さん長井さんが部屋に現れた。
今日はダンGの調整会。それが終わったら、ゴモンとリズ様の対戦シーンの棋譜づくり。
俺はデスクから、何枚か原稿用紙を取り出し並べる。
これは、カードの背景ストーリーや設定を書き綴ったもので、ある程度まとめてネット上に公開していたものだ。
「おい、手を貸せシュウト」
「オレか? いいけど何すりゃいいんだ?」
「人海戦術。チェックする人数が欲しいんだよ」
「ふーん、人海戦術ね。んじゃ」
シュウトは足音を響かせて、部屋を後にした。
足音の方角から察するに、自分の部屋に戻ったみたいだった。
俺達は、カードを準備して待つことにする。
しばらくして、シュウトが部屋に戻ってきた。
「まったく、めんどうごとを押し付けやがるです」「店で買ってくればいいものを、わざわざ自分で作るなど理解に苦しむのですよ」
娘である、ミミちゃんナナちゃんも一緒だ。
「人数が必要なんだろう、暇してたうちの娘を連れてきた」
「暇ではないのです、イベントアイテムの周回で忙しいのです!」「取り逃したら次いつ手に入るかもわからないのですよ、まったく」
「まあそう言うなって、絶対面白いから、な。テイオー、こいつらオレの娘だからさ、構築やプレイングの腕は保証するぜ」
「どうせなら大きな大会に出たいのです」「景品も賞金も出ない戦いなど、非効率極まりないのです」
親に言われて渋々といった様子で、2人は席に着いた。
「ちゃっちゃと終わらせて、周回に戻るのですよ」「勝利条件とコストの払い方を教えるのです。それで大方分かるのです」
「まあそう焦るよな。まずプレイヤーはダンジョンマスターっていう、魔王みたいな存在だ。ここにあるデッキからカードを引いて、モンスターやアイテムなんかをーー」
「聞き飽きたのです!! カードゲームなんてどれも大体同じなのです」「ライフですか? シールドですか? 初手の枚数と開始時のドローは何枚ですか?」
「おいお前ら失礼が過ぎるぞ、わりぃテイオー」
「いいっていいって、じゃあこれとこれとこれ、この3枚がいわゆるライフだ」
俺は表面が黒いカードを2枚、白いカードを1枚2人に渡す。
黒いカードは、ダミーコアのカード。
白いカードは、ダンジョンコア(本物)のカード。
ダンジョンは,コアを破壊されると機能停止する。
いかにダミーにヘイトを集めて、本体を守るかが勝利のカギだ。
「その3枚を好きな順で並べてくれ、相手に見せないよう裏向きでな」
「並べる順番に意味はあるのですか?」「並べ順のセオリーは存在していますか?」
「無い! ただし白いのが本物で破壊されると負けだから、自分で覚えやすい場所がいいな」
「ごにょごにょごにょ……」「ごにょごにょごにょ……」
2人は何やら小声で相談を始めた。
「「では、わかりやすいよう真ん中で!!」」
「分かりやっす、おまけに相手に筒抜け!!」
「「しまった!!!」」
「……えっと、やり直されます?」
「いえ……このままで……」「このままのほうが早く終わるのですよ」
なるほど、賢いなこの2人。
「んじゃ、対面には……。」
「オレが入ろう、実際にやるほうがルールも覚えられるし」
「パパはクソ貧弱なので」「貧弱なので、我々に敗北はあり得ないのです」
めっちゃ、煽られてる。
しかもごく自然な形で、2対1で勝負する流れになってる。
「おいおい2対1かよ、卑怯だぞ」
「「我々、一心同体なので」」
「だったらこっちも助っ人だ、そっちの眼鏡のほう」
「私ですか? では失礼して」
シュウトと長井さんも、ダミーと本体をセット。
コイントスの結果、双子が後攻。
後攻はあらかじめ、1枚手札を引いた状態でスタートする。
続いて、先行のおなじみドローステップ。
「んじゃシュウト、1枚ドローしてくれ」
「おお! ドロォォ!!「あ、掛け声はガチャコーンか、ガッチャンでな。あとデッキをひねって横向きにするのも忘れるな」なんでだよそれ面倒くせえ」
言いながらしぶしぶデッキを横にひねって、カードを引いて見せた。
「このゲームのアイテムは、全部ガチャを回して出てくる設定なんだよ」
「ガチャ? ああだからデッキをひねったのか、ハンドル代わりに」
「そうそう、それで出てきた武器やモンスターでダンジョンを構築すんだよ」
空き部屋 レア度:0
フロアカード
(効果なし)
~フレーバー~
安物買いの銭失い。フロアは基本破壊されない。
少々高くても、よりよい部屋を用意してあげよう。
「……おいテイオー、フレーバーに馬鹿にされたんだけど。初のガチャがカスレアだったんだけど。なあオレ、こっから立て直せる気がしないんですけど」
「では、レアを引けなかったあなたには詫び石をプレゼント」
長井さんは追加でドローを行い、シュウトに渡す。
空き部屋 レア度:0
フロアカード
(効果なし)
~フレーバー~
安物買いの銭失い。フロアは基本破壊されない。
少々高くても、よりよい部屋を用意してあげよう。
「どっ、ちくしょぉぉぉ! またカスレアじゃねえか!!」
「ではさらに詫び石です」
レギルド第7騎士団団長 ジェスカード レア度:3
ユニットカード
パワー:4
ヘルス:6
【先制】【防衛】
~フレーバー~
「ええ、もちろん戦えますよ、こんな姿でも騎士団長ですから」
「うっし、レアカードゲットだぜ!」
「はい、これが最後の詫び石です」
「え、もうレア引けたんだけど」
「最初がカス当たりだったからな、最低保証ってやつだ」
カードにはすべて、レア度に対応した数字が記載されている。
0:フリー
1:コモン
2:アンコモン
3:レア
4:レジェンド
この数値の合計が最低保証の4点以上になるまで、ガチャは追加で回せる。
ただし最低保証の詫び石は、3回まで。それ以上のカス当たりは保証適応外だ。
「何をしているです、早く我々にターンを回すのです」「早くガチャを回させるのです」
双子に急かされるまま、次のステップの説明に移る。
「次は出撃準備ステップ。まずはさっき引いた空き部屋を配置しよう」
「えと、こうか?」
「そうそう、デッキやライフより前。ユニットやトラップはフロアの上にしか配置できない。引き当てたジェスカードを早速配置しよう」
「OK、最後の1枚はどうする?」
「それは魔法カードだから、戦闘フェイズで使う。今は使わないから持っとけ」
続いて戦闘ステップ。
「このゲームは、出していきなり攻撃できる。3枚のコアから1枚選んで攻撃だ」
「じゃあ真ん中を、ジェスカードで攻撃」
「これで1ダメージ、2点受けたらカードを表にしてダミーなら破壊、本物なら表にしてからさらに1点の合計3点で破壊ができる。そしたらゲーム終了だ」
「へぇ~、最速で3回、運が悪いと7回も攻撃が必要なのか」
「ああ、リーサルタイミングの読み間違いに気をつけな」
さらに詳しく言うと、アタックに対してユニットでブロックが可能だ。
ブロックが成立するとバトルとなり、互いのパワーの値をダメージとして与え合い、ヘルスが0になったユニットは破壊される。
さらにさらに連携攻撃、連携防御も可能だ。
2体以上のユニットで攻撃を宣言することで、複数体分のパワーで攻撃することができる。その状態でブロックされると、相手はパワー分のダメージを好きに割り振って与えることができる。
連携防御は、連携攻撃のブロック版。
複数体分のパワーを、攻撃ユニットに与えることができる。
「さて、これで普通ならエンドステップだが、ジェスカードには【防衛】スキルがある。攻撃してスリープの状態からウェイクにしよう。これで次のターンブロックに回れるぜ」
「おお、さっすがレアカード、便利な能力持ってんじゃねえか」
シュウトは、ここでターンエンド。
「ターン開始時、デッキとユニット全てをウェイクしてガチャステップからスタートだ」
「いよいよですね」「いよいよガチャが回せるのです」
続く
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