EX stage 5 命あるダンジョンコア
前回のEX stageはこちらになります
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「おーし乗ったか? 出発すんぞ」
「乗りました」
「乗ったで」
ゴモン、ミナカ、マキナの3名は、黄色の大地の支配者であるリズの元へと向かうべくワープゲートへと突入した。
竜化したマキナのアーマーに守られて、ゲート内はいたって静かだ。
「さてと六花よ、リズ様についてどんぐらい知ってる?」
「いわゆる生きてるダンジョンコアって奴ですよね」
「そうそう……もちっと詳しく話してくれや、失礼があるかもしれねえ」
ダンジョンコア、
それは土地の魔力を吸収しDPに変換する装置。
DPを消費する事で、ダンジョン領域を拡張し、そこにモンスターやトラップを配置したり、施設を建設したりしてコアが外敵に破壊されぬよう防衛していく。
本来はマジックアイテムの一種で、手にした人間に富と力を授ける存在ではあるが、リズ様は自分の意志を持ち行動する珍しい種類のダンジョンコアだ。
マキナは、モニターを展開する。
そこにはドレスを纏った女性、と言うには幼い少女の姿があった。
この少女は、タダの移動用ロボット。ドレスの胸元にあるブローチ、その中央にあるプチトマトのような宝石こそリズ様の本体ダンジョンコアである。
ゴモンがそこまで説明したところで、ワープゲートが大きく揺らぐ。
濁流にのまれるゴムボートのように3人は流され、気が付くとリズの居城の前にいた。
「でっっっかぁぁぁ、これ全部リズ様のダンジョンなん?」
はしゃぐミナカの問いに、マキナは首を横に振る。
「この宇宙全部だ」
「…………うちゅう?」
「ああ、リズ様のダンジョン領域はこの宇宙……それに連なる異世界も含めた超宇宙全域。この大地も、あの太陽も、その向こうに輝く星々も、そのずっと向こうの宇宙のそのまた向こうまで! 木も草も人間も空気も重力も!! 全て!!! リズ様の持ち物だ」
因みにいうと、さっきのゲートの揺らぎもリズ様の仕業らしい。
早くここにたどり着けるよう、リズ様が手招きしたんだそうな。
「話には聞いてましたが、実際に目にするとすさまじいっすね」
「まあな。けど、訳もなく消されたりはしねえから安心しな」
「そ、そっすか……」
ゴモンは身なりを確認したのち、城の門をくぐる。
門をくぐると案内人だと名乗る、色黒で頭の横から2本の角を生やした青年が姿を現した。名をマオウという、魔王ではなくマオウだと念を押された。
城の奥は石造りの通路が続き、青白い光が溢れていた。
DPで生成した、光る石で作られた通路だそうな。
「さあ、この奥がマスタールーム。この宇宙の制御室、そしてリズ様の仕事場になります。皆さまどうぞ中へ」
マキナが扉の鍵となる石をかざす。
すると扉は跡形もなく消え去り、その向こうには宇宙が広がっていた。
四角い部屋の中に立体映像が広がっているようで、きちんと床があり歩けるのだが、壁も家具も同じ宇宙色でできているので、非常に歩きづらい。
「こっから先は、コアルームの最終防衛ラインだ。この部屋の作りも防衛施設の一部だ、本番ではここにトラップと精鋭部隊が配備されて侵入者を殲滅する」
以前ここを訪れた事のある、マキナから説明が入る。
「お、いたいた」
広いマスタールームの中をしばらく行くと、やっと目当ての人物と出会えた。
リズ様はあちらこちらへと忙しなく走り回り、惑星の制御に精を出しているように見えた。
「焦げちゃう! わあどうしよう、わあどうしよう! 水、ででもぉ、わあ焦げちゃう、水! ででもぉぉお、むむむむ~えーい!(じゅわぁ~~)」
精を出しているように見えた――――だけだった!
リズ様はバーベキューセットの前で遊んでいた。
地球型のマシュマロを串にさし、火であぶっていたところに引火して黒こげマシュマロを作っていた。何度も失敗したのであろう、焦げたマシュマロがバケツの中に沈んでいた。
「あ~あ、また失敗だ。次こそは!」
そう言ってリズ様は、新たな地球型マシュマロを焼き始めた。
「あれリズ様……っすよね。何してらっしゃるので?」
「三寒四温撲滅作戦。懲りずにまだやってたのか」
「三寒四温……」
「おうよ、熱くなったり寒くなったりせず、ピタッと1日おきに気温を合わせて次の季節を迎えようって計画さ」
「え? あれってあんなバーベキューセットで調整してたんですか?」
「まあ担当する神によっては、エアコンの暖房だったり、フライパンだったり、摩擦熱だったりいろいろだな。だがこの数億年間、三寒四温に抗えた神は存在しない」
「そんなに難しいんすか?」
「ああ、太陽との距離、地表からの照り返し、海面の蒸発からくる湿度や気圧の変化、それらを常に計算し温度調節しなきゃならん。失敗して星を火だるまや氷づけにするリスクを考えれば、暑さと寒さを交互に繰り返して様子見ながら合わせていくほうが何倍も分かりやすい」
「あーオーブンを連続で使うと、2回目から焦げちまうあれっすか」
「そうそう」
なんて話をしている間に、マシュマロは3個も焦げてしまっていた。
実験だから良い物の、これを本物の星でされたらと思うとゾツとする。
「さてと……おーい、リズ様」
「室温が悪いのかしら、それともやっぱりタイミング? くしで刺さずにトングで挟んだ方が……って、はいはい、どうぞこちらへ」
ゴモン達の存在に気が付いたリズ様は、そそくさと準備を始める。
室内に新たに用意されたテーブルとお菓子、それを挟むように両陣営は席につく。
続く
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