第29話 子供だからと侮るなかれ
「ふい~食った食った、じゃやろうぜ」
「その前に手を拭けよ、俺このダンボール返して来るから」
「んあ? 移動すんのめんどいし、このままやろうぜ」
「大会終わったんだろ、借り物は早めに返したいたちなんでね」
そう言って俺はシュウトを対戦スペースに追い返すと、店から借りていたダンボール箱を元の場所に帰してから対戦スペースへと戻った。
「なあなあおっちゃん、次オレにもそれやらせて」
「お、いいぜ席につきな「ダメだ! 時間が勿体ねえ」」
席に戻ると細井さんが、ジェムストを体験したいとせがんできた。俺はそれを快く受け入れようと思ったが、対面に座るシュウトはそれが不満なようだった。
「次、いつテイオーに会えなくなるかもわかんねえんだぞ! 今日の時間は全部オレが貰う!」
「ん、ああ、そのへんはもう大丈夫だ、俺にもいろいろあったんだよ。心配なら、今から連絡先交換しようぜ」
「……おう……けど今日はいいだろ、久々に会ったんだから」
断固として、シュウトは席を立つつもりがないようだった。
プレイヤーを増やすいい機会だと思ったんだけどなぁ(ただでさえ人口少ないのに)
「「宝石ギャザーアップ!!」」
俺はカードを広げて、開始の宣言をする。
「俺のターン、先行ドロースキップ、ジェムを2チャージ、んでもってそのジェム2枚でモンスターを2枚セット。この2体は次のターン開始時に表返る」
「ちょちょ、なんだよゲームのチュートリアルみたいに」
「ああ、こいつらにジェムストを見てもらおうと思ってな」
俺は、細井さん長井さんに視線を向ける。
「見たってどうせ分かんねえよ……分かってんだろ、ジェムストが流行らなかった理由、ゲームが複雑すぎたせいだ。こんな難解なゲーム、令和の今にだってお目にかかれねえ。ましてや、そんな子供に……」
「俺はそうは思わねえ」
シュウトに対して、自信満々にそう告げる。
「俺達がジェムストに出会ったとき、俺らはまだ小学校低学年だった」
「そりゃあ、ゲームのキャラ達に教えてもらったからで、攻略本だって」
「そうだ教わりゃできるんだよ。ジェムストはルールが複雑なんじゃあねえ、手札やジェムのリソース管理、伏せカードを看破する知識、すなわちプレイングやテクニックが重要なんだ」
「けど……こいつら女子だろ「あらぁ? 女だから、なに?」」
俺とシュウトの会話に、シュンカの奴が割り込んできた。
「いつもデッキのチューニング中に、カードのコンボやシナジーについて私に質問してたのはどこのどなただったかしら?」
「……すみませんでした」
「分かればいいのよ」
まあ、と俺は話を仕切り直す。
「こいつら2人は、結構でかい大会にも出て経験積んでんだ。一回やって見せれば、結構いい線まで行くと思うぜ。な」
「……お、おう、任せとき!」
細井さんは早くも、ルールを理解しようと盤面に集中していたようだった。
そんな彼女に急かされるように、俺はゲームを先に進める。
先行1ターン目のアクションを終えた俺は、シュウトにターンを渡す。シュウトも俺と同じようにモンスターをセットしてターンが返ってきた。
「俺のターン、ドロー&3チャージ。そして、セットされていたモンスター2体を召喚」
俺は事前に伏せていた、モンスターカードを表返す。
「そして、今さっき手に入れた3つのジェムを使用して、片方をレベル3にアップ」
「レベルアップ!? ホンマや、テキストにパワーとかレベルとか書いとる!」
「そうだ、このジェムは魔力が込められた魔法石だ。プレイヤーは、このジェムの魔力を使用してゲームを進めていく」
俺は言いながら、レベルを上げた側のモンスターで攻撃を宣言。
シュウトのライフを2つ削る。
「ジェムはモンスターの召喚で1つ使用する、さらに効果起動やマジックそしてモンスターのレベルアップ、これらはカードの種類によってジェムの消費量が異なる。これらを駆使して、相手のライフを0にしたほうの勝ちだ……な、簡単だろ」
「…………ほえ、そんだけ? なんか単純すぎて拍子抜けやな」
「ああ基本はな。おもしれえのはこっからだぜ」
続く
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