表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/58

第23話 漫画家とネタ帳

 ピコン♪


「お? もう動画完成したのか、どれどれ……」


 撮影開始の宣言から数日。

 俺は動画告知用のイラストをと、知り合いの漫画家に依頼の電話をしていた。

 すると、対戦動画用に新設したチャンネルに通知が届いた。


「悪ぃ陽太先生、さっきの告知イラストの話、応援イラストに変更で」

「変更なら、高くつくぞぉ~」


 受話器の向こうのぬぼっとした声に、俺は「いくらだ?」と返す。

「カップ焼きそば1週間分。夜食切らした」

「へいへい、今度持って行く」

「ん」

 と愛想のないやり取りを交わす。


 いつもの3倍盛りでいいか? 

 と聞こうとしたら、受話器の向こうから細井さんの声が聞こえてきた。


「なあ、今動画見てるか?」

「タコにも」

「なあ、どうせなら一緒に見ようぜ」

「ええ~~~メンド」


 文句を言いながら、マイクを接続する音が聞こえてきたので、俺も準備をして一旦電話を切る。

 

「んじゃ、3・2・1・再生」




『や~、いっぱい買っちゃったね』

『せやな~、なあな、これめっちゃ可愛ゆない?』

『ですです』


 動画を再生すると、細井さん達が買い物するシーンから始まった。

 各々が服やアクセサリーなんかが詰め込まれた、紙袋を手にしている。


『あ、あそこにファミレスがあるよ、何か食べていこうよ』

 コハクさんの提案で、店へ向かう一同。



 ――ドン!!

 そして、始まるカードバトル。

 テーブルにプレイマットを敷き、バトル開始に準備は万全。



「いや、待て待て待て待て! 唐突!!! 飯食うんじゃなかったのかよ!?」

「兄貴、うっさい!」

「すんません」



 スタートの合図と同時に、パリンと背景が砕け散る。

 真っ黒だった背景が色を取り戻すと、そこは遥か上空にある天空ステージ。

 木製だったはずのテーブルも一転、半透明なプレイボードへと変化した。


 カラカラカラ~

 と、10面ダイスを2つロールする。


『オレのターン、ドロー』

 ダイスの結果、先行を勝ち取った細井さんがゲームを進める。

 

『行け』

 そう指示を飛ばすと、5つある場の1つからユニットが出現する。


略奪忍者 ステイル

キャパシティ:2

   パワー:1

  サポート:3

  ダメージ:1

・このユニットが相手にダメージを与えた時、1ドロー。

 ~フレーバー~ 

 冒険者ギルド管轄、初心者ダンジョンを徘徊するモンスター。ポーションや毒消し草をかすめとりる彼からは、アイテム管理の大切さを学ぶことができるのだ。


『さらにカードを2枚セット、これでバトル』


■□●□■

 ●にはステイルが、■にはセットカードが配置された。

 □の空きスペースが2つあるが、このターンは使わないらしい。


『ステイルで攻撃! これが通れば1ドローや!』

『それはまずいね、リアクション! 回避!』


回避

リアクション(手札からいつでも使える)

・自分への戦闘ダメージを0にする。



 ステイルが刀を握り、ミカに切りかかる。

 しかしそれは残像であり、背後から銃口を突きつけられたステイルは自身の不利を悟ると、銃口から逃れるように身をひるがえし自軍へと帰還した。

 これで、細井さんのターンは終了。


『ボクのターン』

 ミカはルールに従い、カードを2枚ドローする。


『超合体魔人ガイザードをセンターに!』


超合体魔人ガイザード

キャパシティ:2

   パワー:6

  サポート:0

  ダメージ:2

【発進4】(パワー4以上のユニットから支援を受けていなければ、このユニットのパワーは0として扱う)

・このユニットが場にある間、【操縦】を持つ後列のユニットは攻撃されない。

 ~フレーバー~ 

 見習いヒーロー ケイトの相棒ロボ。あらゆるヒーローロボとの合体を可能にする、変形機構を持つ。しかし、実績のない彼らとの合体を承諾してくれるヒーローはまだいない。


『そしてその相棒、ケイトをレフトに!』


見習いヒーロー ケイト

キャパシティ:0

   パワー:1

  サポート:2

  ダメージ:0

【操縦4】(このユニットが【発進】を持つユニットを支援するとき、このユニットのパワーを4として扱う)

・ターン終了時、このユニットはリブートする。

 ~フレーバー~ 

 青の文化圏、ニューヒーローシティで暮らす女の子。普段はスクールに通いながら、相棒のガイザードと共にヒーローを目指して活動中。


『さらに、見習いリポーター サティをライトに』


見習いリポーター サティ

キャパシティ:1

   パワー:2

  サポート:3

  ダメージ:1

【操縦4】(このユニットが【発進】を持つユニットを支援するとき、このユニットのパワーを4として扱う)

 ~フレーバー~ 

 青の文化圏、ニューヒーローシティで暮らす女の子。とある事件をきっかけにケイトの追っかけを始めた彼女は、相棒のモッフンと共に今日も空を駆け回るのであった。


 2人の少女達は、ガイザードの操縦席へと乗り込む。

 これでガイザードが破壊されない限り、2人の安全は約束される。


『さて、これで準備完了。バトル!

 ケイトの支援、ガイザードでステイルを攻撃!』


 ガイザード:パワー6

     +        

 ケイト:サポート3

     =

 ガイザード:パワー9


『ステイルのパワーはたったの1、この攻撃は防げない!』

『防げんのなら、かわせばええ! オープン!』


馬鹿め、そっちは本体だ!!

サプライズ(場に伏せて条件を満たした時使える)

・自分のユニットが攻撃されている時に使える。

・その攻撃を無効にする。

・ライフを2払う事でこのカードをセットし直してもよい。


 ステイルは、変わり身の術で攻撃を回避。

 回避した背後には細井さんが立っており、ガイザードのタックルが直撃する。


 細井さん:ライフ10→8


『そのカードは厄介だね、破壊させてもらうよ』


 今度は、サティで攻撃。

 彼女の相棒、雨雲のもっふんと共に天高く飛びあがると、セットされたカードに向けてカミナリを落とし破壊する。


『ケイトはリブート、これでターンエンド』



「なるほどな、細井さんは魔王のダンジョンデッキ。ミカの方はロボヒーローデッキか……なあ、また音がずれてねえか陽太先生?」

「動画止めて、テキスト確認しとる」

「後にしろよ! 今は対戦に集中しろよ」

「え~~テキスト確認せんと今のまんじゃと


・ライフは10点

・ドローは2枚(先行は1枚)

・フィールドはユニット・サポートカード共有

・伏せカードはアタックで破壊可能

・バトル中は支援ユニットで支援が可能

……ぐらいしか分からんし」

「分かりすぎだろ! まだ2ターン目やぞ!」


 モニターの向こうから、

「またわし何かやっちゃいました?」

 みたいな顔が透けて見えるようだった。

 こいつの超速理解、小学生の頃から変わってねえ。


「後、キャパシティってあるだろ?」

「あるな」

「それの合計が5を超えないように配置しないとダメなんだ」

「ふぅ~ん、コストみたいな」


 質問に答えると、更に他の質問が飛んできた。


「なあなあ兄貴」

「なんだよ?」

「このニューヒーローシティってどんなとこ?」

「ん? 町全体が映画や特撮の撮影スタジオになってんだ。学校の窓の向こうで、怪獣が暴れてたりヒーローが空飛びまわってたりすんだよ」

「うっわ迷惑! 住人らの苦情すごそう」

「それ前提で暮らしてるしなw。それと映画とは別に、役者じゃない本物のヒーローが悪人退治したり救助活動する姿を報道ヘリが中継したりで、まあ騒がしい街だよ」

「このサティって子が目指してんのがそれか?」

「そうそう」

「へぇ~、あの忍者にもなんか設定が?「あるある、ありまくるよ」」


 俺がそう答えると、先生からため息が。


「兄貴すごいなぁ、わしそんなに設定思いつかんよ」

「おい漫画家」

「わしの漫画パクリばっかやわ、漫画読み漁って、アニメと映画見て知り合いにネタがないか走り回って、それの継ぎはぎ」

「それパクリちゃう、ただのインプットや」

「ほんまに?」

「お前の胃袋は肉と野菜別の袋に入んのか? 違うだろ全部一緒こただろ、ネタも同じで見たもの聞いたものが頭の栄養になるんだよ」


 俺がそういうと、モニターの向こうからカリカリと音が。


「何の音だ?」

「今のセリフメモしとる――お前の胃袋は……」


 俺は思った、

 こいつはなるべくして漫画家になったんだと。


 続く

少しでも面白いと思っていただけたら、↓の☆で評価してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ