第3話 決着!
「え~と、先生ここは?」
「ここはだなあ――――」
長井さんはルールブック片手にゲームを進めていく。
「では、この子で細井さんにアタック!」
「アタックの時はカードを横向きにするんやで」
「え、え? そうなんですか!?」
「ああ、そこに書いて……ないな。悪い」
長井さんをテストプレイヤーに選んだのは、思った以上に正解だった。
自分1人で作るときより、横でティーチングしながらプレイするときよりもルールの穴やルールブックの記載漏れがよく分かったからだ。
例えばさっきの攻撃方法について。普段やっているゲームでは攻撃=横向き、ダウンやレストと呼ばれる状態にするのが常識だったため、ルールブックにその事を記載し忘れていた。
「おっしゃあ! チャンスカードや、これでその子を破壊や」
「えええ! チャンスカード、そんなものが……これってタダなんですか?」
「カードによって違う、それはただで使える奴だ」
「う~ん、(手札を見比べながら)よく分かりませんねえ」
「……すまん」
そしてチャンスカードについて。
いわゆるダメージトリガーって奴で、ダメージを受けるとカードによってさまざまな効果が発動する。俺はいろんな種類のカードを作りたかったから、カードに効果の内容は勿論コストの支払い方までさまざまなバリエーションを作ったが、それらを判別する記載方法になっていなかった……反省。
「使ったカードは墓地にはいかないんですか?」
「ほらここ見てみ、能力を使うってあるやろ。プレイすると能力を使うで使い分けてんねん、ほらダメージの回復にも使えたら強すぎるやろ」
「なるほどぉ」
そして、意外と忘れてそうなルールについてはQ&Aの欄に記載があった。
デッキ全部を、回復系チャンスカードばかりにされないように種類を分けたんだったかな(そこはナイスだ過去の俺)。
「さてと、この子は破壊されちゃうんですよね」
長井さんは、何か策はないかとページをめくる。
「あ、ありました! ではこの子をコストに……
『ロケットランチャーはっしゃー!』」
カードの使用コストには素材の他に、少し勿体ないが自身のエースをコストにする事が出来る。長井さんはそのことが記載されたページを見つけ対応して見せた。
ロケットランチャーはっしゃー!
コスト1 魔法カード
自分メインフェイズ中か相手がアタックした時またはカードか能力が使用されたときに対応して使える。相手エースに3ダメージ。
(チャンス!)このカードの効果を使う。
ロケットランチャーの効果で、細井さんの小型エースが粉砕された。
細井さんはふふん、と笑みを浮かべ思考する。実は今のカードは対応して使わず、次のターン防御に使ったほうが得だった……みたいなことを考えているのだろう。
俺はメモ用紙と、過去の自分が書いたルールブック(もどき)を手に試合の観戦を続ける。ゲーマーとしての腕と経験値は細井さんがはるかに上、試合は細井さん優勢で進んでいった。
そして、決着の時が来た……。
創世神竜 エクス・マキナ
コスト4 エースカード
攻撃:8
防御:6
手札を1枚捨てるとコスト2として場に出せる。
[デウス・エクス・マキナ]
自分のデッキを10枚破棄する、相手の場のカードを全て除外する。
「喰らえ! デウスゥゥエクスゥゥマキナァァァァァ!!」
「うびゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
テストデッキ最強のエースの登場で、長井さんの場は全滅した。
負けじと用意していたカードで対応するが……。
「効かん! 『筋肉は全てを解決するーー!』」
筋肉は全てを解決するーー!
コスト1 魔法カード
このカードは時が停止していても使える。
自分の場のカード1枚をこのターン中、無敵にする。(無敵になったカードは決して場を離れない)
――カキーン!
と音を立てるように、長井さんの対応策は空振りに終わった。
細井さんの場には、エクスマキナと筋肉に守られたもう1枚のエース。
それらがシールドを破壊し、最後の一撃が長井さんの喉元に迫る。
「ううう、やっぱり負けると悔しいですね……テストプレイでも」
1枚2枚とダメージチェックを行う長井さん。最後の1枚をダメージゾーンに置き終わり終了の挨拶をしようと頭を下げたところで、彼女の動きがぴたりと止まった。
視線の先には、最後に置かれたダメージカード。
因果両断殺
コスト3 魔法カード
相手のコスト3以下のエースを破壊する。
効果解決時、対象のエースが場を離れていなければ相手はゲームに敗北する。
(チャンス!)このカードの効果を使う。。
その1枚は、彼女のピンチを救う起死回生の1枚だった。
このカードは相手を破壊し、破壊に失敗すれば相手は敗北する。そして細井さんの場には筋肉によって守られたエースが場に存在している。
つまり――――
「はぁぁぁああ、デスティニィィィスラッシャャァァァアアアアアア!!!!!」
「そんなんありかぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」
[……GAME SET……]




