第22話 監督のお仕事
前回のあらすじ、
特撮カードバトルドラマを撮影する羽目になった……。
「よし! 細井さん、今からお前に現場監督を任せる!」
なので全部、他の奴に丸投げる事にした。
「♪ふふんふ~ふふんふ~」
――スポッ
姿見の前のピンクピンク―から、桃色のウィッグをはぎ取る。
「よし! 細井さん、今からお前に現場監督を任せる!」
「わわ! お、オレが……監督っ! ……なら、おっちゃんは?」
仕事だよぉ。大人は遊んでばっかじゃいられないのよぉぉ。
「お、俺は広報担当だ、告知とかやるから撮影は任せた」
「そっか~、分業って奴やな」
「そうそう」
という具合に丸投げに成功した俺は、細井さんに機材の使い方を教えて現場を後にする。
え、広報? ま、徹夜で何とかするさ、昼寝しながらなw。
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「んじゃ始めよか、クロユナの撮影」
「え? エースオブワンでは?」
「予定はエスワンやったけど、せっかく撮影やるならもっと画面映えするゲームの方がええんちゃうかと思てな」
「確かに……でもでも、今日は他のカードは」
「せやな~……えっと、Kちゃん」
細井さんに言われ、ミカは持ってきた荷物をテーブルに広げる。
そこには、今まで作りためてきたゲームが勢ぞろいしていた。
①エースオブワン
エースデッキから常に、ユニットを呼び出せるのが特徴。
コストとなる素材カードの引き運で、ゲームの流れが左右される。
②トレード・トレーナー
3×3のフィールドに、キャラクターをそろえて点数を競う。
戦闘のかわりにアピールを行い、相手のキャラを味方に引き込む事で妨害と役作りを進めていく。
③Xーユナイト
モンスターとプレイヤーがユナイト出来る、ユナイトカードが目玉。
合体や必殺技といったド派手なカード群による豪快なバトルが楽しめる。
④ダンジョンマスターG
自身がダンジョンマスターとなり、敵ダンジョンを攻め落とすのが目的。
モンスターを配置するフロアを、0から構築する事が可能。
以上4つが、現在プレイ可能なカードゲームである。
「あれ? コマVは? 見当たらんけど……」
「えっと~~、コマンダーVSは……うっ(涙)」
コマンダーVSは、残念ながらお蔵入りとなっていた。
ゲームシステムに、致命的な欠陥が見つかったのだ。
「ごめん……どこを直せばいいか分かんなくて……」
「先生はなんと?」
「1から作り直そうって」
「ほ~ん、また没ネタが増えてもうたか」
まあよくある事やし、と細井さんは目当てのデッキを手に取った。
「そいじゃ、皆の衣装合わせして、各シーンの撮影を始めよか」
「えええ? あの、一体どのような撮影をされるのですか?」
「それは追々とな。大丈夫、やる事は全部頭ん中にあるから」
――ボスンッ
部屋を出ようとする細井さんだったが、出入り口の前で何かにぶつかった。
「うちの商品を……無断で使ってんじゃねえニャァアアア!!!」
「ひぃぃぃ!」
そこにいたのはこの店長の娘の1人、七村ニーナさんだった。
彼女は足の悪い店長に変わって、店を切り盛りしている。
「どどどど、どうぞ……こないな企画を予定しとりますすす……」
細井さんはパソコン画面を片手に、概要を説明する。
細井さんは、近所のスポーツ公園やバイクのコースを利用して、アクションシーンを撮影しようと予定していた。
「え、細井さん……流石にそれはダメなのでは……」
「そうだよ、借り物でそんなアクションシーンだなんて……」
「え、ちょ! 100億再生は! 世界初は!?」
「「物事には限度って物があるでしょう!!」」
長井さんとミカ、2人のツッコミにぐうの音も出ない細井さん。
「ふむふむ、なるほどニャ」
「で、どないしましょ……」
「OKだニャ」
恐る恐る尋ねる細井さんに、ニーナさんは満面の笑みで答える。
「本当に!」
「「嘘ぉ!」」
「ただし条件があるにゃ~。このままだと衣装が汚れちゃうので――」
そういって案内されたのは、店内の写真スタジオ。
長井さん達やその家族も、七五三や成人式でお世話になった場所だ。
「背景を外で撮影して、ここでポーズだけ合成すればいいにゃ~」
「おおお! マジでええのん、こんなに至れり尽くせり!?」
「当然ニャ!」
ニーナさんの口角が、ニヤリと吊り上がる。
「貸衣装屋を始めて数十年……こんなに素敵なモデルさん達のコスプレ撮影が出来るなんて、またとない機会ニャ! 余すことなく、撮って取って撮りまくるニャーーー!(ハアハア)」
「お、おお……」
何かとんでもなく危険な人物に、目をつけられたのではないか?
そう思わずにはいられない、細井さんであった。
続く
補足
新キャラの、七村ニーナさんの語尾は彼女の活舌が原因。
「七村」を「にゃにゃ村」としか発音できない彼女は、それをごまかすために語尾キャラとして生活しています。
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