エピソード・シルバー 第0話 抜錨
人類が、地球によく似たこの惑星に誕生してからしばらく。
前人未到未開の地に、それはいた。
『フェフェルフォフォフォ~♪』
『な、なんだこいつらは!』
緑の細長い体、黒い斑点模様、そして触覚。
巨大な芋虫のように見える彼らは、初めて目にした人類に対して有効的な態度を示した。
キルモーフ。
彼らとはこの後、犬や猫と並び人類の友として歴史を歩んでいく事となる。
――月日は流れ現在。
時に労働力として、時に愛玩動物として、時代に合わせてその姿と役割を変化させ続けてきた彼らに、再び新たな役割が与えられていた。
「あ~あ、ついにどこの雑誌からも俺の名前が消えちまったか……。はぁ……結局俺の知名度は、事務所由来だったって事っすか、へいへい」
男が1人、公園のベンチでスポーツ誌を広げ嘆いていた。
上を見上げればそこには、巨大なモニターの向こう側でサッカーにいそしむキルモーフ達の姿があった。
キルモーフスポーツ(縮めてKスポーツ)。
それは、スポーツ選手として育成されたキルモーフ達によって、執り行われる新時代エンターテイメント。
その活躍は各メディアで大々的に取り上げられており、試合会場での生観戦は勿論テレビやネット配信を通じて、人々はキルモーフ達の活躍に一喜一憂する毎日を送っていた。
名だたる企業やグループは、自社の広告塔となるスター選手を生み出そうと躍起となり、多数のキルモーフ牧場やトレーナーへの投資が行われている。
「いかんいかん、そうだなんかうまい飯を食おう! 腹が減るから気が滅入るんだ、飯食ってそれから次の就職先を探そう」
男は昼食を取ろうとベンチから立ち上がり、飯屋を探して歩き始めた。
彼の名は、竹林ミノル。
キルモーフ達を育成し世に送り出す現代の花形職業、キルモーフトレーナーを生業としている男だ。
彼は先日、所属していたトレーナー事務所から独立。
その矢先、トレーナ契約を結ぶ予定だった企業が軒並み資金難に陥り、キルモーフ産業から手を引く事となった。
結果ミノルは仕事を失い、独立早々無職となった。
数日前まで、名将竹林・若きレジェンド等々、ニュースでも取り上げられキルモーフ界に知らぬものなしと呼ばれる名トレーナー…………の、はずだったのだが、今は仕事は勿論取材の1つもありはしない。
「(モグモグ)くっそ~、天下の竹林様が暇してんだぞ、なんで誰も取りに来ねえんだよ(ガツガツ)俺雇ったらあれよあれ(ごきゅごきゅ)そう銭ジャブよ銭ジャブ」
愚痴と料理を少々口から零しながら、竹林は腹を満たす。
なぜ仕事が来ないのか、その理由を店を出た直後竹林は理解した!
「あっ、事務所の広告に書いてねえわ、連絡先……」
なんだなんだ、と胸を撫でおろし竹林はバスに乗り込み帰路につく。
安心の為か食後の満腹感からか、彼はうとうとと眠りに落ちた。
彼は気が付かなかった、乗り込んだバスの違和感に。
彼が異変に気が付いたのは、肌寒さで目を覚ましてから。
彼が乗ったバスは、月明かりが照らす森の中で停車していた。
「……ほぇ、ここ終点っすか? あ、降ります降りますよぉ~」
寝ぼけた竹林は、薄暗い車内を手探りで進んでいく。
「あ、すんません運転手さん、駅の場所……それか宿泊施s、わっ!!!」
竹林は、運転手の顔を見るなり飛びのいた。
何故なら、その運転手の顔が白一色に塗りつぶされていたからだ。
運転手は座席から立ち上がり、竹林へと迫る……。
「わ、わ、わ、わ。ドッキリ! そうだドッキリ番組だろこれ!! もしも~し、スタッフさぁぁぁん! もう十分でしょ、ネタ晴らしぃ! ネタ晴らし、早くぅ!!」
竹林の期待に答えるように、運転手が変装を脱ぎ捨てる。
メリメリと……
白塗りの顔……ではなく胴体が真っ二つに裂けて、中から白い物体がずるずると這い出してきた。
「ギャーー!! ギャーー!! ギャーー!!!!!
あ、あ、あ…………あ、シルバー?」
「フェフォ」
変装を解き、中から現れたのは1匹のキルモーフ。
白い毛並み、つぶらな瞳に、ぺろっと飛び出した舌。
シルバーレクイエム、
かつて竹林が調教を受け持ったキルモーフのうちの1匹だった。
彼はキルモーフ競馬の選手として大活躍し、賞金王として君臨。
人は彼を、『120億の男』と呼ぶ。
現在は選手を引退して、シルバー牧場にて余生を過ごしている。
「お、おう……シルバー、元気そうだな、はは」
「フェッフォフォ」
いまだ事情が呑み込めない竹林だったが、目の前に知り合いが現れた事で少しだけ冷静さを取り戻す事が出来た。
「で、これはどういう状況だ、やっぱドッキリ番組? それともまさか、俺に仕事を依頼したい……ってわけじゃないよな?」
シルバーは竹林の質問に答えるかわりに、数枚の書類を取り出す。
竹林は、渡された書類に目を通す。
車内は暗くて読みづらいので、2人はいったんバスから降りた。
「Oh……まじかよ……」
その内容は、竹林の予想通り仕事の依頼書・契約書だった。
シルバーが今度はサッカー選手を目指すので、チームの面倒を見てほしいという話だ。
「悪いけど、この牧場の規模と施設でチームスポーツは無理だぜ、せめて個人競技ならギリギリ何とかって感じか……」
竹林は、渡されたペンライトをシルバーへ返す。
それを受け取ったシルバーは、小さな明かりを頼りにバスの修理を続ける。
しかし、ペンライト1本では手元が良く見えず、シルバーは修理を見送って竹林へと向き直った。
「フェフォフェフォ、フフフフフゥゥ!」
「無茶言うなって! それじゃあ俺1人で予算管理も、人の手配も全部やる事になっちまうだろうが!」
「フェッフォフォ、フェッフォ~」
「……頑張れだって、お前ならできる……だと。ふっざけんな!
――――ああできるよ、今までずっとやって来たんだから、事務所の無茶ぶりに答えてな! 報酬がいいからって、自分で面倒見れねぇ仕事まで引き受けてきやがって、そのしわ寄せの帳尻を全部見繕ってきたんだ今まで!! もうたくさんなんだよ、無茶苦茶に付き合わされて、狭い橋を渡んのは……だから俺……事務所辞めて独立したんだぜ」
「フェフォ、フェフォフォフォフォ、フェヴゥ~~!!」
「て、あるは家ぐらい! 家賃に困るほど安い報酬貰ってねえよ!」
「フェフォ???」
シルバーが話すには、オーナー仲間から竹林の独立と担当牧場の倒産の話を耳にしたシルバーは、急ぎ竹林を探す事にした。
人間の事情を知らないシルバーは、仕事も受け入れ先も無くなった竹林が自分達キルモーフのように処分されてしまうと思っていたようだ。
丁度プロスポーツの世界に戻ろうと思っていたので、昔のように竹林に面倒を見てもらえば一石二鳥だと考えた。
街中で竹林と鉢合わせたシルバーは、そのまま彼をバスに乗せシルバー牧場へと進路を取った。
しかし、牧場へと戻る山道半ばでバスが故障。
すでに日は落ち、自分の足で進にも故障を直すにも、朝を待つべきだと判断し現在に至るという事だそうだ。
因みに起きがけのドッキリは、シルバーの遊び心。
頃合いを見て、運転席で待ち構えていた。
「じゃあお前……俺を心配して……」
「フェフェルフォフォフォ」
「…………」
「…………」
「へ~~~。んじゃ、ロードサービスでも呼びますかな」
「フェフォフォ!」
「……悪い、充電キレてら、連絡待ちでずっと持ち歩いてたもんでな」
「チョペパポ~~……」
という事で、竹林とシルバーの2人は車内で夜明けを待つ事にした。
竹林は、持っている着替えやタオルを着込んで夜の冷え込みに備える。
「あ~まさかまた森の中で過ごす事になるなんてな~」
ベッド代わりの座席で伸びをしながら、竹林はわざとらしく呟く。
「フォ?」
「あ! お前忘れてるな。あれだよあれ、海外遠征の時にお前俺を放り出して1人で走って行っちまっただろう!」
「…………フェフォ?」
「な! マジで忘れてんな、俺あの時ガチで死ぬかと思ったんだぞ! 見知らぬ森の中、1人で地図やコンパスも連絡手段もなしで!!」
「すぴ~zzz」
「寝たふりでごまかすな!」
そして、お互いしばしの沈黙。
「あのさシルバー、やっぱ毎日お粥三昧なのか?」
「フェフェルフォ」
「ははは、やっぱそっか。お前汁ものと一緒にしないと、食おうとしなかったからな。おかげでお前を世話するスタッフ全員、3食お粥暮らしだったんだぜ」
「フェ~~~」
「ま、うまかったからいいんだけどさ、あの塩加減が仕事疲れにしみる事しみる事。そうだ、ファームに戻ったら1杯食わせてくれよ」
それから2人は久方ぶりの再開という事もあり、昔話に花を咲かせる。その姿はまるで修学旅行に興奮する子供のよう。
話し込むうち、次第に眠気が訪れはじめた。
「……あのさシルバー、聞いてくれるか」
いつしか話す事がなくなり、お互いに沈黙の時間が増えていった。
そんな中、竹林は少ししんみりとした様子で話し始める。
「俺はさ、結構自分に自信があったんだ。名将竹林、若きレジェンド、時代の先導者……他には、才能の土木建築業者なんてのもあったか……全部、雑誌のキャッチコピーさ」
「フェフォzz」
「こんだけ有名なら仕事に食いっ逸れる事はないだろうと思ってさ……前の仕事は辞めた。けど今はこのざまさ……待てど暮らせど仕事は来ない、それどころか心配して連絡を寄こす奴もいない……結局俺は、世間に持ち上げられてただけの一般トレーナーだったってのがよく分かったよ」
「フェzzzzフェzzzzz」
睡魔に身を任せて竹林は、シルバーと同じく目を閉じる。
シルバーから渡された書類を、しっかりと抱きしめながら。
――
――
――
――
――
――
「ミーーミ、ルーーーーミノル!」
「うわっ!」
突然何者かの呼び立てられ、竹林は飛び起きる。
「誰だよ……まだ夜中……うわっなんだよここは!!!」
竹林は飛び起きてすぐ、今度は跳ね上がった。
満月が輝く夜。
何故なら竹林は、知らぬ間に海の上、金色に輝く船の上にいたのだから。
「ようこそミノル、ここは僕の本体の上さ。どうだいかっこいいだろ?」
「……シルバー? ……お前……僕っ子だったのか!?」
「そこかい! そこなのかい!? ほら、他にもっと驚く事があるだろう、
ほら!!」
竹林はいつの間にか見知らぬ船の上におり、シルバーが人の言葉を発しているこの状況下で痛く冷静でいた。
「驚きたいのはやまやまなんだけどさ……。お前が自分を僕って呼ぶ方が俺に取っちゃサプライズだよ。だってお前、俺様キャラじゃん、レース前なんか周りの奴らに蹴り入れに行ってたし」
「…………それもそうか」
レースを引退してから、シルバーは丸くなったと言われる。
ネットの書き込みでは、レースのストレスから解放されたからでは?
との説が最有力候補だ。
「で、わざわざこんな大層な場所に呼び出して、何の用だ?」
勿体つけるような前口上の後、シルバーは語り始めた。
「僕はねミノル、不幸な結末を迎えるキルモーフ達を救いたい、そのために今の今まで生きてきたんだ」
「おうおうおう、いきなりそんな大層な」
「ミノル……君は仕事もなく、誰からも見捨てられたキルモーフ達がどんな結末を迎えるか知っているかい」
「……あ、ああ、勿論……全部が全部ってわけじゃないが」
竹林は、自身が着込んでいるキルモーフ模様のシャツを握りしめながら答える。
「そうだ、それが僕が走る理由……だった。走って走ってレースで活躍すれば、人が大勢集まってより多くのキルモーフ達に活躍の場が与えられる……そう思っていた」
だが現実は違った。
シルバーがどれだけ活躍したところで、それはシルバーの獲得賞金が増えるだけで、むしろ他のキルモーフ達から活躍の機会を奪っている事に他ならなかった。
なので彼は周りが目を丸くするぐらい、思いっきりキャラを変える事にした。
「で俺が生まれたってわけ(バァ―――ン)」
「なるほどな合点がいったぜ。小さいころはあんなに優等生だったお前が、歴代最凶クラスの問題児になっちまったのが」
このシルバーの判断は正しかった。
面白さと話題性を前面に押し出した事で、スタジアムには子供連れの親子を中心に今までになかった客層が足を運ぶようになり、関連グッズの売り上げも右肩上がりに伸びていった。
そしてその勢いは、当然シルバーのみならず他のキルモーフ達へも。
「そんなこんなで、五体満足で僕はキルモーフ競馬から引退。レースで得た賞金は全てシルバー牧場へと投資した、同族達が何不自由なく暮らせる場所にするためにね」
「なんだよ、順風満帆ってやつじゃねえか」
「そっ、だから今回君を招いたのさ、僕の新たなステージのためにね」
新たなステージ、
それは勿論スポーツ産業への進出に他ならない。
「悪ぃけど他をあたってくれ、俺はもう割に合わない仕事をするのはごめんなんだ。ファームの経営が順調なら、金やコネで優秀なトレーナの1人や2人「おいおいおい、僕がそんな理由で君を呼んだと本気で思ってるのかいw」」
シルバーは全てを見透かすような目で、竹林を見つめる。
「君のそのシャツ、そこのブランドは売り上げ金をキルモーフ保安団体に寄付している事で有名だ」
「だから……なんなんだよ……」
「別に。僕達は同士、キルモーフの未来を案ずる仲間だってだけさ。円滑な組織の運営には、共通の価値観が必要不可欠。君と僕が組めば無敵のチームが作れる、君もそう思うだろう?」
「発想がロボットアニメだな、炎になった俺達に敵は無しってか」
竹林は、シルバーの言葉を鼻で笑った。
鼻で笑ったのち、船を操る舵輪の前へと歩み出る。
「いいぜ、その話乗ってやるよ」
竹林は、幼少の頃からキルモーフという生き物が大好きだった。
彼らと同じ時間を過ごすために、竹林は今の仕事に就く事を決めた。
そして知った。
華々しく活躍するスター選手の裏側で、影も形も知られる事なくこの世を去るキルモーフ達がいる事を。
「俺は試合に勝つためって名目で、散々奴らの命をもてあそんできた側の人間だ。そんな俺にキルモーフ様ご本人が組もうって言ってきたんだ
――――これに乗らなきゃ罰が当たるってもんだろう!!!」
夜が明け、
水平線から太陽が船の全容を照らし出す。
まるで2人の門出を祝福するように、船は黄金色の輝きを放つ。
竹林は、深く一歩前に踏み出し舵を手に取り力強く――
――スカッ
――スカッスカッ
「あ、あれ? お~いシルバーさ~ん、なにこれトリックアート? 目の前の舵に触れられないんだけど、もしもし? もしも~~し!」
――
――
――
――
――
――
気が付けば、竹林の周囲に船はなく、
朝日に照らされるバスの座席があるばかりであった。
「フェフォzz」
「おい起きろシルバー! お前の本体は!? キルモーフ達の将来は!?」
「フェブヴォ~~! zzz」
竹林は、シルバーの胸ぐらをつかみ問いただす。
まだ眠いよ、といった具合に竹林は突き放される。
「夢……なんだよな――――けど!!」
夢かはたまた幻か……
竹林は、改めて自覚した夢の為に決意を新たにするのだった。
数日後――某雑誌社
「あ~~、編集長、そういえば最近名前聞かないっすね、竹林ミノル」
「ほっとけほっとけ、流行り廃りがあるんだ、竹林は過去の人間になった、ただそれだけの話だ」
「んじゃ、今はこのイケメン君が流行の最先端って奴なんすね」
「そういう事……てかさっさと取材いって来い「編集長ォォォォォォオオオオオオ!!」」
薄暗く埃をかぶった室内へ、男が1人飛び込んできた。
「騒ぐな、うっとおしい! 何か特ダネでもあったのか?」
「ゼエはあ、竹林がシルバー選手とタッグを組みました!」「なんだその程度か、引退後のセカンドライフなんて耳にタコだぜ」「ただ事じゃないんすよ! 奴らクラウドファンディングで活動資金集めてて、その額がとんでもなくて!!」
「……へぇ~~、いくら? 1000万、2000万?」
「現在……120億…………です……」
「へぇ~~120、それはすごいねぇ~~ぇぇぇぇええええええ!!! 億ぅぅぅぅぅうううううう!!!!! バッキャロウお前! なんでそんな特ダネ、今頃持ってきた!!」
「す、すみません」
「あああぁぁぁ、早く記事の用意を――って、ネットで拡散されてんじゃん! なんで気づかなかったんだオレ…………」
『伝説を今、再び君の手で』
サイトのトップに掲げられたキャッチコピー、
それを愕然とした表情で眺める編集長がここの1人。
「あ、自分時間なんで飯行ってきま~す」
「……どうぞぉ~」
同日――シルバー牧場敷地内
『総監督・竹林ミノル』
シルバー牧場は今日、竹林の指導の下生まれ変わる。
竹林とスーツ姿の男達、
今日は最初の打ち合わせ兼親睦会なのだ。
「竹林さん! この度はなんとお礼をすればよいか!?」
「いえいえこちらこそ、急なお願いを聞いていただいて」
「いえいえ願ったりかなったりで、我々の首が文字通りつながったのですから!」
竹林は集めた出資金を使い、牧場の拡大を実行。
その一環として同業者から施設や従業員、そしてキルモーフ達を集めた。
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
その集めたメンバーの中で、しきりに竹林の手を握り頭を深々と下げるこの男。
資金難により牧場が倒産、竹林との契約を切らざるおえなくなった彼は、今こうして竹林の手によって救われていた。
この場所には現在、彼と境遇を同じくするオーナーや経営者が大勢集っている。
「竹林君、よければ今回の資金繰りについてお話を伺っても?」
「ええ構いませんよ、どうぞ皆さんも一緒に」
「え、いいんですか!?」
「ではお言葉に甘えて」
やはりと言うべきか、気になるのは資金集めについての事。
オーナー達は一斉に、竹林の元へと集まった。
「簡単な事ですよ」
と、竹林は続けた。
「昔あったシルバーのレース」
「ああ、あの伝説の」
「そうです、あれをもう一回やるぞ! と訴えかけたんです」
レースはほんの1回限り、同じレースは2度とない。
なぜ自分はあの場にいなかったのだ! 多くのファンがそう思った。
無論、竹林もその中の1人だ。
『伝説を今、再び君の手で』
「あのレースを、感動をもう一度、今度はシルバーと俺とそしてこのキャッチコピーを見た全員とで実行しよう! ――――ってつもりでクラファンを立ち上げたら本当に集まっちゃったって……まあそんだけの話なんですよwww」
「なるほど1口、馬券と同じ値段設定なのはそのためか」
うんうん。なるほどなるほど。
と、竹林の言葉に納得の意を露にするオーナー達。
――♪リンリンリン~~
椅子に座り料理の登場を待ち、ふてくされるシルバー。
待ちくたびれた彼から、催促のベルが鳴る。
「ではでは皆さん、シルバーも待ちくたびれている事ですし、シルバーファームの新たな門出を祝して――乾杯!」「「「「乾杯!!!」」」」
――ぐびぐびぐび
「「「「お粥だこれ」」」」
「フェフォ♡♡♡」
シルバー編 第0話 完
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