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第19話 神 vs 神 後編

「これは……デッキが全部アクションカード! 

 これ、本当にコハルが作ったの!?」

「うん、そうだよ」


 邪神デッキを1ターンキルして見せた、コハルのデッキ。


 エースオブワンではコストとして、素材カードが必要になる。その為、構築の段階で必要に応じて素材カードを採用しなければならない。

 しかし、コハルが用意したデッキは素材カードを採用せず、デッキ全てをアクションカードのみで構築されていた。


 シルバーレクイエムによる、∞連続攻撃を成功させることに特化した専用構築デッキ。その破壊力は一目瞭然。



「なあなあ、このデッキならエクス・マキナにも勝てるんちゃう?」

「そうですよ! 何度かやり直せば必ず!」


 期待に目を輝かせる、長井さん細井さん。

 そしてその横で意気消沈のコハクと小鳩。


 コハクは邪神がもふもふに負けた事に、小鳩はシルバーレクイエムをギャンブル要素の強いネタカードとして採用を見送った事にしょげていた。


 小鳩は常々、デッキとは安定感が重要だと考えていた。

 大会優勝を目的としている彼女にとって、トーナメント中の手札事故はご法度。なのでシルバーレクイエムのような運任せのカードは、思考の外に追いやっていた。


 今回は小鳩の求めたその安定感が、仇となった。

 ルールが変われば、活躍できるカードも変わる。

 ヴァベルの試練は連戦可能な、いわばミニゲーム。どれだけ不安定でも100回に1回絶対に勝てるのなら、その手段を選ぶべきだった。


 自分がいなければもっと早くシルバーデッキにたどり着いたのではないか?

 小鳩はそう思わずにはいられなかった…………。



「あちゃ~こりゃ重症やな」

「大丈夫なの!? コハ姉とハト姉?」

「あ、全然大丈夫です(きっぱり)。そこの金平糖を摂取すればすぐに」

「それで治っちゃうの!??」


 コハクと小鳩、

 2人は金平糖が好きだった。


「ほな、次言ってみよ次」

「次?」


 邪神デッキを脇に寄せ、ヴァベルの試練LV10の用意を始める。


「オレらは今日、こいつに勝つためにここまで来た。今の今まで攻略は不可能と思っとったけど、そのデッキ……シルバーの力なら勝機はある!」

「そ……そんなに、すごいの!?」

「大丈夫ですよ、10回ぐらいやればきっと「ダメ~~~!!!」」


 エクス・マキナに挑もうとするコハルの前に、先ほどまで意気消沈していたコハクが立ちふさがる。


「エクス・マキナに挑めるのは1日1回まで!」

「え、えと、そんなルールありませんでしたよね?」

「うん、今決めたから!」


 グイッと、親指を立てポーズを決めるコハク。

 そこに「面白そうやん」と同意する細井さん。


「このまま強くし続けていくんも限界あるし、どっかにストッパーがあるべきやと思う。ほら、スマホのゲームでも、ボスに挑むのにスタミナゲージ消費したりするし」

「なるほどう。……スマホと言えばですけど、だんだん強くなるボスキャラを延々倒し続けるモードがあるじゃないですか。あんな感じで序盤に準備期間があれば、もっと先のステージまでいけるんじゃないでしょうか?」

「あ! それええなぁ、採用♪」

「あ、ありがとうございまぁす♪」

「ねえ、まだやっちゃダメなの?」


 コハルは、次の戦いが待ち遠しい様子だった。

 挑戦権は1日1回、再チャレンジはまた明日。

 というルールが採用され、コハルはヴァベルの試練LV10へと挑む。



 ヴァベルの試練LV10 ルール


 創世神竜 エクス・マキナLV10

攻撃:12

防御:8

ダメージ値:3

必要討伐回数:12


・エクス・マキナの防御を突破し破壊せよ、

 指定された討伐回数(12回)破壊できれば勝利。

・エクス・マキナは、毎ターン4つの技(何が出るかはドローで決まる)

 で攻撃を仕掛けてくる。

・討伐の際チャンスカードがめくれた場合、通常通り発動する。

 (反撃に注意!)



 ――GAME START――



「早速いっくよ~~、1枚目」


 コハクは、デッキを1枚めくる。


「うわ! いきなり、それですか……」

「いや、けどこれは……」



ヴァベルノンキック

相手に6ダメージを与え、

その後ターンを終了する。

 ~フレーバー~

「こいつは炎王の旦那を倒すために編み出した技だぜ!

 ……2秒で再生されちまったけどな。」

 創世神竜 エクス・マキナ


 

 エクス・マキナの必殺技、ヴァベルノンキックが炸裂!

 7点しかないコハルのライフを、1点まで奪い去る。


 しかし、効果によりターン終了。

 残り3回の攻撃を無効化する事が出来た。


「うわー、危ない危ない」

「並び順が逆やったら、今ので勝負ありや」

「ですね、流石最高難易度」


「僕のターン!」

 気合十分に、デッキに手を伸ばすコハル。

 3枚のシールドをセットし、カードを4枚ドローする。

 

 ……シルバーレクイエム、登場ならず。


「あちゃー、引き逃してもうた」

「残念、また今度頑張りましょう」

「もう! 勝手に負けにしないでよ……」


 コハルは引いたカードから3枚を手元にセットする。

 そして、エースデッキから『春の運び手 キルモーフ』を召喚。



春の運び手 キルモーフ

コスト0 エースカード

攻撃:2

防御:2

[バトンタッチ]

このカードを素材に使用するとき、素材2枚分として扱う。

 ~フレーバー~

 人類とキルモーフの出会いから幾星霜、キルモーフ同士を育て競わせるキルモーフ競技会が発足。人々はスポーツ選手となったキルモーフ達の活躍に釘付けになっていた。



「この子を素材に『帝王 ディアーク=ゾ・バルディッシモ』召喚!」



帝王 ディアーク=ゾ・バルディッシモ

コスト2 エースカード

種族:ゴブリン、王

攻撃:5

防御:5

[和平交渉]

敵ユニットが攻撃した時それを無効にしてもよい、無効にしたら相手はカードを1枚引く。

この効果は1ターンに1度だけ使える。



「そっか、エースも素材にできるから」

「12枚限定でコストが確保できるんですね」


 コハルは同じ手順で、ディアークを3体展開。

 次のターンに備えて、防御を固めた。


 そしてバトルフェイズ、

 3体のディアークによりエクス・マキナ討伐成功(残り11回)。



「私のターン、1枚目」


シューティング・レーザー

このターン中、全体攻撃を得る。

攻撃を行う。

 ~フレーバー~

 エクス・マキナが放つ砲撃の嵐。

 その精度は正確無比、針の穴をも通して敵を打ち抜く。


「この効果で、コハルちゃんと場のエース全部に攻撃」

「じゃあ、そこをブロック」


 コハルは、ディアークの和平交渉を宣言。

 エクス・マキナの全体攻撃を防ぐ。



「因みにやけど、今回ドローはせんでええんやで」

「え、そうなの?」

「ヴァベルの試練でカード引いとるんは、ドローやのうて攻撃命令やからな。そもそも手札とかドローってルールがないんよ」

「へ~~、じゃあ使い放題だね」


 実はディアークの効果処理が面倒くさくなって(攻撃宣言中に再度攻撃が発生する)、このような裁定が下ったのは今は置いておく。



「うううぅ、2枚目!」


鉄壁の構え

構え(場に置いて使う)

防御を+3する

 ~フレーバー~

 構えと言う名の防御魔法。

 防御の姿勢をとる事で発動する。



「うわ、これで防御力11!」

「これでさらに倒しにくくなっちゃいましたね……」

「じゃ、3枚目!」


デウス・エクス・マキナ

相手の場のカードを全て除外する。

 ~フレーバー~

 エクス・マキナの最終奥義、その一撃ですべてを焼き尽くす!

 ……と、人々は思い込んでいるが、

 本人にとってはタダの通常技の1つに過ぎない。



「えっぐ!」

「場のカード全てなので、セットしたカードも全部破壊ですよ」

「ふっふ~ん♪」

 自身の引きに、ご満悦のコハク。


 ――ちらっ

 コハルは伏せカードを確認し、長考に入る。

――

――

――

――

「よし、『筋肉は全てを解決するーー!』発動!」


筋肉は全てを解決するーー!

コスト1 アクションカード

このカードは時が停止していても使える。

自分の場のカード1枚を選びこのターン中、戦闘以外では場を離れないを与える。


 コハルはディアーク1枚をコストに、カードを使用する。


「対象は……このカード……」

「な!」「え!?」「なんで!?」


 細井さん、長井さん、コハクの3人は一斉に驚愕する。

 なぜならコハルは、エースではなく伏せカードを対象に選んだからだ。


「本当にいいの、守りががら空きになっちゃうよ?」

「うん、いいよ」

「本当の本当に?」

「もちろん」


 コハルは、ディアークと残りの伏せカードを墓地へ。



デコイソルジャーズ(ただの案山子)

コスト0 アクションカード

自分が受ける戦闘ダメージを0にする。

 ~フレーバー~

「このハリボテ兵士の中に1人、銃を持った本物がいる。

 ……それを聞いても、君達は僕を追ってこられるかな?」

 海軍総司令キビツヒコ



 捨てられたのは、これまた防御カードだった。

(いったい何を残したんだろう?)

 コハクは、疑問に思いながら最後の1枚を引く。



瞑想

討伐数を-1する(ライフを1回復する)。

(チャンス!)討伐数を-1する。

 

「やったー、これで全回復」

「ああ、最初のターンのダメージがなくなってしもうた」

「まあ、状況的に焼け石に水ですけどね」


 

 ここで、コハクのターンは終了。


「僕のターン!」

 力強く、デッキからカードをドローする。

 ……シルバーレクイエム、またも登場ならず。


「いや、まだだ……」

 コハルは引いたドローカードとルーターを使用して、キーカードを引きにかかる。


「そっか、素材が不採用だから手札4枚全部使えるんだ」

「毎ターン4枚アドかぁ……もしかしてヤバいんちゃう、これ」


 2人の不安を真実にするかのように、コハルはデッキを掘り進む。

 そして、ついに引き当てた。


 

ギャーー!! シルバー選手のファンサービスだーー!!

コスト0 アクションカード

属性 ・スポーツ ・ファンサービス 

(チャンス!)[トラブルメーカー]ライフを1失う。

自分のエースデッキから伝説のレジェンドウマモーフ シルバーレクイエムを1枚タダで場に出す。(タダで場に出す場合、コストは支払わなくてよい。ただし召喚条件は守る)

 ~フレーバー~

シルバーレクイエム、彼はサービス精神旺盛な選手だ。ファンに求められればいついかなる場合でもサインやパフォーマンスを忘れない…………たとえ試合中であっても。

 


「うわ~~~出ぇぇたぁぁぁ~~~!!!」

「まさに、ギャ――!! って言いとうなるな」

「ライフ1からの無限攻撃ですもんね」


 これで決着! 

 ……と思われた矢先、そこには1つ見落としがあった事に気が付く。


 デッキの枚数が足りないのだ。



伝説の(レジェンド)ウマモーフ シルバーレクイエム

コスト120億 エースカード

属性 ・キルモーフ ・スポーツ

攻撃:5

防御:6

打点:4(このカードのアタックは、ライフを2ではなく4削る)

このカードのアタック終了時またはこのカードが場を離れるとき、カードの種類(素材またはアクション)を宣言し山札の上を破棄する。破棄したカードの種類が宣言した種類と同じであればこのカードは場に残りアップ状態になる。

 ~フレーバー~

勝負の行方は神のみぞ知る。その言葉が誠であるなら、彼こそがコートに君臨する神なのだ。



 シルバーの攻撃力は5、対してエクスマキナの防御は現在11。

 討伐には3回の攻撃が必要になる。


 その為、エクスマキナの完全討伐には36回、つまりデッキ35枚を破棄し続けなければならない。

 シルバー召喚の為にデッキを削ってしまったコハルには、そこまでのデッキ枚数は残されていなかったのだ。


 そこに気が付き、ほっと胸を撫で下ろすコハクと肩を落とす細井さん長井さん。

 そして、無言のまま盤面を見つめる小鳩。


 コハルは、ふっと小鳩の方を見る。

 それで何かを察したのか、小鳩は大きくうなずく。


 それを合図にするかのように、コハルは先程守り抜いたカードを手に取る。

 勝負を決する最後のピースを。 



憑依武装―スサノオノミコト

コスト0 アクションカード

ターン終了までエース1体の攻撃+3、防御+1する。

 ~フレーバー~

 神と並びたち共に生きる世界。

 赤の大地の住人達は、その理想を現実のものとした。


「この効果でシルバー選手を強化!」

「え! えっと……攻撃が増えて5が8で16で……やば!」



 スサノオの助力を得て超強化されたシルバーによる、連続攻撃が始まる。


 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!

 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!

 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!

 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!


「ううう、やったチャンスカード」

「効かん!」

 エクス・マキナ決死の反撃も、シルバーの効果にはじかれる。


 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!

 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!

 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!

 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!

 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!

 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!

 ――ヒット!

 シルバー選手の再攻撃!

――

――

――

――

――

――


「ま、負けました……」

「ありがとうございました」


 途中、反撃や回復を挟まれたうえでの猛攻撃。

 合計28連続攻撃の末、エクスマキナは完全討伐された。



  ――GAME SET――

 勝者:三日星 コハル


 続く

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