第16話 試練は続く
「よっしゃあ! ステージ2もクリアやな」
エクス・マキナ
「おお、悪ぃ悪ぃ。お前、結構やるじゃねえか。流石に座ったまま戦うのは舐めすぎだったかw」
ステージ3へ続く
その後も細井さんはステージ3、4と順調にクリアしていった。
そうしていくうちに、このゲームのルールがだんだん分かってきた。
創世神竜 エクス・マキナ
コスト4
攻撃:8
防御:6
これがエクス・マキナのステータスだ。
こいつを普段ゲームでやってるみてえに、アタックや効果で破壊する。
ステージごとの規定回数、討伐に成功するとステージクリアだ。
最初は3回、次が5回、8回……みたいな感じだ。
そして当然のように、エクス・マキナも攻撃してくる。
あらかじめ用意してあるコマンドデッキ(仮名)、そこから様々な行動パターンが記されたカードをドローして攻撃方法が決定される。
最初はパンチとかキックとか基本的な技から始まり、ステージが進むごとに技の多彩さと威力が増していく。
おまけに最初は1回行動だけだったが、ステージ3からは2回行動をするようになり、ステージ4からはチャンスカードによる反撃、更には新要素『構え』まで取るようになった。
『構え』は発動されると場にセットされ、永続で効果を発揮する。
その効果は発動するたび重複していき、例えば【防御+1】のカードが3枚出ると、エクス・マキナの防御は9になる。
「ささ、次でついにステージ5だよ」
「……なあ、これセリフだけ先どりしちゃダメなのか?」
俺はスマホで、レコーディングアプリを探す。
「ダメ! 臨場感を大事にしなきゃ」
「へいへい」
と、ここで電話がかかって来たので、一旦部屋を出る。
高校時代の後輩、村田からだ。
「俺だ」
『部長、今大丈夫ですか?』
「今から寝るとこ、手短に頼む」
『そうですか、実は壊れカードらしき物を発見いたしまして』
「ああ、シルバーレクイエムだろ。あれはわざとだよ」
伝説のウマモーフ シルバーレクイエム
コスト120億 エースカード
属性 ・キルモーフ ・スポーツ
攻撃:5
防御:6
打点:4(このカードのアタックは、ライフを2ではなく4削る)
このカードのアタック終了時またはこのカードが場を離れるとき、カードの種類(素材またはアクション)を宣言し山札の上を破棄する。破棄したカードの種類が宣言した種類と同じであればこのカードは場に残りアップ状態になる。
~フレーバー~
勝負の行方は神のみぞ知る。その言葉が誠であるなら、彼こそがコートに君臨する神なのだ。
ギャーー!! シルバー選手のファンサービスだーー!!
コスト0 アクションカード
属性 ・スポーツ ・ファンサービス
(チャンス!)[トラブルメーカー]ライフを1失う。
自分のエースデッキから伝説のウマモーフ シルバーレクイエムを1枚タダで場に出す。(タダで場に出す場合、コストは支払わなくてよい。ただし召喚条件は守る)
~フレーバー~
シルバーレクイエム、彼はサービス精神旺盛な選手だ。ファンに求められればいついかなる場合でもサインやパフォーマンスを忘れない…………たとえ試合中であっても。
俺は、カードデータを眺めながら答える。
「デッキを素材だけにすればシルバーが無限回攻撃できるけど、ファンサに失敗すれば何もできないギャンブルデッキだ。問題はないんじゃねえか?」
『いえ、問題なのは時空跳躍のカードです』
「時空跳躍ぅ?」
時空跳躍 ディメンジョン・リープ
コスト0 アクションカード
『リミット:100』
①か②どちらかの効果を選び使う。
①カードを2枚引く。
②山札を12枚破棄する。破棄したカードが全て違う名前のカードであれば追加ターンを得る。
(チャンス!)デッキの一番上のカードをシールドにする。
『このカード、素材を抜きにしてハイランダー構築にすると確定追加ターンを得られるんです。エースカードを素材にドローを加速させれば安定性も十分です』
「??? …………本当だ」
これはまずい。
追加ターンどうこうより、簡単に使える事がまずい。
このカードのコンセプトは、いろいろ創意工夫をしてやっと使える超強力カードというものだ。構築に縛りが出来るとはいえタダで手打ちできるのは良くない。
「分かった。何か策を考えておく」
『よろしくお願いします』
通話を終え部屋に戻ると、細井さんはまだステージ5に挑んでいた。
「お~い、もう暗くなるし帰ったほうが良いんじゃねえか?」
「お構いなく、明日は日曜やし、着替えはちゃーんと持って来とるし」
「泊まるんじゃねぇぞ…」
俺の願いが通じたのか、コハクさんはカードを片付け始めた。
「じゃあ、今日はここまで。皆でお風呂にしよ」
「「は~い」」
「明日おじさまが戻るまでに、全ステージ攻略法見つけようね」
訂正、全然通じてなかった。
「いいかお前ら、騒ぐなよ……寝不足で事故るのはごめんだからな」
「大丈夫大丈夫! 人間は毎日3時間睡眠でも死なないから(キラキラ)」
元ブラック勤めが言うと、説得力がすごい……。
俺は、熟睡できることを祈りながら寝床に潜った。
明日に続く
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