第2話 ルール説明
「ゴクゴクゴク、ぷはっ、生き返りました~」
玄関先で倒れていた長井さんは、飲み物を口にして復活した。
「ところで、なんでぶっ倒れるほど走って来たんだ? 今日はレッスンの日でもないだろうに」
「それはですねえ、細井さんが何やら嬉しそうに走っていたので。これはきっと面白い事があるぞと後をつけていたのですよ」
「……メールで行先、教えてもらえばよかっただろ」
「なるほど! その手がありましたか!」
あいかわらずのうっかり者だな、こいつ。
「まあ丁度良かった、今から2人でテストプレイしてみてくれないか?」
「おお! せやせや、早うやろう」
長井さんは、並べられたカードを不思議そうに覗き込んでいた。
「何ですかこれ?」
「これな、おっちゃんが作ったカードゲームやて」
「先生の! カードゲームゥ!! ギターだけでなくゲーム作りの才能もおありとは!!!」
別に俺にギターの才能はない。教本を真似てるだけだからな。
「まあそんなわけで、俺は製作者だろ、細井さん長井さん2人でやってみてくれないか? その方が俺が見落としてた部分がより分かるってもんだろう、な」
「うう……ま、まあ先生のお役に立てるのであれば……」
「みとってよ、バッチしデータ取ったるから!」
俺は長井さんに席を譲り、対戦の準備を始める。
プレイマットを敷き、デッキを所定の場所にセットする。
「あらら、先生? こちらのカードは使わないのですか?」
「あ? それは後で使うから置いといてくれ。細井さんは店で何度かやってるんだったな、先行で始めてくれ」
「ほ~い」
気の抜けた返事を返し、彼女はカードを3枚ドローした。
さらに自分の目の前に、デッキからカードを2枚裏向きでセットした。
「まずはスタートフェイズ、カードを3枚ドローしてシールドを2枚になるようにセットする」
「シールド!? これがなくなったら負けですか?」
「いんや、さらに5点のライフを失ったら負けだ」
「シールドの他にライフまであるんですね」
続いて慣れた様子でメインフェイズまで進める。
細井さんは、手札から『素材』と書かれたカードを2枚捨て、今しがた横に放置していたもう1つのデッキを手に取った。
「おっし、『海軍総司令キビツヒコ』召喚!」
海軍総司令キビツヒコ
攻撃:4
防御:5
登場後1度だけ好きなタイミングで、敵エースに5ダメージ。
「さらに残りの1枚をセットして、キビツヒコで攻撃!」
「攻撃!? ええと私のシールドは??」
「先行1ターン目はない、ライフで受けてもらうで」
「そんなぁ……」
「ダメージを受けたら、その分だけ山札の上からダメージゾーンへ」
「分かりました」
長井さんは山札を1枚めくる。
「おっと、受けるダメージは常に2点な」
「……私、いきなりライフが半分なんですが」
「大丈夫だ、次でちゃんと巻き返せるから」
「そ、そうですよね。先生が作ってるんですから」
いや、割と自信はない。うまく作ったつもりではいるが、どこに見落としがあるかは自分でもわからん。だからこそいろんな奴の意見を聞きたいわけなんだが。
「では私のターン。手札を3枚、そしてシールドを2枚」
「お、スタートフェイズの流れは完璧だな」
「えへへ、ありがとうございます」
続いてメインフェイズ。
「さてともう気づいてるかもしれんが、このゲームの特徴はメインデッキとエースデッキ、デッキが2つある事なんだ」
「メインデッキとエースデッキ?」
「そう、エースデッキはまるで手札にあるかのように自由に使う事が出来る。ただし、呼び出すためにはコストが必要なんだ」
「あ! さっきの素材カードですね」
「そうだ、メインデッキにはコストに使う素材カードと、エースを補助する魔法カードで構築されている。相手の盤面と手札の都合に合わせて適切なエースを呼び出していくのが勝利への鍵だ」
「よーし!」
「エースを呼び出せるフィールドは3つある。攻撃はエースかプレイヤー好きなほうを選べる。ルール説明は以上だ、あとは好きにやってみろ!」
「はい!」
続く




