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第13話 奇跡のドロー エクストラターン炸裂! 

「ちぃっ! エクス・マキナァ、お前って奴は最後の最後まで」

「喰らえ! デウスゥゥエクスゥゥマキナァァァァァ!!」


創世神竜 エクス・マキナ

コスト4 エースカード

攻撃:8

防御:6

コスト軽減:手札を1枚除外する。

コストを2に変更する。

[デウス・エクス・マキナ]

自分のデッキを10枚除外する、相手の場のカードを全て除外する。

 ~フレーバー~

「とにかく一番最初は勝ちを目指せ、勝機はオレが作るからよ」

 創世神竜 エクス・マキナ



 デッキを10枚除外し準備完了。

 エクス・マキナが放つ破滅の光が邪心臓を狙い撃つ。


(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)

 雷刃は今の状況に、心臓バクバクであった。

 これだけ準備を重ね盤石な状況を生み出したはずなのに、最後の引き運次第で勝負がひっくり返ってしまうのだ。


(こんなことなら、弱点なんか作るんじゃなかった!)

 雷刃は、心底後悔した。


「プ、プロカゲラス様、だ、第5の効果。破壊を無効にする……」

「けどここでコアを打ち抜けば……」

「チェック!!」


 雷刃は祈る気持ちでデッキをめくる。



プロカゲラス・サーヴァント

モンスター

攻撃防御:0

儀式カードの数だけ全てを+1する。


「は、外れた…………」

「ふ、ふふふふ、ふはははははははははははははははははははははははははははははははは(涙)、はぁ~~~。万策尽きたようだな!」


 雷刃はズバシュッ! と細井さんを指さす。


「ま、まだや。アタックがまだ残っとるし」

「忘れたのか、さっき墓地に落ちた狂信者、あれと同じカードが後3枚ある。つまり、お前の攻撃は届かない」


 それは紛れもない事実だ。

 しかし、細井さんに諦めの2文字はなかった。


「禁呪の魔女 リタを召喚、さらにもう1体この3体で攻――――


 ――――え? おっちゃん?

 細井さんの視界に映ったのは、彼女がよく知る男性の姿。

 その姿は夢か幻か、瞬く間に消えてしまった。

 彼の表情は、ひどく楽しそうな顔をしていた。


「どうした? 攻撃しないのか?」

「ちょ、ちょい待ちぃ! なんか……引っかかるんよ」


 

 細井さんの頭に一瞬よぎったおっちゃんの表情、

 その表情には覚えがあった。



――――

『あ~~、めんどくせぇ、あと何種類作るんだよ、

 残り全部素材カードでいいんじゃねえか?』

『それオレが言うたやん最初に。こない種類作るの大変ちゃうのって。そうしたらおっちゃん、いや、種類沢山あったほうがデッキ改造できるからって』

『あ~~、そうだったなぁ~、なんでこっちに舵切ったんだろうな~』

――――


 いつだったかの、おっちゃんとのやり取り。 

 その時の彼は、悪態をつきながらも心底楽しそうな笑みを浮かべていた。


「お~い、まだですかぁ~?」

「まだや、ちょい待っとれ!」


 ――――カツカツカツ

 とテーブルの端に人差し指で十字を描く細井さん。


 当時はカード作りが楽しくて、笑っているのだろうと思っていた。

 しかし今思い返してみると、こう言うと何だがあの時のおっちゃんの笑みは正直キモかった。果たして楽しいだけであんな笑みを浮かべるだろうか?


 ――――カツカツカツ

 おっちゃんと思考をリンクすべく、手元のカードに視線を落とす。

 ――すると。



「ぷっっ、くくく、あはははははははは! なんやねんこれ、そういうことかいな! くくく、こんなもん仕込んだらそりゃ笑うわww」

「な、何が可笑しい! 敗北を前にして頭がおかしくなったか!?」

「まあまあ、今見せたるわ。このデッキの必殺コンボをな」

「必殺……コンボ?」



禁呪の魔女 リタ

コスト1 エースカード

攻撃:3

防御:3

墓地のカードを2枚選び除外する。このエースの攻撃または防御を+1する。

この効果は、アクションタイミングで使える。



「まずはこいつで墓地を除外する」

「はんっ! 今更攻撃力を上げて何になるんだ!?」

「目的はそっちやない、コストの方や」



ヴァベルの書庫

コスト0 アクションカード

除外されたカードを6枚選び、無作為にデッキの上に置く。

(チャンス!)カードを1枚引く。



「こいつの効果で、除外されたカードを山札の上へ」

「なるほど、墓地の再利用か。けどドローできるのは次のターンだぜ」

「言うたやろ必殺コンボやって。同じのをもう1枚」


 細井さんは、ヴァベルの書庫2枚を使いデッキを回復させていく。

 その動きを見て、雷刃は再び冷や汗をかき始める。

 デウス・エクス・マキナを再使用できるコストがそろったからだ。


「なるほど必殺コンボか……アド損カードだと思ってたそのカードにそんな使い方があったとはな、俺も正直驚いたぜ、へへ(くるなくるなくるな!!!)」

「まだや、仕上げにこいつや」



時空跳躍 ディメンジョン・リープ

コスト0 アクションカード

『リミット:100』

①か②どちらかの効果を選び使う。

①カードを2枚引く。

②山札を12枚破棄する。破棄したカードが全て違う名前のカードであれば追加ターンを得る。

(チャンス!)デッキの一番上のカードをシールドにする。



「ほほう、デッキを操作して即座にドローとは、感心感心」

「効果②を宣言! デッキ12枚を墓地へ「はあ!!」」


 細井さんはデッキを1枚2枚、順にめくっていく。

 そして、最後の1枚が公開された。

 12枚全てが別名カード、追加ターンが確定する。



「おいおいおいおいおい! 嘘だろ、12枚全部違うカードなんて! この土壇場で! どんだけ運がいいんだよお前!!!」

「運なんかやないで、もう忘れたんか?」

「もう……あっ!」


 雷刃は、今しがたヴァベルの書庫で山札が確定されていた事を思い出した。



 エクス・マキナ(それとリタ)のコストがカードを除外し

 ヴァベルの書庫で山札を確定させ

 時空跳躍で追加ターンを得る


 これがおっちゃんによってあらかじめ仕込まれていた、このデッキの

 デザイナーズコンボである。



「ウッソだろおい、たかが紙切れ……コピー機で何枚でも勝手に作れるおもちゃじゃねえか……。いくら貰った? どこのメーカーだ? ありえねえだろ、何おもちゃに本気で取り組んでんだよ……」

「んなもん……決まってるやろ!!!」


――――

『面白そうだったから』

――――

 この場におっちゃんがいれば、きっとそう答えたはずだ。



「ま、まだだ! 山札は残ってる、外せば終わりだ!」

「絶っ対っ外さん!」


 見えている防御札は3枚、当然最初の攻撃は防がれる。

 だが細井さんには、追加ターンがある。


 次のターン、細井さんは引いたアクションカードを使用。

 キビツヒコをエースデッキに戻し再利用。


 攻撃とキビツヒコの効果で、4枚破壊が可能になった。


「全! 軍! 突! 撃ィィ!!」

「止めろォォォォォォおおおおおおおおおおお!!!」


 雷刃のデッキが、1枚また1枚と削れていく。


「とどめやエクス・マキナ。放て、ヴァベルノン・ブラスタァァァァァァ!!!」


 そして最後の攻撃、雷刃のデッキが残り2枚となる。

 これで、流石に終わっただろう。雷刃を含め誰もがそう思っていた…………。




 しかし、雷刃はまだ生きていた。

 雷刃は最後の攻撃を耐え抜き、自分のターンを迎えた。


「俺のターン……ドロー」


 コアのカードは、デッキの一番底に眠っていた。

 それをドローした事で、雷刃のデッキが0枚になる。


――

プロカゲラス・コア

儀式カード

プロカゲラスコアがデッキを離れた時、こいつを山札に戻しカードを補填する。

――


 しかし、コアのカードは山札に戻る効果を持っていた。

 そして、コアが戻った場合もう1枚ドローが出来る。


「え、おおい、これどうなるんだ?」

「分からん、効果処理中は確か負けにならんはずやし……」


 それはつまり……


[――GAME SET――][――DRAW――]

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