例えばこんな転生前
幸路ことは様の企画「書きたいところだけ書く企画(仮)」に乗っかりました。
異世界転生直前のシーンだけ書いてみます。
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ここ半月ほど、歓送迎会ラッシュだった。かなり疲れが溜まっていたようで、今日は酔いが回るのが早い。二次会に向かおうとする皆を横目に、今日の幹事に電車がなくなる前に帰ることを告げ、体育会系の上司に引き留められないようこっそりと抜け出した。ふわふわした気分のまま、ギラギラよりはやや控えめなネオンの街を歩く。
久しぶりにこのあたりに来たけど、なんとなくこの周辺だけ妙に暗くなったなと思って横を見たら、黄色いヘルメットでお辞儀をするイラストがあった。近づいて横の一覧表の記載を見ると、昨日解体工事が始まったところらしい。
酔ってあまり回らない頭で、ぼーっと一覧表を眺めていたら、ゴッ……! と音が響いた。グラリ。酔ったせいではないめまいが起きた気がした。
「ん?」
直後、はっきりとわかる大きな地震が起きた。その場にすっくと立っていられず、そのままたたらを踏むように千鳥足のように、ふらふらと数歩、トトトッ……と勝手に足が出てしまった。そのまま足を取られて転んでしまう。
「いたた……」
周りでガラスの割れる音が響き、少し先からはいくつか悲鳴も聞こえる。転んだ態勢のまま両手で頭を抱え込んだ。
「ひぃっ」
ぎゅっと目を瞑って収まるのを待った。地面が大きく揺れる時間は不安で、妙に長く感じる。
上のほうでパキリと何かが折れるような音がした。怖くて目を開けて確認することもできなかった。
私の意識はそこで途切れた。
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これだと、プロローグというより転生者さんの回想差し込みシーンになるのかな。
えー、書こうと思ったきっかけは、これです。
そうね交通事故自体も減ってるしと思っていたらつい最近、飲んだくれトラック野郎の小学生殺傷事件が起きてしまって、なかなかアウチ! なことになってしまいましたが。
我が家のご近所の広めの道路にある信号のない横断歩道では、一般車よりもトラックとか市バスとかのほうがきっちり一時停止してくれるよなぁと私は実感しておりますのでね……はい。
ちなみに、ここに書いたモモちゃんは、ちょっと調べてみたら1982年の作品でした。やっぱり40年近く前だった。そんな前なのにわりと最近できた設定と思われてるのもすごいな。
あーでも、最近「あ、これ懐かしいなぁ。昭和リバイバル」って思う設定とか展開とかを見かけることが増えたので、単に書き手さんがお若いためにちょっと昔の作品に触れる機会が得られずご存じないだけかもしれない、とも思っております。
あくまでも私の体感ですが、転生/転移/召喚のきっかけは、たまに「危機的状況回避」もありますが「日常からふらり」系のほうがたくさんあるように見受けられます。
けっこうトラック事故以外のシチュエーションも知ってるなぁと思いつつ、やっぱりそういうイメージが強いというか、それがステレオタイプって思っちゃってるところがあるなぁと。
それこそ「転校生はカワイイ女子、遅刻しそうで食パンくわえて曲がり角で衝突してヒトメボレ」みたいな? これこそ「どこにあんねんそんな作品!」ってツッコみたいけどでもステレオタイプと思われてるシチュエーション第一位ではないかと。わたくし正直、作中でネタとして使ってるもの以外は見たことないです(笑)
それはそれとして。
残念ながら私は今のところ異世界で何かさせたいと思ってないので、このプロローグ以降のストーリーはまったく考えておらず。
そこで今回の企画に乗っかって、“ちょっとだけありえそうな事故話”っぽくしてみました。
なくはないと思うんですよね。しばらく前の東日本の大きな余震のとき、自粛期間で少なめだったものの、これに近いヒヤリハットは多少あったようなので。
そのうちGO TO 異世界することになったら使ってみるかもしれません。
企画に参加した他作品は、本文の下にリンク張ってますので、お好きな作品をどうぞ。
こちら、文字数の半分以上がエッセイなのでエッセイで登録しましたが、もし「ジャンル違うよ」とかあれば、感想欄とかで教えてくださいませ。