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造花

16作目です。よろしくお願いします。

造花


「綺麗な花だ」

この言葉が欲しかった

でもそれは

たくさん仕立てた造花で、貰いたくなかった

育てた本物の一輪で、貰いたかった


造花を仕立てるとき

やることは単純だ

形をきめる

色をえらぶ

布をとめる

針金をくるむ

形通りに

組みあげる

確認する

そうして張りぼてを仕立てあげる


誰でも作れるんだ

たくさん作れるんだ

時間があれば

時間をかければ


遠目では見分けのつかないそれは

いつしか本物と僕を隔絶する様になった


この花たちには、香りも生気もないのに

周りの誰も、本質を観ようとしない


だから、綺麗に見せるのは簡単だった


その中身を誰も観ていないから

観てくれる人はいなくなってしまったから


本物の育て方は教えてもらえなかった

きっと僕は花がたくさん作れるからだろう

僕に本物は要らないと思われていたのだろう


僕は本物が羨ましかった

どんなに精巧でも、どんなにたくさんでも

本物の一輪にはかなわない

そう知ってしまったから


得意な花を造るより、特異な花を育てたい

そう考えるのはおこがましいことなのか

ありがとうございました。

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