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護身感性:真顕の達人  作者: Origin Vertex
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要石

師匠を殴り倒した弟子が、弟弟子に殴り倒された。

弟子は何度挑んでもほぼ弟弟子に勝てず負け越しを解消する事は叶わなかった。

弟子は苦し紛れに言う。


「お前ほどの実力者が何故あの老いぼれに習い続ける」

「それが分からないのがまさしく敗因ですよ」



弟子が去った後、弟弟子に兄弟子が尋ねる。

「もしよければ、俺には教えてくれないか?」

「……いいですよ」


弟弟子曰く

日頃の練習を行う前にその練習が何であるかを理解するべきだと言う。


「ミット打ち、サンドバッグ打ち、形稽古、約束組手、スパーリング」


「すべて効能が違います、それに無頓着な人がスパー偏重になる」


「意味を理解したうえでスパーを重視するのとは雲泥の差ですよ」


続けて


「原理を教えてくれている人が実際に強い必要はないんですよ」


「世界的なボクサーが引退し、老いて体が弱り反応や動作が鈍ったとしましょう」


「リングではもう戦えないとしても、現役時代に習得した術技は本物です」


「体現できないことと、偽物であることは必ずしもイコールではないんです」


これに兄弟子は頷く。

弟弟子は続ける。


「師匠は技の原理をよく研鑽されています」


「師匠が若ければ、意識の早さや体の速さも間に合えば、私以上に強いですよ」


「ご高齢となった今の師匠はすでに弱くても、上手い」


「学べるところを受け取るだけ、師を相手に強さの格付けなどもったいない」 


兄弟子は疑問を投げる。


「しかし、だとしたらお前さんは今の師匠に足りないものをどう補った?」

「……多くの人は暴力への備えとして学ぶ側面を持っていますね?」


「まあ、そうだな」

「私は違います、暴力と被害が先にありました、以来、必要な時は冴えるんですよ」


「……」

「私の様なケースよりは他の格闘技から持って来たりが多数派だとは思います」


「……わかった、勉強になった、ありがとう」

「いえ、いつもお世話になっておりますから、どうです、飲みますか?」


「いや、師匠のお見舞いが先だ」

「そうでした、ご一緒しますよ」

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