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魔導書と禁書

設定って難しい


「今回の大目玉商品はねぇ、みんなにチャンスがあるよぉ。

なんと、古代遺跡を調査していた冒険者からの持ち込みだぁ!」



「気になるか。」


「…。」


「ふっ、お前は分かりやすいな。」



アレクに感情を読み取られることが少し不快に感じ始めてきた。一発殴ってやりたい。



「大目玉商品はぁ……こちらだぁ!!!」


いつの間にかルルの横にあった大きな布がかぶっている物。その布を巨体のスタッフが両側から捲りあげると、不気味なオーラが吹き荒れた。嫌な感じのするオーラだ。



「世にも珍しい魔導書、その禁書シリーズのうちなんとここにある冊数は14冊ぅ!!

一冊ずつオークションをかけていくので、欲しい人はしっかりとお金の計算をして買い方を考えてねぇ。」



大目玉商品と言われて拍子抜けしてしまった人間もいるだろう。


誰でも聞いたことがある話だ。



昔の魔王の中に、悪魔の上位個体が魔王に君臨する時代があった。その魔王には屈強な33体の悪魔の部下がおり、その一体ずつに名前が付けられている。


その一体ずつの悪魔は非常に強力な力を持っており、当時の魔王も手を焼いていたらしい。そこで、部下に反逆されることを恐れた魔王は、悪魔一体につき一冊の本を作り、その中に封じ込めるという大胆な方法を取った。


本の中に封じ込められた悪魔たちは魔王の強力な魔法に対抗できず、本を開いた者の中から適性者を探し、何らかの目的を各々が成し遂げようとしているらしい。



上手く適性者に選ばれれば、協力な力を手に入れる。その代わり、悪魔の目的を成し遂げることが一番になってしまい、争いごとや、下手をすれば戦争の火だねになるような物騒なものだ。



性質が悪いことに、すべての本は皆同じ形をしており、どの悪魔がどの本から出てくるかは完全なランダムとなっているらしい。なんでも、同じ本から違う悪魔が出たという話もあるそうだ。



そんな悪魔の禁書33冊だが、現在発見されているのは確か4冊だけだったはず。この世に14冊増えるとなると、一気に世界情勢は変わるだろう。持ち込んだ冒険者は金になるからと思ってしているのだろうが、正直国のお偉いさん達は頭を抱える案件なのは間違いない。



「この本は珍しいから大目玉商品になっただけでぇ、別に買わなくても大丈夫だよぉ。」



ルルの言うことも一理ある。

確かにオークションでは珍しいものほど人を集める。その中で禁書が出てきたといえば別格のオークションとなるだろう。



ただし、買うかどうかは別問題だ。

例え購入できたとしても、悪魔の適性者になれる確率、適性後に自分の目的を達成できる確率、そもそも契約できるかどうかの確率などが待っている。



コレクターとしても、流石に33冊集めることは出来ないため、1冊持っていたとしても、結局は宝の持ち腐れになるだけで、あまり欲しがらないような代物だという人もいるほどだ。



「1冊当たりの値段は特に決めてませんよぉ。こちらで適当に本に番号を付けたので、欲しいと思う番号にまずは札をあげてくださいぃ。その後に、1番目の本から札をあげた人の中でオークションを開始しますぅ。」


そんなことをすれば、余計に一冊の値段毎に差が出てくるだろう。


とりあえず、なんとなく9番に挙げておくことにした。ダメ元なのはわかっているが、なんとなくだ。あの本がいいなと、なんとなく思ってしまった。



「9番には…珍しいぃ。10人もいないですねぇ。これは価格が面白いことになりそうですぅ。ふふっ。」



順番に1番から14番までに札をあげていった客たち。中には物見の見物をきめこむ者もいた。アレクはようやく重い札をあげたらしく、14番に並んでいるのが見えた。



「1番から順にオークションをしていきますねぇ。」



その声とともに、1冊目の禁書のオークションが始まった。







一冊、もう一冊と淡々と売れていき、次は9番の禁書のオークションとなった。今までの傾向から行くと、1冊1億~2億といったところだろう。俺では到底変える金額ではないが、なんとなく手持ちのお金だけで戦ってみようと思う。



「9番の本のオークションを始めますぅ。

まずは100万リータからぁですぅ。」



そういった瞬間に俺は声高らかに宣言した。


「101万。」



一万単位での価格の上乗せは問題ない。だが、この後の行動に俺は驚いた。

誰も札をあげないのだ。


「あ、あれぇ?

みんな、もっと欲しくないのぉ。」


そういうルルの顔はとても不服そうに見えた。



「ん~、まぁ、みんなが買いたくなくなったのもしょうがないねぇ。

9番は101万円で落札ぅ~。」



俺も内心驚いている。たかだか101万で禁書を落札など前代未聞もいいところだろう。


この禁書をどうすればいいのか分からないまま、どんどんとオークションは進んでいった。

そしてちゃっかりと14番はアレクが入札していた。あの男の余裕そうな顔が崩れるのを一度でいいから見てみたかった。




なんとか投稿できました。

次回は24日の予定です。

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