決意
(う、嘘だろ?)
(俺の主人、メルンが後継者?)
俺は状況が理解できなかった。
「な、ならば私の使命はメルン様を王にしないようにするということですか?」
「そうだ、できるなら殺してくれても構わない。」
「そんな本人の前で言わなくても!それに、王選定の候補者にせず不参加にすればよかったではありませんか!」
「それは無理だ。」
「何故です?納得いきません!」
「その少女は候補者を含め、四人で王選定を執り行うようにと言っていたのだ。」
「しかも、結果が公平なものであるようにと、審議の剣を置いていったそうだ。今は厳重に保管しているがな。」
「だから結果は誰にもわからない。だから君に、メルン様を王選定で国王にさせないように阻止してもらいたいのです。」
「そ、そんな急に言われましても・・・」
「気持ちはよくわかりますルミナさん。私もご主人様が大事ですので、今のあなたの立場になったらきっと困惑する事でしょう。」
「ナルスさん・・・」
「ですがそれはあくまでも私が、あなたの立場になった場合ですが。」
「えっ?」
「同情はしますが、これは決定事項です。メルン様のメイドとして、全力で阻止してくださいね。」
ナルスは笑顔で俺に言った。
「まぁ、つらいと思うけど頑張ってな。」
「が、頑張って下さい!お願いします!」
「そ、そんなぁ。」
「そうだ、ぶっ殺せー!」
「阻止して殺せ!」
議員の奴らが一同にして叫んでくる。
殺せと。
「メルン様、安心して下さい。私はあなたのメイド、決してそんなことは・・・」
「なんでよ!」
「えっ?」
メルンは涙を流し、俺を見た。
「なんであんなに、わがままを言って辛い思いをさせたのに。私の事が嫌いなはずでしょ?今ここで殺しなさいよ!」
沢山の涙を流しながら、メルンはひざまづいた。
(まさか、あのわがままはわざと俺に嫌われる為・・・)
(わざと悪役令嬢を演じていたとしたら・・・)
俺はメビルに視線を移すと、一回大きく頷いた。
まるで、メルンの言うように今殺せと言わんばかりに。
すると、一人の騎士が剣を持ってきた。
「この剣でやるといい。うなじを垂直に大きく振りかざすんだ。」
メルンはひざまづいたまま、早くやってと言わんばかりにこちらを見た。
他の候補者も少し嬉しそうにこちらを見ている。
メイとリリナーは目を手で覆って見ないようにしているが。
「頑張って楽に死なせてあげてな。あんたならできるで。」
「早くせぬか、私はもう帰りたいのだ。」
そして、俺は両親を見た。
この状況をあの二人なら変えてくれる。あんなに親バカだったんだ。きっと娘の為に何かしてくれる。そう思っていた。
だが甘かった。
父が俺のところに駆け寄ろうとすると、騎士に止められてしまった。
「殺せ!」
「殺せ!」
「殺せ!」
もう、殺す為の環境は揃った。
俺は剣を持ち、メルンの前に立った。
すると、それだけでみんな歓喜した。
そんなに嬉しいのか。
「なんだよ、これ。こんなのふざけてる。もういいや。」
俺は誰にも聞こえない声で言ったつもりだが、近くにいたメルンには聞こえてしまったようで、驚きた表情をした後少し嬉しそうな顔をしていた。
だが、その表情の奥には殺さないでほしい。まだ生きたいと思わせる目をしていた。
「もう終わりにしよう。」
俺は剣を振り上げ、笑顔で垂直に振りかざした。
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