ボツ案 君はいつも後ろ姿だった。
きみはいつも後ろ姿だった。
名前順でならんでも、背の順でならんでも、それから、成績の順で並んでも。徒競走の速さで並んだらもしかしたら同じくらいだったかもしれないけれど。
とりあえず、だいたい何をしても僕よりも前にいる、追いかけるべき存在。
それがきみだった。
あの頃きみは長い髪を低い位置で1つにまとめていた。時々まとめるゴムの色が変わった。たぶんそれに気付いて覚えているのは僕くらいだと思う。
きみには仲の良い友達がいて、休み時間のたびにその子と話していたし、外で走り回ることもあったし、要するにとても活発だったのだけれど、どこか大人びて見えて、その秘密が僕は知りたかったんだ。
きみはずっと図書委員をしていて、いつも読みかけの本を持っていたのだけれど、その本を読んでいるときの姿なんてとても素敵だったんだ。
僕はそれが見たくて何度か図書室に行ったのだけれど、きみはそんなこと覚えていないだろうな。気付いてもいないかもしれない。
因みにそこで読んだ本がきっかけで僕は後々素敵な人と出会うことになるのだけれど、それはまた別の話。
今伝えたいのは、ずっと昔、僕はきみにとても憧れていたということ。
そして、だから、久しぶりにきみの名前に出会ってとても驚いたということ。
*
「ねぇ、見た?今朝のニュース。よくわからないけれど最近物騒よねぇ。サイバーテロ?っていうのかしら?お母さんパソコンとかあんまり使わないからよくわからないけど、マツトモキヨシのポイントカードとか、クレジットカードとか、そういうのの情報が勝手に流出しちゃったら、お母さんも被害者よねぇ?」
外出から帰るなりすぐ始まった、お母さんのいつもの長い話。僕に話しかけているのだけれど、いつもあまりに長いから相槌を適当にうって聞き流してしまっている。ごめん、母よ。しかし聞き飽きてしまうのだ。
そんなことより僕は早く部屋に戻って新作ゲームMONSTA GALAXYの攻略をしなくては。明日までにサンピアザ広場にいるデカいモンスターを攻略したいのだ。
コップに注いだ冷たい麦茶をぐいっと飲み干して流しへ持っていく。
「それにねぇ、その容疑者の人はあんたと同い年だって言うじゃない。しかも女の子。このあたりの出身らしいのよ、たしか相宮 悠里亜さん、っていったかしら、ねぇあなた聞いたことある……?」
僕は耳を疑った。同い年でこのあたりの出身で同姓同名だなんているだろうか。否。いるなら僕が気付かない訳がない。
僕は急いで部屋に戻った。
ただし、MONSTA GALAXYではなく、ニュースサイトをチェックするために。
*
便乗してみた。
勢いだけのボツ案でした。
彼女を探して、最終的に出会って久しぶりだねってなって、ラストシーンの印象的な部分に炎を持ってきて、、と思ったけど、平成の使い方が思い付かないのと、単純に知識不足で描ききれないやっていうのでボツ。最初の部分だけ残して恋愛ものって手はあったけどまぁいいや。




