1.覚醒
規則的な機械音と不規則に聞こえる靴音に囲まれた白く清潔なベッドの上で十二ほどには見える少年が姿勢良く寝かされていた。その腕には太い管が青く透明な液体を流し込んでいる。
「どうだ、そろそろ起動が可能な状態には
なっただろう?」
そう問いかけた人物は若い男で明るい茶色の髪と耳のピアス、研究員らしからぬ派手な色の私服はその上に羽織った白衣を偽物ではないかと疑わせる。
「可能なことは可能なのですが、まだ試作
に過ぎない為この計画の負荷に耐
えられるか分かりません。負荷に耐えられ
なければ……」
問いに答えているのは、問いかけている人物より明らかに年老いていると見られる男なのだが、相手に敬語を使用しているのが不自然としか言いようがない。
「いいよ、失敗すればそれはそれでいいサ
ンプルだろ? 構わないよ。」
簡単に返答すると若い男は老いた男の注意を一切無視して近くのモニターに映る『起動』の文字を触る。
「起動、シマス。」
その一言が聞こえ終わると同時に少年の目が開いた。その目は腕に注入されていた液体と同様に蒼かった。
初めまして、もしくはご無沙汰してます、朝月 瞳と申します。
簡単に言うとこの物語は私がただ今連載されていただいている『華世の追憶』の関連作品となっております。彼方より少しは読みやすいものとなっていることを願っています。
やっと始められた新シリーズを大切にしながら『華世の追憶』の連載も頑張りますのでよろしくお願いします。
それでは、また!