表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/247

第百七十五話 ネタバレしない程度に面白いタイトルをつけるのって、かなり難しいと最近思うようになりました

連続更新三日目


久々に超メタ発言タイトル。

一方で、中身はかなりシリアスです(百パーセントではない)。


「俺ぁ今すぐに宿に帰りたいんですけど。ねぇ、竜剣殿」

「頼むカンナ。さすがの私も、今回ばかりは誰か側に居て貰わないと不安なんだ」


 俺の言葉に対して、レアルが珍しく情けない声を発した。それだけ彼女もこの展開には動揺しているのだろう。


 親書を渡してはい終わり、という当初の予定は脆く崩れ去り、エルダフォス王から改めてレアルと話がしたいと言いだし、俺とレアルは広間から別の客間に案内された。


 正確には、呼び出されたのはレアルだけだったのだが、彼女がどうしてもと俺の同行を願ったのだ。


 本音を言えば、直ぐにでもこの場から退散したいところだ。だが、この弱り切ったレアルを一人で王様に会わせるのも不安であるし、そもそも護衛としての役割もある。役目を全うするために、レアルに付き添った次第。エルダフォス王もこれには特に異を唱えず俺の同席を認めた。


「や、冗談はさておき。……とりあえず、部屋の周囲に怪しい気配は感じられないな」

「話を盗み聞きされる心配は無い、ということか」


 最低限の安心材料を得て、レアルは目を瞑りながらソファーの背もたれに躯を預けた。


「私が親書の運び人に選ばれたのは偶然では無いと思っていたが、まさかエルダフォス王の方から直々のご指名であったのは予想外だったよ」

「『親書の受け渡し』の方が下手したら〝ついで〟みたいな口ぶりだったな、あれは」

「君もそう思うか。残念ながら私も同感だよ」


 王はともかく、隣にいた男性エルフに関しては間違いなくそうだろう。レアルの顔を見る前とその後では様子が激変していた。


「王の隣にいたエルフと面識は……無いか」

「私がエルダフォスに来たのはこれが初めてだぞ? あり得るはずが無い。物心が付く前の幼少時であっても、私は生まれも育ちもディアガルだ」

「けど、お前さんの母親を知っている風だった。……って事はつまり──」


 と、俺が予想を口にする前に、客間の扉が開かれた。


「失礼します」


 最初に入ってきたのは、メイド服を纏ったエルフの女性(貧乳)。


 彼女が人を迎え入れる様に扉を大きく開くと、先ほど謁見したエルダフォス王が現れた。


 その後には先ほど大きな動揺を見せた男性エルフ。部屋に入るなりレアルの顔を見て顔を強ばらせたが、広間の時ほどに取り乱したりはしなかった。


 レアルと俺は彼ら入室に会わせて立ち上がり、膝を地面に付こうとしたがエルダフォス王が手で待ったを掛けた。


「こちらからの申し出なのだ。楽にして良い」


 その言葉に従い、俺たちは再度ソファーに腰を下ろした。その正面に、エルダフォス王と男性エルフが座る。


「突然のことで混乱しているだろう。まずは茶でも呑んで落ち着くと良い」


 エルダフォスの言葉の後に、メイドが部屋の外から茶器を乗せたワゴンを運び込み、俺たちの前にお茶を淹れる。


 出されたものに口を付けないのも失礼だろうと思い、俺とレアルはお茶に口を付けた。素人なので味の善し悪しは不明だったが、とりあえず気持ち的は落ち着くことが出来た。


 ホッと一息を淹れてから、エルダフォス王が切り出した。


「まずは改めて自己紹介からといこう。我が名はグリント・エルダフォス。知っての通り、このエルダフォスの王だ。そして私の隣にいるのが」

「ディウェルト・フォースリンだ」

「フォースリン家は代々、王の右腕として公務の補佐を担っている一族。そして彼は、フォースリン家に婿入りした私の実弟だ」


 え? これ隣のエルフこれが兄弟?


 ……失礼ながら、全く似てないぞ。


 エルダフォス王は性別不詳の美男。


 片やフォースリンの方は美男といよりかは美丈夫。


 同じ遺伝子を受け継いだ兄弟とは思えないほど似ていない。つーか、王の方が兄かよ。見た目で言えば完全に逆だぞ。


 ──と、心の中で思うに留め、全力でツッコミを堪えた。


「さて、『竜剣』レグルスよ。そなたを改めて呼び出した理由には、既に心当たりがあろう?」

「……私の母親に関して、でしょうか」

「そうだな。そしてこれにはそなた自身のことも含まれている」


 王はそう言って隣に目を向けた。そこから先は彼が話すのだろう。


「再度確認したい。貴殿の母親は」

「レイリーナで間違いありません。母はエルダフォスの出身であると聞いています。フォースリン殿は母と面識が?」

「……ああ、知っている。知っているとも。誰よりもな」


 フォースリンは深く肯定した。


 やっぱり、レアルの母親と面識があるのか。レアルとエルダフォスの繋がりは彼女の母親レイリーナしか無いからな。だが、単なる知り合いという軽い繋がりではなさそうだ。もしかしたらレイリーナとは婚約者とかそんな形か?


「竜剣殿の顔を一目見た瞬間に確信しよ。間違いなく、貴殿はレイリーナの娘であると。まさしくあの子の生き写しだ」


 え、ちょっと。この感情のはいりよう、マジで婚約者な雰囲気だぞ。


 ちょっとレアルの親父さん。あんた婚約者のいる人を嫁さんにしたのかよ。それって道徳的に大丈夫なのか。一人の男性としてとしてはちょっとどうかと思うよ。


 ……あ、でも彼の遺伝子が入っているからこそ、レアルの胸元は大きく実った可能性が大きい。だって、純血のエルフだとどう考えても遺伝子的に大平原ちっぱいの一択だからな。部屋にいるメイドさんエルフも絶壁大平原だし。


 そう考えると、竜人族であるレアルの親父さんを一方的に責められない。むしろ褒め称えた気さえしてくる。


 ──そんなお馬鹿な事を考えていると、不意に気が付く。


 もし本当にレイリーナがフォースリンの婚約者であるとする。するとディウェルト・フォースリンは婿入りの形といっていたから、すなわちレイリーナはフォースリン家の者。


 で、その娘であるレアルも当然フォースリン家の血を次いでいることになる。


 王の話によれば、フォースリン家は王の補佐役の家系。つまり、エルダフォスにおいては最高峰の地位にいることになる。


 レアルって、実はもの凄く良いところのお嬢様なんじゃぁ……。


 ──ところが、事実は俺の予想の更に上を行った。


「……フォースリン殿。あなたは母親といったいどういった間柄だったのですか?」


 レアルが問いかけると、フォースリンは落ち着きを取り戻してから口を開いた。


「…………レイリーナは、レイリーナ・フォースリン──」


 フォースリン。やっぱり彼女はこの男の婚約者か。


「──私の娘だ」



 ……………………………………………………。



 おっと、その可能性は失念していたわ。


 エルフは長命の種族であり、老化も極端に遅い。目の前の両者共に三十代から四十代に見えるが、それは他の種族のお話。こんな若々しい見た目であっても娘や孫がいても不思議では無い。


 

 ……………………………………………………。


 


 や、ちょっとまて。


 落ち着いてもう一度振り返って考えてみよう。


 まず、ディウェルト・フォースリンはフォースリン家に入り婿した身であり、そもそもは王の実弟。


 で、レイリーナはディウェルトの娘。


 そして、レアルはレイリーナの娘。


 ということは、ディウェルトとレイリーナには血縁関係があるというわけだ。


 

 ……………………………………………………。


 

 おいおいおいおいおいおい! 


 マジかよ!?


 レアルを見れば、彼女は目を見開き言葉を失っていた。


 彼女も俺と同じ結論に至ったのだ。


「その様子だと、理解できたようだな」


 俺たちの驚き様に察したのか、エルダフォス王が真剣な眼差しを向けながら、とうとう真実を口にした。



「竜剣よ。そなたはこのディウェルトの孫娘。



 そしてその躯には、我がエルダフォス王家の血も流れているのだ」

実はレアルもファイマと同じやんごとない血筋の持ち主でした。

世が世ならお姫様です。

もしくは姫騎士様ですね!! 

あ、でもくっころなんてさせないから。

作者が許さない。

彼女には絶対幸せになってもらう。

というか、カンナが幸せにする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ