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第百二十一話 珍しく彼がいてもシリアスな展開になっている様です(真相が明かされ始めるお話)

今更ですがこの作品は書籍化しますよ。

まじで。

 ──子どもを人質にしていた男が、その子どもの身を守った。


 交渉材料として、人質の安全を図ろうとするのは分からないでもない。だとしても、あの突然の状況の中、当然のように守る行動に出られるものなのだろうか。むしろ、足手まといになるぐらいなら見捨てるのが妥当な判断だ。


 空気が混迷する中、俺は未だにへたり込んだままパペトの元に歩み寄る。


「なぁパペトさんよ。いくつか質問に答えてくれ」

「へ? あ、はい。な、なんでしょうか?」


 この状況で声をかけられると思っていなかったのか、パペトの声は裏返っていた。


「そうさな…………まずはマリト君の好きな食べ物とかかな」

「ま、マリトの好み……ですか。それが一体…………?」

「いいから」


 怪訝な顔をするパペトだったが、それ以上は深く疑問に思わずに答えようと顎に手を当てた。


「そうですね──マリトの好み……好み……好み?」

「どうした? 跡継ぎ息子の好みぐらい、父親なら一つや二つ、知っててもおかしくはないだろう?」

「は、はい。そうなんですが……」


 しきりに首を傾げるパペトだったが、彼の口からは一向に答えは出てこなかった。


「答えられないか。だったら質問を変えよう」

 

 俺はそこから矢継ぎ早に話題を変えていった。それこそ嫌いな食べ物から始まり、趣味や誕生日などだ。だが、パペトはどれ一つとして答えられなかった。とにかく父親ならば知っていて当然の質問を適当に挙げているはずなのに、帰ってくるのは沈黙だけだ。


 それどころか、考えを深めるにつれて、パペトの顔色が悪くなっていき、額には脂汗が滲み出ていた。


 他の皆は、俺とパペトのやり取りに聞き入っていた。パペトの尋常ならざる様子に固唾をのんでいる。


「息子──マリトの……誕生日? 好み? 趣味? わ、分からない。息子のことが……分からない。何故だ? 私は……父親なのに……父親? 父親だ。私はマリトの父親──」


 呼吸すら荒く、とてもまともな状態ではなくなり始めているパペトに対して。


 俺は決定的な質問を投げつけた。


「なぁ、パペトあんたに──」



 ──『マリト』って〝息子〟は本当に存在しているのか?



 俺の声が耳に届いた瞬間、パペトは血走った目を限界まで見開き、頭痛を堪えるように頭を抱えた。


「わ、私に……私に息子? 息子……息子……私は父親……父親」 


 パペトはカタカタと手を震わせ、顔を蒼白とさせている。


 譫言のように繰り返すパペトだったが、ある瞬間にピタリと震えが止まった。


「……違う、父親のはずがない。私は父親ではない。父親であるはずがない」


 そして、パペトは最後に断言した。



「──私に、マリトという息子は…………いない」



 そう言ってパペトは白目をむき、糸が切れた・・・・・かのようにその場で力を失い昏倒した。


 気絶するとは思っていなかったが、それを除けば予想通り・・・・の答えだった。俺は会心の出来にくつくつと笑った。


父親パペトからの証言は得られた。彼に息子はいないとさ。さぁ、ここで問題だ。──そこで倒れている子どもマリトは、果たして何者なのか」


 皆が沈黙する中、ランドがいち早く〝真実〟にたどり着く。


「──ッ! ま、まさか……カンナ君……そういうこと・・・・・・だったのか!?」


 俺はランドに対して、頷いてやった。


「……どういうことなの?」


 ファイマにしては察しが悪いが、ランドには俺が事前に匂わせていた・・・・・・のでその差だろう。


「つまり、だ。この状況を作り出した諸悪の根元は、そこで死んだふりしてる『マリトクソガキ』だったってことだ」


 俺が確信を持って断言し指さすと、それまで力なく倒れていたはずの少年がむくりと起きあがった。


 その表情は、苛立ちと困惑に彩られており、これまで見せていた聡明でありつつも気弱な少年のものとは似ても似つかなかった。


「……何故、気が付いたのですか?」


 口調こそさほど変わらず、だが醸し出す雰囲気はがらりと変貌を遂げていた。まさしく、羊の皮を被った狼が本性を現したのだ。


 ──ただ、幼い顔ながらに整った顔立ちから、鼻血が垂れているのが微妙に滑稽だ。顔面にくっきりと靴底の跡が刻まれている。

誰か『カンナ』をネタに感想とかブログとか書いてないかな〜〜とかちょっと願って『カンナのカンナ』でネットでちょくちょく検索をかけています。


それで調べてたらあらビックリ、amazonに乗ってたわ。

気になる人はamazon入って『カンナのカンナ 本』で検索してちょうだい。

単純にググってもでないかもしれない。


ただ、申し訳ない。作者サイドからこれに関して詳しいコメントはできません。

けれども、いよいよ自分の本が現物になるという実感が湧いてきました。

今からそわそわわっしょいしています。


大雑把な予想だと、月末ぐらいには続報をお伝えできると勝手に考えてます(確約ではないです。ダメでも石投げないでください)。


では引き続き、カンナのカンナをよろしくお願いたします。


10/16日 19:30 活動報告に記事を更新しました。

多分、amazonで検索かけた人はお分かりだと思いますが、一応こちらも御覧ください。

http://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/604944/blogkey/1539689/



PS:ブクマや感想文、評価点は大歓迎です。ちょっと踏み込んでレビューとかもいかが?

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