第5話 日向、関羽と趙雲と死地に赴くのこと (後編)
劉備「私の名前は劉備、字を玄徳と言います」
日向(・・・・コイツが劉備?・・・マジかよ、こんな奴が蜀の王になるのか。全然そんな風には見えねぇ)
日向は目を見開いて驚いていると劉備は不思議に思って話し掛ける。
劉備「どうかしましたか、焔さん?」
日向「いや、なんでもない」
劉備「?」
日向「・・・とりあえず一旦ここを離れるぞ。話はそれからだ」
三人は劉備と村娘とその場から離れて、そして事情を説明する。
村娘「私はこの山のふもとに住む者ですが、村の子供達と山菜摘みに山に入った時、偶然ここの出入口を見付けてしまい・・・」
劉備「私はこの山で道に迷ってしまった所に賊と鉢合わせになって・・・」
関羽「なるほど、それでそなたらは捕まったという訳か」
村娘「実は、ここの地下牢には村の子供達も捕まっているのです。もし、私が逃げ出したと知れたらあいつらに何をされるか・・・」
趙雲「どうするつもりだ?」
関羽「無論、助けに行く」
趙雲「だろうな」
子供達を救出に関羽達は地下牢へ向かった。
一方その頃、公孫賛の方では鎧を身に付けて準備をしていると。
公孫賛「なに!張飛殿が」
文官「はい、関羽殿と焔殿のお戻りが遅いので心配だから自分も賊の隠れ家に行くと・・・」
公孫賛「しかし行くと言っても、そもそも賊の隠れ家の場所が分からぬからこその今回の策であろう」
文官「はぁ、それは私も申したのですが、行けば何とかなるだろうから、とにかく灼銅山の場所を教えろと」
公孫賛「で、教えたのか?」
文官「はい、すると風の様に飛び出していかれて・・・」
灼銅山の山中を張飛は歩いていたが。
鈴々「迷子になったのだ~!」
涙目で叫ぶ声にカラスが一斉に飛び立った。
鈴々「うぅ~困ったのだ、これだと愛紗とお兄ちゃんを迎えに行けないのだ・・・そうだ!山で迷ったときは木の切り株を見ればいいって、じっちゃんが言ってたのだ」
張飛は辺りを見渡し、切り株を見付けてジッと見詰める。
鈴々「ん~、年輪の間が広い方が南だから・・・こっちなのだ」
張飛は南に進んで行った。
賊の隠れ家の地下牢。牢屋の前では一人の賊が見張りをしていて、牢屋の中には子供達が居た。
賊「たくっ、なんで俺だけ。とんだ貧乏くじだぜ」
コン、コン
賊「ん?」
賊は音のする方を見ると酒と食べ物が置いてあるのを見付けた。
賊「お!誰かが持ってきてくれたのか、ありがてぇ」
酒と食べ物に近付き、酒を取ろうとする賊だが。
日向「おやすみ」
賊「グハッ!」
背後に日向が現れて賊を殴り飛ばして気絶させる。
趙雲「鍵だ!」
倒れた賊の懐から趙雲は鍵を取りついでに槍も取り上げて、牢屋の扉を開け子供達と逃げ出した。
趙雲「娘!出口の見当はつかないのか?」
村娘「すいません」
日向「・・・・・・・・っ!!」
すでに日向は赤眼を発動させて辺りを見渡しながら進んでいると何かを感知した。
日向「まずい!全員左の通路に進め!」
関羽達『え?』
日向に突然そう指示されたがとっさのことに全員が戸惑っていると、前方の横の通路から賊が出てきたのである。
趙雲「なっ!?」
チビ「あ!いたぞ!こっちだ!」
日向「チッ、急げ!」
賊に見つかってしまい、日向達は別の道を進んで逃げる。
趙雲(何で、分かった)
趙雲は疑問に思いながらも日向を先頭に次々と分かれ道を抜けていき、坂道を登って行くと太陽の光が見えた。
関羽「出口だ!」
日向達は光の方へ進んで外に出るが、そこは行き止まりだった。下には深い谷底が見え向こう側との距離はかなりあった。
関羽「くっ」
劉備「そんな・・・・」
一方、張飛は南に向かって歩いていたが。
鈴々「はぁ、よく考えたら南に向かったからって何がどうなるものでもなかったのだ」
張飛は歩きながら落ち込み、ふっと横を見るとその先に関羽達の姿を見付けたのであった。
鈴々「あ!」
日向は谷底を見ながらどうするか考えていた。
日向(どうする、氣を使えば何とかギリギリ飛び越えられるが。今の俺じゃあ人を抱えながらじゃ無理だ・・・・戻るしかねぇか)
日向は全員に中に戻るよう指示をしようとした時。
鈴々「愛紗~!お兄ちゃ~ん!」
谷の向こう側から張飛が現れた。
鈴々「やっと見つけたのだ!」
日向、関羽「「鈴々!」」
鈴々「けど、そんな所で何してるのだ?愛紗~!お兄ちゃ~ん!」
ふと日向は張飛の横にある大木が目に映ると。
日向「・・・(賭けてみるか)鈴々!!その木をこっちに倒れるように切り倒せ!」
鈴々「え?何でなのだ?」
日向「説明はあとだ!頼む!」
鈴々「分かったのだ!うりゃあぁーっ!」
蛇矛の太刀筋が木を一閃すると。
バキッバキッバキッ・・・・・・・ドーーーーンッ!!
轟音とともに木が倒れ橋が出来たのである。
劉備「すごい、橋が出来た」
趙雲「なるほど」
日向「時間が無い、これを渡って向こうに逃げるんだ」
村娘「さ、みんな」
子供達『うん!』
子供達は下を見たいように前だけを見ながら木の橋を必死に渡っていった。
日向(よし、これなら何とか・・・・チッ、もう来やがったか!)
趙雲「ん?」
趙雲は後ろから追っ手の気配に気付く。
趙雲「まずいな、急げ!」
関羽「大丈夫だ」
村娘「はい」
劉備「皆も、焦らずに落ち着いて」
日向「お前で最後だ、早く渡れ」
劉備「それなら、焔さん達も一緒に・・・」
日向「俺らは最後でいい、全員が渡りきってから俺らも行く」
劉備「でも・・・」
日向「お前が行かねえと俺らも行けねえんだ。だから早く行け」
劉備「・・・・分かりました。絶対、みんなで助かりましょうね!」
劉備は橋を渡って行くと入り口から賊が姿を現すと同時に趙雲が槍で洞窟内部に叩き戻した、坂道を転がり落ちる賊に中に居た数名の賊をも巻き込んで倒れていった。その間に子供達、村娘と劉備は無事に橋を渡り終えた。
子供『怖かったよ~』
村娘「みんな・・・」
劉備「よかった~」
関羽は安心した顔で見ていたその時、関羽の足場に亀裂が入ると足場は崩れて大木が落ちていった。
関羽「きゃあーっ!」
鈴々「愛紗ー!」
その光景を向こう側から見ていた張飛は叫ぶ。
日向「っ・・間一髪だな」
関羽「焔殿!」
関羽が谷底に落ちそうになったが日向が寸前のところで関羽の手を掴んでいた、そしてそのまま引き上げる。
関羽「ありがとうございます、焔殿」
趙雲「無事か、二人とも!」
そこに趙雲が駆け寄って無事を確める。
趙雲「危ない所だったな」
関羽「ああ、だが橋が・・・」
趙雲「万事休すか」
賊『クククク』
すると洞窟の中から賊達の笑い声が近付いて来ていた。
日向「・・・どうやら、道は一つしかねえようだな」
趙雲「ええ、覚悟を決めるしかないようだな」
関羽「うむ」
関羽は先程、趙雲が倒した賊が落としていった剣を手に取る。
関羽「なまくらだが無いよりはましか」
趙雲「しかし、焔殿の得物はどうする?さすがに素手だと厳しいのではないか?」
関羽「確かに・・・」
二人が日向の得物をどうするか悩んでいると。
日向「得物ならあるぞ」
関羽、趙雲「「え?」」
二人は日向の方に振り向くと、日向の手にはいつの間にか双牙を持っていた。
趙雲「お主、どこにそのような得物を持っていたのだ?」
日向「・・・・・・秘密だ」
二人は驚いているが、実は日向はあらかじめ双牙をポーチの中にしまっていたのである。
関羽「ま、まぁとりあえず、焔殿の得物は心配ないようだ・・・・行くか、焔殿、趙雲」
趙雲「星だ」
関羽「え?」
趙雲「共に死地へと赴く仲だ、お主達にはこれから私のことを真名で呼んでもらいたい」
関羽「わかった、星。ならば私のことも愛紗と呼んでくれ」
日向「俺は日向だ、好きに呼べ、星」
星「では、行くぞ!日向殿、愛紗!」
日向「ああ」
関羽「おう!」
三人は賊達に向かって駆け出す。
ザシュゥ!ザシュン!ザンッ!
三人は賊を切り裂いて突き進む。
賊『うああああーーっ!』
関羽、趙雲、日向は賊へと切りかかると、劣勢を感じたお頭は部下達に指示をする。
アニキ「取り囲んで一気に押し込めーっ!」
賊達は三人を円を描くように包囲する。
星「不思議だな、お主達に背を預けていると、負ける気がせぬぞ、愛紗、日向殿」
関羽「私もだ!背中は任せたぞ!星、焔殿」
日向「おう」
星「承知!」
日向、関羽、星「「「ハァーッ!」」」
気合いの雄叫びを上げながら三人は目の前の賊達へと向かって行った。
□日向side□
賊「死ねやぁっ!」
日向「お前が死ね」
賊「ぎゃあー!」
向かって来た賊は剣を降り下ろそうとしたが俺はその前に剛牙で切り裂く。
賊「「もらったぁーっ!」」
今度は二人がかりで襲って来る、すかさず後ろに少し後退して避けたあと一人を剛牙で右に凪ぎ払って切り、その勢いのまま体を回転させて閃牙でもう一人を背中を向けたまま突き刺す。
日向「さすがに数だけは多いな」
アニキ「何やってんだ!たった三人相手に何手こずってんだ!誰でもいいからさっさと仕留めろ!」
賊の親玉らしい男は何の作戦も無しに手下にただ倒せとしか言わなかった。これ以上時間の無駄と思った俺は剛牙に氣を纏わせて圧縮する。
日向「少し本気でいくか」
俺は左半身を前に向け、少し腰を落とし右手に持ってる双牙を腰の辺りで構える。
日向「いくぞ」
俺はその場で賊達に向かって腰を回転させ剛牙を突き放つが賊との距離は双牙の射程外だったが俺は構わずに突きを放つと。
日向「剛牙〝飛燕〟!」
剛牙の付け根部分を分離させ鎖に繋がれた剛牙を賊に向かって飛ばす。
賊『ええええぇぇっ!』
賊達は驚いてるみたいだ、無理もないか、いきなり武器が分離したんだ、この時代じゃあ見たことがないんだろう。この双牙には幾つかの仕込みがある、その一つが剛牙の分離が可能、分離した剛牙の付け根部分には鎖が繋がっている、この武器の唯一の遠距離技だ。
賊『ぎゃああああぁーっ!』
賊達の間を剛牙が通過すると数人の賊を剛牙の刃で切り刻まれて倒れていく、勢いが止まらない剛牙はそのまま賊達の足場に激突させると。
日向「ついでだ、食らっとけ。剛牙〝煉獄〟!」
ドオォォンッ!
剛牙に纏わせてた氣を開放して爆発をお越し爆風をも巻き起こす。近くに居た数人の賊は宙を飛んでいき、そのまま落下して地面に叩きつかれ絶命する。
日向「紅蓮と比べると威力が弱いな、やっぱり遠くなると圧縮し続けるのが難しくなる」
賊A「何だ、あいつの武器!爆発したぞ!」
賊B「よ、妖術使いだ!」
賊達が驚いてる間に剛牙を鎖で引き戻して元の双牙に戻す。俺はもう一度、剛牙を飛ばして爆発させようとしたが今居る場所を改めて考えてやめた、いくら爆発の威力が弱くても何かの拍子で洞窟が崩れる可能性があるからな。
アニキ「てめぇら!爆発したからって何ビビってんだ!全員でそのガキやっちまえ!」
賊の親玉が叫んで指示するが賊達は怯えて中々俺に近付こうとしない。こっちから近付いてもよかったが、それだと賊達が逃げる可能性がある、そこで俺は地面に双牙を突き刺して手放す。
アニキ「おい、見ろ!あのガキ武器を放したぞ!今なら殺れるぞ!」
丸腰になった俺に恐怖をなくした賊達は半分くらいの人数で俺に襲い掛かってくる。
関羽「焔殿!」
星「何を考えておられる!」
関羽と星は俺の無謀な行動に驚いていたが無視する。俺はすぐさま両手の指の小指と薬指を折り曲げ、親指、人差し指、中指を蛇の口の形のようにして指だけに氣を纏わせて牙を作って構える。
賊「オラァッ!」
一人目の賊が襲って来るが俺は余裕で避ける、避けると同時に俺は右手の指を大きく開いて賊の首に目掛けて噛みつく。
日向「氣術〝蛇牙〟!」
ブッシュウゥゥゥッ!
首の肉を噛み千切ると噴水のように血が飛び出る。
賊「え?」
賊は何が起きたか分からずにそのまま倒れていった。俺は指に掴んでいる肉片を捨てて、近くに居る賊達に向かってさっきの賊と同じようにして殺す。
賊A「クソがーっ!」
賊B「うらあぁぁっ!」
今度は数人で一斉に襲って来る、それを俺は一人づつ対応しながら頭を潰し、心臓を貫き、胸を切り裂く。
賊『ぎゃああああーっ!』
そうして殺し続けていくうちに指に纏わせた氣は徐々に小さくなってから消えた、氣を使ってから10分しか経ってないがすでに俺に向かって来ていた賊達は残り三人だけだったから問題はない。
日向「そろそろ終わりにしようか」
地面に刺してある双牙を引き抜き、即座に剛牙を飛ばしながら横に凪ぎ払って残り三人の首を飛ばす。
日向「さて、向こうを手伝うか」
こっちの賊を始末し終えた俺は関羽達が相手をしている残り半分の賊を始末しに向かった。
□日向side out□
時刻は夜になり公孫賛の屋敷では、中庭で公孫賛は鎧を身に纏い自分の白馬を用意して賊の討伐の準備をしていた。
文官「公孫賛様」
そこに文官がやってきた。
公孫賛「どうした?」
文官「関羽殿、焔殿、趙雲殿がお戻られました」
公孫賛「ほう、して首尾は」
文官「はい、みごと賊の隠れ家をつきとめられたのですが・・・」
公孫賛「が?」
文官「はぁ、そのままお三方ですべての賊を成敗されたと・・・」
公孫賛「三人だけで・・・すべて・・では私の出番は!?」
文官「残念ながら」
公孫賛「白馬に跨がり、花々しく、白馬将軍公孫賛ただ今推参!みたいなのは?」
文官の男は黙って首を横に振る。
公孫賛「ハァ・・・そうなんだ・・・」
後ろの白馬と共に公孫賛はがっくりと落ち込んでいると。
日向「公孫賛」
日向が現れたのである。
公孫賛「おぉ、焔殿。賊の討伐ご苦労であった、まさかそなた達だけですべて倒すとはな」
日向「そんなことはどうでもいい・・・今回の報酬は?」
公孫賛「報酬の方は問題ない。おい、持ってこい」
文官「はっ、かしこまりました」
文官の男はその場を離れていき、日向に渡す報酬を取りに行った。
日向「それと、例の件の情報は?」
公孫賛「ああ、そなたが探してる左慈という人物のことだな」
実は賊の隠れ家に向かう前に日向と公孫賛が話していたのは今回の報酬の話しと左慈がこの街に居ないか調べてほしいと公孫賛に頼んでいたのである。
公孫賛「兵達に街で色々聞き回ってもらったのだが、この街にそういった人物は居ないみたいだ」
日向「・・・そうか」
公孫賛「すまないな、力になれなくて」
公孫賛は申し訳なく日向に謝る。
日向「無理を言って頼んだのはこっちだ、別に謝る必要はない、気にすんな」
公孫賛「・・・そう言ってくれると助かるよ」
そのあと文官の男が戻ってきて日向は報酬を受け取ったあと、自分に用意してある部屋へと向かった。
星side
賊の討伐を終えた私達は無事に公孫賛殿の屋敷に戻り、私は自分の部屋で一人で酒を飲んでいた。
星「ゴク・・ゴク・・・フゥ・・・」
酒を飲み干して一息つけながら、私はある人物のことを思い返す。
星「・・・・日向殿、か」
私は彼の戦いを見て衝撃を感じた。見たこともない得物を自分の手足のように縦横無尽に扱い賊を薙ぎ倒し、あまつさえ素手だけで倒すその強さに私は自分が戦ってることを忘れてついつい見とれてしまった。その時私は思った、彼と出会ったのは天命だと。
星「・・・・フフ」
私はある決意を抱きながら、再び旅をする準備をしたあと眠りについた。
星side out
夜が明けて公孫賛の屋敷を後にした関羽、日向、張飛は次の村へと向かって歩いていたが、その隣には趙雲の姿が居た。
関羽「しかし、よかったのか?我々はまだ志願するつもりはなかったが、星はあのまま公孫賛殿に仕えれば一角の将として兵を任せられただろうに」
関羽は気になって趙雲に質問する。
星「公孫賛殿は決して悪い人物ではない。だが、ただそれだけだ、この乱世を治めるような器ではない、あと影も薄い」
関羽「何気に結構キツイこと言ってるな」
日向「そうか?」
星「この広い蒼天の下、真に仕えるに値する主はきっと他にいるはず・・それに何よりお主達といた方がこの先、楽しそうだ」
関羽「そうか、見つかるといいな」
星「ああ、もっとも大方、決まっているがな」
そう言って趙雲は日向を見つめていると。
???「待ってくださーい!」
一人の女性が日向達を追いかけてきた。
日向達『ん?』
四人は声のする方に振り向くとそこには劉備が走って近づいてきていた。
関羽「どうしたのです、劉備殿?」
劉備「みなさんにまだお礼をしてなかったので。あの、昨日は助けていただいてありがとうございます!」
劉備はペコリと頭を下げてお礼を言う。
関羽「そんなお礼なんて、我々は当然のことをしただけです」
劉備「それでも助けてもらったことにはかわりありません!みなさんのおかげで私はこうしてまた旅に出られるんです!」
日向「お前も旅に出てるのか?」
劉備「はいっ!」
関羽「・・・こう言ってはなんだが、劉備殿の実力では一人旅は危険ですぞ、なにゆえ旅を?」
劉備「実は、私ある人に大事な宝剣を奪われてしまったんです、それを取り戻すために旅をしてるんです」
関羽「・・・・・・・・・」
劉備の話を聞いたあと、関羽は何かを考える。
劉備「それでは、私はこれで失礼します。みなさんホントにありがとうございます」
劉備は頭を下げたあと歩き出そうとしたが。
関羽「劉備殿、待ってください」
関羽が呼び止める。
劉備「はい、何ですか?」
関羽「どうだろう、我々と一緒に旅をしませんか?」
劉備「え?」
関羽は劉備一人で行かせることに心配のようで一緒に旅をするか提案する。
関羽「このご時世に一人旅はやはり危険です、また賊に捕まるかもしれません」
劉備「で、でもそれだとみなさんに迷惑が・・・」
関羽「旅は道連れって言います、皆はどうだ?」
関羽は劉備を連れていっていいか、日向達に聞く。
鈴々「鈴々は別に良いのだ」
星「ああ、私も構わないぞ」
日向「・・・・・まぁ、俺の旅の邪魔さえしなきゃ別に構わん」
張飛と趙雲は迷うことなく了承して、日向も一応了承する。
関羽「皆もこう言ってます」
劉備「・・・あの、ホントに良いんですか?」
関羽「ええ」
劉備「みなさん、ありがとうございます!それから、これからよろしくお願いします!」
劉備は関羽の誘いを受けるのであった。
星「ふむ、どうやら話はすんだようだし、そろそろ参ろうか」
関羽「そうだな」
そう言って歩き出そうとすると趙雲が日向の右腕を組む。
日向「何で腕組むんだ?」
星「おや、おイヤでしたか?」
日向「いや、歩きにくいし・・・つーか胸が当たってるぞ」
星「当てているのですよ。これからよろしく頼みますぞ日向殿、色々と」
関羽「むっ!」
そんな二人のやり取りを後ろから見ていた関羽は二人を睨みつける。
日向(なんか関羽からすごい殺気を感じるんだが、どうしたんだ?)
星「ふふっ」
劉備「あはは」
鈴々「にゃはは!」
こうして新たに趙雲と劉備が仲間に加わり五人は次の村に向かうのであった。
剛牙〝飛燕〟
剛牙の付け根部分を分離すると鎖が繋がれていて、それを相手に向かって剛牙を飛ばす遠距離技。飛ばせる距離は34メートル。
剛牙〝煉獄〟
圧縮した氣を纏わせた剛牙を飛燕の技で飛ばして衝撃を与えると爆発させる遠距離技。紅蓮の爆発と比べると威力は弱い。飛燕との連携技。
氣術〝蛇牙〟
両手の人差し指、中指、親指を蛇の口の形のようにして、指だけに氣を纏わせて氣の牙を作り相手に噛みつく技。