オツトメ
ラッキーくんは、イヌです。
ラッキーくんの飼い主は、みんなからオヤカタと呼ばれているオジサンです。
ラッキーくんは、オヤカタのことが大好きです。
オヤカタも、ラッキーくんのことが大好きです。
ラッキーくんとオヤカタは、いつもいっしょにいます。
ラッキーくんには、守り神のシロギツネさんが、二人ついています。
二人の名前は、カズとミチといいます。
カズが兄で、ミチが妹の、双子のシロギツネです。
カズとミチは、いつもラッキーくんのそばにいて、ラッキーくんのことを助けてくれています。
ラッキーくんのことを助けてくれているということは、ラッキーくんが大好きなオヤカタのことも助けてくれているということになります。
なぜなら、オヤカタがつらくなると、そのオヤカタのことを大好きなラッキーくんも、つらくなってしまうからです。
「あれ?ねぇ、ちょっと待ってよ、カズ兄ちゃん。て、ことはさ、オヤカタが大好きなものたちも助けないといけないんじゃないの?」
稲荷寿司を作っていたミチが手を止めて、稲荷寿司を箱詰めしているカズにそう聞くと、そういえばそうだなという顔でカズは答えました。
「まぁ、そうなるよな。だって、そうしないと、オヤカタがつらくなって、オヤカタがつらくなると、ラッキーくんもつらくなるんだから。」
「はぁ?!意味わかんないし!じゃあさ、オヤカタが大好きな人が大好きなものたちはどぉすんのよ?そんなこと言ったら、世の中みんな助けなくちゃいけないじゃない!」
「まぁ、そうなるよな。しかたねぇだろ。それがオレたちの仕事なんだから。オツトメだ、オツトメ。」
ミチはペタリと地面に座り込んで言いました。
「あ〜めんどくさ。なんでシロギツネに生まれちゃったんだろ。」
カズはべつにニコリともせず、無表情で、もくもくと、箱詰め作業をつづけました。




