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妹弟兄姉マイティブラスター  作者: 秋保嵐馬
三.ヒメールランド王国編
40/50

40.ボディガード

「ダイゴ!」

 信じられないといった様子でアンナは声を上げた。

 今、向こうの丘に、ダイゴが立っている。

 ダイゴの他にも3人の人物が立っていた。

 ダイゴの両脇にいる2人にもアンナは見覚えがあった。

 確か、フォーグナー学園初等部新任のアカネ先生と、上級生の女の子だ。

 あとの1人は大臣のゲンツだった。

 アンナは駆け出した。

 ダイゴも走り寄った。

 アンナがダイゴに抱き付いた。

 アンナの方がちょっと背が高い。

 アンナに押し倒されるような形で、アンナとダイゴは草むらに倒れた。

「ごめんなさい、大丈夫?」

 アンナは直ぐにダイゴから降り、ダイゴに手を貸して助け起こした。

「どうやら、お捜しの者にお会いになれたようですな」

 ゲンツがやって来て言った。

「アンナ、元気だった?」

 アカネがアンナに声をかけた。

「アカネ先生」

「もう先生じゃないの。ガイチュラ“シャドウセブン”を倒すまでの仮の姿だったのよ」

「え、それじゃあ――?」

「エスパシオのシャドウセブンはドライバウト(Drive Out 退治)したわ。私たちと……、あなたの仲間、ヤン、ビリー、オウカ、ハルノでね」

「シャドウセブンを倒した……、信じられない! それで、ヤンたち4人は無事なんですか?」

 今度はチャコが答えた。

「ヤンとオウカの2人は重症を負ったわ。でも命に別状は無いから大丈夫。4人とも治療のために、地球の私たちの友達の所に来ているわ。私たちはあなたを迎えに来たのよ」

「あなたは……」

 アンナは言いよどんだ。

 フォーグナー学園初等部で顔を見かけた事のある上級生だったが、アンナはチャコの名を知らなかった。

「私はチャコ。ダイゴの姉よ。実はアカネ先生も私たちの姉なの。私たちは姉弟なんだ」

「なんだか……、急な事で、いろいろ信じられない」

「さあ、行こう、アンナ」

 ダイゴがアンナを促した。

 それまで黙ってやり取りを見ていたマサムネが口を開いた。

「待ってよ。いきなりやって来て、君たちは一体誰だ?」

「王子様。この者たちは、マイティーブラスターサーカス団の者たちです」

 ゲンツが代わりに答えた。

「マイティブラスターサーカス団……。ああ、そうだ。見覚えがある。君は、一輪車のお姉さんだね。あとの子は……」

「僕はピエロをやっていた。メイクしてたから分からないだろうけど」

 ダイゴがマサムネに言った。

「だけど、なんで君たちがアンナを連れて行くんだ。アンナはこの国のために戦ってくれる戦士なんだぞ」

「王子様、実はいろいろわけがございまして……。とりあえず詳しくご説明しますので、一度お城にお戻りください」


 ブラスト兄弟とアンナは城の一室に居た。

 事情の説明を受け、アンナは事の次第を全て理解した。

「ヤン、ビリー、オウカ、ハルノ。みんながキミの帰りを待っている。ヒメールランドには何の義理も無いはずだ。アンナ、4人の元へ、エスパシオへ帰るんだ」

 ツヨシが言った。

「でも、ヒメールランドに義理が無いのは、皆さんも同じでしょう。私と引き換えに皆さんがここに残って戦うなんて……、申し訳ないです」

「アンナ、そんな事は気にしないで帰って。その方が僕たちもうれしいんだ」

「だけど……」

 ダイゴにも言われたが、アンナは戸惑っていた。

 おかしな話だが、いつでも帰れるとなると、逆に帰りがたく感じてしまう。

 それは、孤独な王子、マサムネの存在があるからだろうか。

 マサムネが自分を思ってくれている事にアンナは気付いていた。

 今のところ、マサムネの友人といえるのはアンナだけなのだ。

「なんだか迷いがあるようね。それが何なのか、アンナ自身は言わないけど」

 アカネが言った。

「何を迷っているの?」

「女の子はいろいろあるのよ」

 疑問を呈するダイゴにチャコが答えた。

「分かった。ではこれからどうするかは、アンナ、キミが自分の意思で決めろ。助けが欲しい時は遠慮しないでいつでも言ってくれ」

 ツヨシが話を切り上げた。


 王妃ミノリーナの部屋では、王子王女たち8人が、母親からの話を聞いていた。

「ボディカード? あのサーカス団の子たちが?」

 王妃ミノリーナの言葉を聞いて、長女のベリー王女が驚きの声を上げた。

「確かにサーカス団の人たちは器用でしょうけれど……。それとボディガードの腕前は別じゃないかしら」

 次女のアップル王女が続ける。

「でも、このあいだ暴漢から私の事を守ってくださいましたわ」

 三女のパイン王女が言った。

「そこですよ。実は彼らはサーカスが本業ではないのです。専門はガイチュラ退治。宇宙害虫と戦って倒すほどの実力者だそうなのです」

 ミノリーナの言葉に、四女メロン王女が驚く。

「ガイチュラを倒すですって?」

「信じられない!」

 五女チェリー王女も同調した。

「そらなら安心かも」

「この間のパイン姉さまのような事がまた起きたらこわいし」

 六女オレンジ王女、七女グレープ王女の言葉からも賛意が感じられた。

「お母さま、アンナはどうなるのですか?」

 マサムネは、ボディガードがどうのこうのという話には興味が無かった。

 興味があるのは、アンナが今後、自分の元から去っていってしまうのかどうかという事だ。

「アンナについては、故郷に帰してやるという事で、ブラスト兄弟と約束しました。ですから、アンナはここを去る事になるでしょう」

「そんな……、そんなの僕はイヤです!」

 マサムネは部屋を駆け出した。

「マサムネ!」

 背後から名を呼ぶミノリーナの声が聞こえたが、マサムネは振り返らなかった。


 アンナはダルクの部屋にいた。

 小さいながらも傭兵達はそれぞれ個室を与えられている。

「ふーん、そうだったのか……」

 ダルクはアンナからの話を聞き終えた。

「自分の意思でやって来た私と違って、あんたがここに来たのにはそんな事情があったんだね」

「ダルク、私どうしよう……」

「こうやって、相談しているって事が、すでに答えが出ているって事じゃないか」

「答えが?」

「本当に帰りたいなら、一も二もなくあんたはエスパシオに帰るはずさ。ところが、そうじゃない。アンナ、あんたには帰りたくない理由があるのさ」

「帰りたくない理由?」

「気になるんだろう? マサムネ王子の事が」

「……」

「あんたが優秀なサイボーグだって事は分かっているが、あのドライバウターの兄弟たちは相当な腕前さ。あんたが居なくたって、きっとマサムネ王子の事は守ってくれるだろうよ」

「それは……、分かっているけど……」

「けど、帰りがたい――って事だろう?」

「うん……」

「じゃあ、帰んなきゃいいじゃないか」

「え?」

「なにもこのヒメールランドにずっと居ろって事じゃないよ。帰りたいっていう気持ちになるまで居たらどうかって事だよ。私だって、あのドライバウターの兄弟連中だって、いつまでもヒメールランドに居るわけじゃない。だから、あんたもいつまでここに居るか、自分で決めればいいって事さ。私やあの兄弟たちがそうしているようにね」

「そうか……、そうだね」

 ダルクの言葉で、アンナも気持ちがすっきりした。

 ヤンやオウカの治療にはまだ時間がかかる事を、アンナもブラスト兄弟から聞いている。

 せめて、ヤンやオウカが治るまでの間だけでも、アンナは地球に、ヒメールランドに残る事にした。

 ダルクの部屋のドアがノックされた。

「アンナ、いる?」

 ダルクがドアを開けると、マサムネ王子が居た。

「おや、王子様じゃないか」

「アンナがここに来ているって聞いて……、その……、アンナいるかな?」

「来ているよ、ホラ」

 ダルクは、部屋の中のアンナを差した。

 マサムネは部屋に入ってきた。

「アンナ……、その……、知らなかったんだ、君が無理やりヒメールランドに連れて来られていただなんて……。宇宙に帰ってしまうのかい?」

「マサムネ王子……」

「君がここでつらい思いをしないようにするよ。だから、今まで通り、ここに居てもらえないかな……?」

「私の事は心配してくれなくてもいいわ。それから……、もうしばらくここに居る事にする」

「本当!?」

「ずっとというわけじゃないけど……」

「ありがとう。良かった。もし、これで急にアンナが居なくなってしまうような事になったら、どうしようかと思って……」

 横からダルクが口をはさんだ。

「マサムネ王子様よ」

「?」

「あんた、いずれこの国の王様になるんだろう? だったら、みんなの幸せを考えられる人になんなきゃいけないよ」

「みんなの幸せを?」

「ああ、そうさ。あんたは今、自分の事を考えてアンナにここに居てほしいと思っているだろう。だが、本当の王様ってのは、国民の幸せを第一に考えるものさ。あんたも、何がアンナにとっていちばん幸せなのか考える事だね」

「何がアンナにとっていちばん幸せなのかを考える……。分かったよ。……でも、僕が次の王様になるかどうかは分からないけどね」


 ヒメールランド王国はこの年建国500周年を迎えた。

 それを記念し、国内8つのエリアで祝典が催される。

 8つのエリアには、8人の王子王女たちがそれぞれ1人ずつ列席する。

 どの王子王女に誰がボディガードとして付くのか。

 ブラスト兄弟は12人。

 王子王女は8人。

 1人につき2人のボディガードが付くとして、16人が必要だ。

 足りない4人は、傭兵の中から選ばれた。

 2人はダルクとアンナ。

 そして――。

 インセクタワーで共に戦った、ロンの村のジャックとケン。

 なんと彼ら2人もまた、傭兵としてヒメールランドに来ていたのだった。

「驚いたぜ。キミたちもヒメールランドに来ていたなんて」

 ブラスト兄弟は、ジャック、ケンと、固い再会の握手を交わした。


 王子王女たち8人と、ボディガードの組み合わせは次の通りとなった。


 第1王女ベリー(19歳)に、アオイ(24歳)とヒロシ(15歳)。

 第2王女アップル(18歳)に、アカネ(22歳)とコウジ(18歳)。

 第3王女パイン(17歳)に、キイロ(19歳)とケン(20歳)。

 第4王女メロン(16歳)に、ミドリ(16歳)とジャック(21歳)。

 第5王女チェリー(15歳)に、モモコ(13歳)とハヤト(21歳)。

 第6王女オレンジ(14歳)に、タダシ(12歳)とダルク(28歳)。

 第7王女グレープ(13歳)に、チャコ(10歳)とツヨシ(25歳)。

 王子マサムネ(9歳)に、ダイゴ(9歳)とアンナ(9歳)。

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