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妹弟兄姉マイティブラスター  作者: 秋保嵐馬
二.フォーグナー学園都市編
36/50

36.ブラストシルバーvsビッグガイチュラ

 ブラストブルーはテレキネシスで10本の短剣をあやつり、四方八方からビッグガイチュラを攻撃した。

 レッドはムチを振るった。

 バイオレットは12人に分身し、ビッグガイチュラのあらゆる部分に打撃を加えた。

 シアンとネイビーは斧を、グリーンとピンクはサーベルを、ゴールドとブラウンはヨーヨーを使って攻撃した。

 ダメージが与えられなくても構わない。

 ビッグガイチュラの気をそらすのが目的だ。

『よし、いまだ!』

 イエローがシルバーを抱いてテレポートした。

 出現した場所はビッグガイチュラの首の後ろ部分だ。

 シルバーはビッグガイチュラの首に触れた。

 ビッグガイチュラは首に何かが触れた事に直ぐに気付いた。

「ヌ? なんだぁ~~」

 ビッグガイチュラは長い手足の1本を首の後ろに回して、シルバーとイエローを振り払おうとした。

「させるか!」

 他の兄弟たちが、一斉にビッグガイチュラの目を狙って攻撃した。

 ビッグガイチュラになっても、目にはそれほどの強度が無い。

 ビッグガイチュラは、シルバーとイエローを振り払うのを後回しにて手足で目を守った。

 シルバーが念を込めた。

 精神を集中する。

 少しずつ、少しずつ、ビッグガイチュラの体が縮み始めた。

『よし、いいぞ』

『縮んでいる事を、ヤツに悟られるな!』

 兄弟たちが、注意をそらすための猛攻を続けた。

「ええい! うっとうしいわ!」

 ビッグガイチュラは長い手足をめちゃくちゃに振り回した。

 兄弟たちは近づけない。

 だが、そのリーチは少しずつ短くなっていった。

 ビッグガイチュラはどんどん縮んでいる。

 宇宙空間においては比較対照物が無いために、物の大きさを把握しにくい。

 だが、自慢の長い手足がどうもブラストレンジャーへ届きにくくなってきた事に、ビッグガイチュラも気付いた。

「こ、これは、どういう事だ?」

 ビッグガイチュラは、振り払うのを後回しにしていたシルバーとイエローが居る首の後ろに手をやった。

 しかし、何も無い。

 ビッグガイチュラは振り返った。

「げえっ?」

 ビッグガイチュラは驚きの声を上げた。

 巨大なブラストイエローが自分を見下ろしていたからだ。

 もちろん、イエローが巨大になったのではなく、ビッグガイチュラが小さくなったためにそう見えたのだ。

 イエローは両腕にシルバーを抱いていた。

 50メートルを超えるビッグガイチュラを、テニスボールとまではいかないが20センチ以下にまで縮め、シルバーは気を失ってしまったのだ。

「な、な……、これは一体?」

 状況が理解できず、うろたえるビッグガイチュラ。

 そのビッグガイチュラ――今はスモールガイチュラと言うべきか――を、黒い手ががっしとつかんだ。

 ブラストブラックだった。

 ブラックは、真っ直ぐ太陽を向くと、投球フォームを取った。

「太陽まで……」

 ブラックは、渾身の力を込めてスモールガイチュラを太陽に向かって投げつけた。

「飛んでいけえええ!」

 ブラックの強大な腕力は、ブラストスーツによって更に強化されていた。

「ぎゃああああああ!」

 その全力による投てきは、宇宙速度を突破、スモールガイチュラを超高速で太陽まで運んだ。

 スモールガイチュラは、宇宙空間を一直線に進み、太陽へと吸い込まれていった。


 戦いは終わった。

 スターナー市長からの依頼をやり遂げたのだ。

 兄弟たちはそれぞれの場所で、短い間だったが、知り合い、親しくなった者たちへの別れを告げていた。

 彼らがガイチュラと戦ったブラストレンジャーであった事を知る者は少ない。

 ブレストレンジャー時は、フルフェイスのマスクで素顔が隠されていたからだ。

 アオイは、フォーグナー学園中等部の、アカネはフォーグナー学園初等部の、職員、生徒たちにそれぞれ別れを告げた。

 アルバイトをしていたコウジとミドリは、フラワーショップ、ハンバーガーショップのスタッフたちに、それぞれ別れを告げた。

 ミドリと同級生であり、同じバイト仲間であったジュンは彼女との別れを惜しんだ。

 ヒロシはフォーグナー学園剣道部の面々に別れを告げた。

 大会が近いという事もあり、強く引きとめられたが、剣道部員として活躍する事がヒロシの生きる道ではない。

 フォーグナー学園中等部2年生のサキはショックを受けていた。

 せっかく仲良くなったモモコがもう行ってしまうのだ。

 また、気になる年下の男の子――タダシが、実はガイチュラと戦ったブラストレンジャーであった事を知る、数少ない者の1人がサキでもあった。

 タダシが校門を出る時、サキが見送りに来ていた。

 その隣に、もう1人の女子生徒が居た。

 タダシの同級生マロンだ。

 サキとマロンはお互い、ちょっと気にし合ったが、先にマロンがタダシに声をかけた。

「タダシ、またフォーグナーに遊びに来てよね」

「ウン、ありがとう。また来るよ」

 タダシは笑顔でマロンに答えた。

 サキにも同じ笑顔を向けた。

「サキ先輩もお元気で。約束守ってくれてありがとう」

 サキはタダシがブラストレンジャーであった事を誰にも言わなかった。

「タダシ……」

 タダシがガイチュラと戦っているのには、きっと様々な訳があるのだろうとサキは察した。

 しかし、今それについて細かくたずねる事はできない。

「や……、約束ってナンなんですか?」

 ちょっとライバル心が燃えたマロンが、先輩のサキに聞いた。

 だが、サキは何も言えなかった。

「おーい、タダシーー」

「元気でなーー」

「また来いよーー」

 校舎の窓に、アランたち同級生の顔があった。

「みんな! またねーー」

 タダシは大きく腕を振った。


 チャコ、ダイゴもまた、フォーグナー学園初等部を去る事になった。

 同級生だったニーナ、マイ、サム、レンらも、誰にも何も言わなかった。

 チャコとダイゴがガイチュラと戦ったブラストレンジャーという事は知らなかったが、何らかの関連があるのだろう事にはうすうす気付いていた。

 教会でのアカネ先生やチャコ、ダイゴの様子から、何となく空気を読んだのだ。

 チャコ、ダイゴの同級生たちも、在籍が短かったにもかかわらず、それぞれのクラスで2人とのお別れ会を開いてくれた。

 教師のダンやゴメル、生徒のアンナ、エレン、カレン、トムらは、今回の件での行方不明者とされた。


 ツヨシ、ハヤト、キイロの3人は市長室でソファにかけ、スターナーと向き合っていた。

「では、今回の報酬ですが……。本当にいいのですか、食料12日分だけで?」

 スターナーが3人に念を押した。

「構わない。俺たちは別に儲けるためにドライバウター(害虫退治屋)をやっているんじゃないからな」

 ハヤトが答えた。

「預けてもらったクレジットカードのおかげで、けっこう美味しい物とかも食べられたしね」

 キイロも言った。

「分かりました。では、お帰りのシャトルに食料を積み込みましょう。ご出発はいつになさいますかな?」

「今回の件とは別に、俺たちからあんたに話がある」

 スターナーの問いには答えずツヨシが言った。

「お話? ほう、なんでしょうかな」

 スターナーの目が光った。

「ヤン、ビリー、オウカ、ハルノの件だ」

「誰です、それは?」

 スターナーはソファにふんぞり返った。

「あんたが本当に知らないのか、それともフリをしているのか。――だが、そんな事は俺たちにはどうでもいい。サイボーグの彼らは今回大ケガを負った。彼らを一緒に連れていきたい」

「サイボーグ? 何の事だか私にはさっぱり……」

 スターナーの言葉が終わらない内に、部屋の3か所にあるドアが開き、どやどやと兵士たちが入ってきた。

 兵士たちは一斉に銃を構え、ツヨシ、ハヤト、キイロに向けた。

「え、なになに、これ?」

 キイロが兵士たちを見て言う。

 スターナーはソファーから立ち上がると、ツヨシ、ハヤト、キイロを見下ろし言った。

「どうもあなた方は、余計な事を知り過ぎてしまったようです。今回のガイチュラ退治には感謝しますが、サイボーグがどうのこうのという話を勝手に広められては困りますのでな。お気の毒ですが、消えてもらわねばなりません」

「じゃ、消えちゃおうかな」

 キイロが言うと、ハヤトとキイロの姿が消えた。

 次の瞬間、ブラストバイオレットとイエローの姿となった2人が、スターナーの両隣に出現した。

 2人はそれぞれの能力で、一瞬にして場所を移ったのだ。

 バイオレットは斧を、イエローはサーベルを、それぞれスターナーの喉元に突き付けた。

「それとも、あんたが先に消える?」

 イエローが言った。

「市長!」

「スターナー市長!!」

 兵士たちがざわついた。

 ツヨシはソファーにかけたまま言った。

「スターナー市長。兵士たちを下がらせろ。ガイチュラを倒した俺たちの力はよく分かっているはず。俺たちが本気になれば、あんたたちを全滅させる事など何でもない」

「く……、分かった。――お前たち、下がれ」

 脂汗を流しながらスターナーが言うと、兵士たちはドアの向こうに姿を消した。

 バイオレットとイエローは再び消え、ハヤトとキイロの姿に戻ってツヨシの両隣のソファに腰掛けた状態で現れた。

「その気になれば、ヤンたちを無断で連れ出す事もできた。一応話だけは通しておこうと思ったんでな。じゃ、俺たちは帰るとするよ」

 ツヨシ、ハヤト、キイロは立ち上がった。

「おっと、言うのを忘れていた」

 ツヨシが言った。

「今の一件で、あんたには罰金を払って貰うことにする。あんたの年収分に当たる金を指定の口座に振り込んでもらおう」

「な、なんだと、私の1年分の給料をだと?」

 驚く市長にハヤトがニヤリと笑って言った。

「あんたの命の値段だぜ。安いもんだろ」

「明日の出発までにやっといてね。じゃないと、またあんたの隣に来ちゃうから」

 キイロも笑顔で言った。

 目は笑っていなかったが。

 最後にツヨシが付け加えた。

「念のために言っておく。ヤンたちの家族に手を出すような余計な真似はするなよ」

 ツヨシ、ハヤト、キイロは手をつなぐと、テレポーテーションで姿を消した。


 宇宙空間を行くスペースシャトル。

 スペースコロニー「エスパシオ」から地球本星への自動操縦の帰りの便だ。

 乗っているのは、12兄弟、そしてヤン、ビリー、オウカ、ハルノの4人だった。

 全身の駆動系が焼き切れてしまったヤンは全く動けなくなり、ベッドに寝かされていた。

 オウカは体を動かす事はできたが、視力を失い、行動に不自由していた。

 ビリーとハルノの2人は、日常生活を送るには支障が無かったものの、それでもガイチュラたちとの戦いで体に大きなダメージを負っていた。

「ツヨシ、俺たちはこれからどこへ行くんだ?」

 ビリーの質問にツヨシが答えた。

「キミたちも俺たちも今回の戦いで大きなダメージを受けた。それを回復させる必要がある。そのための休養に行くのさ」

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