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マジックには、種や仕掛けがあるものだよ

         マジックには、タネや仕掛けがあるものだよ



俺は学校に間に合った。なんというか、その、ゴスロリを紅色に改造したような服に身を包んでいる、ティアラのおかげで。そして、ティアラは、かなりの美人だった。しかし、俺はそんなティアラの美貌に見とれるでもなく、校門の前でただ考え事を、していた。

なぜ、学校に間に合った?ん、なんか表現が違うな。正確には、目の前に、学校があった。これのほうが、正しいな・・・それでも、納得いかん。だって、家から学校まで、だいたい1.8kmで、さっきは家から100mの所にいた。計算したら、学校まで、あと1.7km。ボルト並みの走力でも、あと一分三十秒で1.7km走りなさいってのは無理だ。俺という名の荷物もあるしな。それに引き換え、このティアラは残り時間を延ばした。遅刻の五分前に、つきやがった。さっきは、遅刻一分三十秒前だったのに、だ。

「うーん・・・・」

そんな俺を面白そうに見ていたティアラは

「ふふっ・・・どうやら腑に落ちないようだな」

と、言いながらとても、愉快そうにしていた。

「だって納得いくかよ、こんな現象。時間を巻き戻せるなんて・・・ある種、最強じゃねえかよ」

そうだ、そんなことができるなら、宝くじや競馬で、大儲けも実現可能になるのだから。しかし、俺の考えは的を射ていなかった。

「ま、そう考えるのが普通だろうな。だが、いい線いってるぞ。・・・そうだ!!!じゃあ宿題を出すぞ?」

「何のだよ!?そして、なんで宿題出されなきゃいけないんだよ」

俺は反抗してみたが

「ハッピーセットの、お勘定お願いします。宿題という形で」

笑顔で脅されると、恐いもんだな。

「すみませんでした」

全身全霊の土下座part2・・・一日に二度もするとは思わなかったぜ。

登校中の生徒がこっちを見て笑っているようだが、命がかかっているのでやめる事が出来ない

「よろしい。・・・で、宿題とはさっきの現象を解明してみろ。もちろん、ヒントをやるぞ?間違っても文句は言わんから、考えてみろ」

「え・・・それは、ちょっとレベルが高すぎなんじゃっ・・・」

俺が最後、言葉に詰まったのは、ティアラが{お勘定お願いします}と、笑顔で目を光らせたからである。

「ヒントとは、なんでごぜえます?」

ごぜえますってなんだよ。

「うむ。私の、二つ名はなんだと思う?」

二つ名?う~ん

「狂眼のティアラと「この服を見てくれれば分かると思うが、血の色のように鮮やかで、混じりけのない赤。つまり、紅色だ。」

俺の言葉が遮られてしまったが、ティアラは怒っていなかった。彼女の目の奥は、深い海の中のようだった。

「もう、分かっただろう?私の二つ名は」

そこで、ティアラは言葉を区切り、

「「紅のティアラだ」だろ」

俺は、言葉を重ねていった。ティアラははじめ、目を見開きそして目を閉じて

「ああ、そうだ。正解したご褒美に、もう一つヒントをやろう。歴史とはなんだと思う?海軌やほかの人たちの、歴史だ。その真理に気づくことができたなら、さっきの現象についても理解することができるだろう」

そこでティアラは何かを呟き、消えた・・・

「え、消えた・・・・そういえばティアラはさっき、何か呟いてたな。えっと、確か{あと、50秒}はっ、学校の時間はあと三十秒しかない。折角ついたのに着席遅れで遅刻はいやだぞ」

そこから俺は、「がんばれ俺」と念仏みたいに唱えながら走った。


キーンコーンカーンコーン

ま、間に合った。よくやった俺

と、息を切らしている俺に、前の席に座っている長谷田昇はせだのぼるが、声をかけてきた。こいつとは、中学の時からの友達である。てか、同じクラスだったんだ。

「おおっ、ギリチョンだな海軌、正直俺は、お前が無事登校できてイラついているぞ。」

「何でだよっ、せめて何かほかに言うことあんだろ。{無事登校できてよかったな、心配したぞ}とかさ」

昇の野郎、嬉しそうな顔して・・・・キモイだろ、こっちみんな。

「しかし珍しいな。海軌がこんな時間に登校だなんて、中学の時はなかったじゃないか」

「ああ、ティアラとチョットな」

「ん?ティアラってなんだ」

あっ、ティアラとは今日、出会ったから昇は知らないか

「いや、それより一ついいか?」

ついでにティアラからの宿題である、歴史とはなにかを参考程度に、そして自分がサボるために聞いておくか

「いいぞ、人生相談か?女子にやるプレゼントは何がいいか、とかリア充じみた相談はいやだぞ?萎えるからさ。」

「じゃ、大丈夫そうだな。俺が聞きたいのは歴史とはなにか、についてだ」

「あ、あの海軌が・・・何か深いことを・・・ム、ムリだ!!!すまんが女子の下着のことをいつも考えている俺では・・・到底キミノ期待ニハ答エラレナイヨ」

「動揺しすぎだろ、お前。最後とかもう他国の人としゃべっているようだったぞ?・・・そして何より、お前サイテーだな、下着のこと考えているとか」

この歳でもう変態だとは

「ちなみに俺は、純白が最高だと思うぜ!!!(下着の色)彩らないでいて、しかし存在感を失わないあの色はもう、犯罪的だ。そして何より男の本能を刺激する・・・ムフ、ムフフフ」

前言撤回、変態の悟りを開いていた。もう救いようがないな、昇よ。お前に頼った俺が間違っていたよ。これからはお前以外の誰かに頼ることにするか

「そんな寂しいこと考えるなよ~少しでいいから頼ってくれよ~」

うおっ、このエロ仙人、人の心が見えるのか・・・そんな小動物みたいな目で見るなよ、そんなウルウルされたら・・・俺だって少しは頼ってみるかな、なんて思ってしまったり・・・・・・ねえな、よく見れば見るほど、産業廃棄物にそっくりだ。

「HR始めるぞ~」

そんなバカしてたら、先生がきてHRが始まった。

自己紹介も当たり触りのないことを言って終わらせた。


今日は初日なのですぐに学校が終わって放課後が顔を出す頃になった。

「はい、HRおしまい。気を付けて帰れよ~」

その言葉とともに訪れた放課後、俺は歴史がなんなのか分からないでいた。何となく授業でやる歴史とは違うであろう事は分かっていたが、俺たちの歴史が何なのか。その答えにすらたどり着いていなかった。なので、今は机に座っている状態である。

ガラガラ 誰かが入ってきたようだが、今は考えるのに精一杯だ。

「答えは分かったか?」

分からない、から今こうしているじゃないか。察してくれよティアラ・・・

「ティアラ?」

確かにティアラの声がして・・・ガタッ

「い、いつからそこに」

ティアラは俺の席の前に立っていた。彼女は最初、訝しげな顔をしたが、俺が答えに辿り着いていないことに気付いたようで

「なるほど、今朝の現象の答えについて考えていて、私に気が付かなかったのか」

「いや、俺たちの歴史の所からなんだがな」

「フム、まあ分かったら大したものだからな。分からないのも無理はない」

ティアラは俺の席の前で両手を広げて言った

「海軌、朝誰と出会った?」

「馬鹿にしてるのか?お前に決まってるじゃん」

俺はバカにされたと思い苛立った。しかしティアラは澄ました様子で

「そうだな、では朝家を出たとき何をしていた?」

「学校に向かった」

やはり俺はイラついてて、不愛想に答えた

「いや、違うな」

「え?いやだって学校に行こうとしてたじゃんか」

俺は自信に満ちた顔をしながら答えたがティアラは

「学校に行くために何をした?」

こう返したんだ。そして俺は分かった、歴史とは何か

そしてティアラも俺の顔を見て察したのか

「分かったようだな海軌、そう、歩こうとしたな、それがお前の歴史だ」

そして連鎖の如く朝の現象の答えが分かった

「それでは答え合わせをしようか。私は朝、学校に着いている者が体験した歴史に入り込んだ。君と一緒にな、それだけだ」

そのあとに、俺はこう続けた

「その歴史とは、学校に到着した瞬間からのこと」

「その通りだ、よくできたな海軌」

満面の笑みを零したティアラの目は泣いていた



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