ただあまり深く考えなかっただけのこと・・・
ただあまり深く考えなかっただけのこと・・・
俺は何処にでもいるような、見た目をした少年だ。そんな俺の日常は、いつから壊れてしまったのだろう。今横にいるこの女性、ティアラに出会った瞬間からか?いや、ティアラのせいにするのは筋違いだろう。俺があの時、言ってしまった一言から始まったのだから、結局のところ壊れてしまったのではなく、壊してしまったのだろう。そう、あの時の、あのハッピーセットが原因で・・・
「おっす、オラ霧心海軌・・・これ以外の自己紹介なら、何でもいいか」
なんてことを狭い自室で、脳を使わずに考えながら俺は、高校へ行く身支度をしていた。♪今日は心躍る初めての、高校生活初日だ。たのしみ~♪なんて、思っている奴はキチガイか、その辺の、[ピッカピカの~何とか君]達ぐらいだろう・・・あ、何とかさんかも知れないが、なこたどうでもいい、いや、ピカピカ光っているのはどうでもよくないので、見かけたら皮膚科を教えてあげよう。うん、そうしよう。
しかし、それにしても荷物はこれでいいのだろうか?ま、足りなくても明日持っていけばいいか(笑)。でも、入学初日に忘れ物なんて、少しみっともないな。
「プルルルルル・・・プルルルル」
「ん?誰からだろう、と・・・非通知?」
俺は気にしながらも、どっかの誰かさんからの電話にでてみると、それは女性からだった。
「もしもし?霧心海軌ですが何の用ですか?場合によっては青い正装に身を包んだ大人を呼びますが」
「私の名前はトレーム・ユ・ティアラだ。今の時間を確認してみろ!!」
プツッツーツー
・・・え?何?誰?時間って・・・ダッ ガチャッ 行ってきます。何だか知らんが、ありがとう、ストーカーさん?いやトレー何とかさん。あと10分しか時間ないけど間に合うか?いや、間に合わなければ校長を締め上げて遅刻を取り消そう。そうすれば、校長も泣いて俺の態度に感動すら覚えるだろうな!!!
俺は家が学校に比較的近いので、歩いて20分くらいだ、しかし時間は10分、走れば間に合う!!!と、一般人は思うはずだ。しか~し、俺は50mを11秒で走る底辺の男の中の、男だ。間に合うものか!!!よし、諦めて歩こう・・・うん・・歩こう・・・
「やっぱ、初日から校長のお世話にはなりたくない、あの{ハ○}の、校長に入学初日から怒られるなんてプライドが!!!」
家から100mほど先にある角を曲がろうとしたら電話が鳴った。
「プルルルルルル・・・プルルルルル」
まさか、またあのストーカー?トレー何とかさん?からか。あ、非通知だ・・・よし
「もしもし、なんですか?ストーカーさん。俺、今自慢の両足で走行中なので手短にお願いします」
すると電話越しに一言。
「死ね・・・・」
俺なんか傷つけること言ったか?・・・よし、慰めよう
「なんか気を悪くしたならすいませんストーカーさん。どうか、許してく「朽ち果てろ」ださいなんて言いません。ホントすいません」
俺今、墓穴掘ったよな絶対・・・・・・・・・
「あの、僕のこと罵倒していいいで、許し」
プツ・・・めっちゃ恐いよ~通話切られちゃった。たぶん、向こうはこんな顔→(・言・)してたんだろうなぁ
そしてまた、電話が鳴る。俺は無視を決め込んだのだが・・・
「プルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル・・・プルルルルルルルルルルルルルルル(怒)」
さすがに無視はよくないよな。うん、電話に出るか。
「すいませんでした!!!」
電話越しに、全身全霊の土下座する俺。もちろん額も地面と接触済み
「それならもういい、だが三つ言わせてもらうぞ?」
恐縮しながらも俺は
「はい、どうぞ」
と、土下座したまま返事をすることに成功した。(*電話中です)
「一つ目、私はストーカーではなく、トレーム・ユ・ティアラだ」
ドスのきいた声だった。本当に許してもらえただろうか。
「二つ目、勘違いしているようだが、さっき言った{もういい}は許す気がないからもう謝るな!!と、いう意味だ」
俺は許してもらえてないようだ
「三つ目、今からどんなにお前ががんばっても、学校には間に合わんぞ?」
どうやら笑っているようだ。
「ああ、知っているよ。どっかの誰かさんのせいでな」
少し性質が悪いよな俺。しかしトレームさんは、止まらなかった。
「そんな君に提案だ。今からがんばって、遅刻しに一人で学校に行くのと、楽をして私と一緒にこれから楽しく毎日登校して間に合うの、どっちがいい?」
俺は気になることがあったので質問してみた。
「今からどんなに、がんばっても遅刻すんじゃなかったのかよ?」
それに対しトレーム・ユ・ティアラは澄ました様子でこう言った
「ああ、お前一人の話だったらな」
そして、こう続けた
「もう一度、質問するぞ?これがラストチャンスだ。一人寂しく遅刻するのと、女性と一緒に、これから楽しく毎日登校し、かつ間に合うの、どっちがいい?」
そんなの、間に合うほうがいいに決まっている。しかも女性とセットだぞ?俺は得するほうを、躊躇なく選んだ
「それじゃあ、ティアラさん付きのハッピーセットで」
それに対して、ティアラさんは満足したように
「ようやく名前を憶えてくれたようだな。海軌君。いい返事だな!!あ、それと私のことはティアラでいいからな?{さん}は付けるな!そして、これからは君のことを、海軌と呼ばせてもらう。よろしく頼む」
俺はティアラの言っていることを深く考えていなかった。そしてまだ、ハッピーセットの値段を知らなかった。日常を壊すほどの値段の高さを・・・・・
今更なのだが俺はまだ土下座をしている。
そして今いる此処は、家から200mも離れていない。だって足が遅いから・・・