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依頼 その2

「猫ぉ?」

「はい、黒猫で、クロエって名前です。私の大事なペットなんですけど・・・・一昨日、散歩に行ってしまったきり帰ってこなくて・・・・。」

「心当たりのある場所は探したの?」

「勿論、全て探しまわったのですが・・・・・。保健所にも行ってみたんですけど、猫は運ばれてきていないと。」


ふむふむ、と所長が頷いている横で俺は依頼書を打ち込んでいた。

報告書は自分のパソコンで作成するが、依頼書だけは所長の持っているパソコンで打ち込まなければいけない決まりなのだ。

理由は「なんとなく自分の傍で依頼書作ってた方が安心する」だそうで。


「えっと、その猫の特徴とかってありますかね?」

「ええ、緑色の石をつけた首輪をしています。」

「緑色の石の首輪っと・・・・。所長、こんな感じでいいですか。」



依頼人:数入サナ(20歳) 白亜大学3年生

家族構成:父・母・妹 父は不動産会社を経営、母親はデザイナー

依頼:ペット探し 黒猫、名前はクロエ 首には緑色の石の首輪



「ん、いいよ。んじゃ、見つかったらすぐ連絡するね。」

「はい・・・。お、お願いします!絶対に、絶対にあの子を見つけてください!」


目にたっぷりの涙を浮かべながら、彼女はそのまま「授業に行かないと」とこの場を後にした。

しかし、あんなに心配するくらいなら散歩になんか行かせなければいいのに。

ずっと家に閉じ込めておけばいいものを・・・と思ったが口には絶対に出さない。

出したら彼女の涙が目から零れ落ちるのはわかりきっていることだ。



「んじゃ、みんなお仕事だよ。黒猫探し、はじめよっか。一里、隼は聞き込みと散策ね。」

「仰せのままに。」

「・・・・・(こく)」

「あの、俺は・・・・?」

「千種は僕と一緒に行こうか。」

「行くって・・・・探しにですよね?」

「んーん違うよ。まあついてこればわかるから。」


さ、行くよと出ていく所長を慌てて追いかける。

探しに行かないってどうゆうことだ?



「・・・てゆうか、所長暑くないんですか?」

「千種って反射神経いい方?」

何事もなかったかのようにスルーされた。

「そ、そうですね・・・・まあまあな方かと。」

「うん、ならいいか。」


たぶん死なないよね、とぼそっと所長が呟いたのを俺は聞き逃しはしなかった。

え、死なないってなんだ。

その前に反射神経についての質問もなんだ。

俺の背中に夏の暑さとは違う別の汗が流れる。


「所長、今から一体どこに・・・?」

「ん?今から?」


「情報屋さんに挨拶ぶちかましにいってあげるんだよ。」







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