ウサギとカメのレース詳細
特にオチも無い。ウサギがどれぐらいで寝てしまって、どれぐらいの差があったのかとかをわかりやすくしたもの。
イソップ童話の「亀とウサギ」、日本では「ウサギとカメ」として知られている競走。原典はものすごくシンプルでどっちが勝負を挑んだのか、何故そんな勝負になったのかさえもわからないのだけれど、少し経つと審判としてキツネが加わり少し話が膨らむ。
とはいえ、それでも詳細はわからない。今回は菊池寛が翻訳したバージョンを参考に、一体どんなレースだったのかを見てみることとする。ただ、わからない部分はイソップ童話も参照する。
まず、ウサギとカメの種類。これはウサギは「ノウサギ類」でカメは「チチュウカイリクガメ」という事がイソップ童話からはわかる。イソップ童話はギリシャが原典なので地中海陸亀というのは納得のいくところ。
ノウサギはヨーロッパノウサギとする。すると時速は55kmとのこと。短距離であれば時速80kmとあるが、マラソンレースと考えられるので時速55kmとしよう。一方、チチュウカイリクガメという狭い種のデータは見当たらないので、リクガメ全体の時速0.2~0.3kmというデータを参考に速い方の0.3kmを採用しよう。
菊池寛訳のウサギとカメは青空文庫にあるので興味があれば見るといい。
レースは500マイル。…457メートルという意外と短いコース設計。
ウサギは100マイル走った時点でカメの姿が無いので休憩、カメが追い付いてきたところで再び走りだし300ヤード走ったところでカメの姿が無くてバカらしくなってお休み。
そして、1,2時間後…カメは走り切っていたという展開。
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森じゅうの動物たちが息を呑んだ。
スタート地点には、しなやかな脚を鳴らして地面を蹴るウサギ。対するは、首をゆっくりと伸ばし、ひたすら前だけを見るカメ。
距離は――500ヤード(約457メートル)。
どちらが勝つのだろう?森の住民たちは興味津々にスタートの瞬間を見守っている。
「位置について――」
リスが旗を掲げる。
「よーい……」
森が静まる。
「ドン!!」
瞬間、ウサギが――消えた。爆ぜる砂だけがウサギが走ったことを示している。
「はっ、速ぇぇぇぇぇぇ!!」
一方、カメ…進んでいない、全然進んでいないのだ。
「お、おそーい。遅いというより…い、いや、は、はやーい、ウサギもう100ヤード地点…か、開始6秒!?」
実況役のフクロウが声を張り上げる。
「おや、しかし?どうした?ウサギも進まなくなったぞ!!」
「100ヤード到達前に一瞬振り返ってましたね」
解説のクマはウサギの挙動を見逃していなかった。
「やれやれ、僕の総力は時速55kmです。ですが…この格差、フルスピードで走る気はないのでご安心を」
ウサギ自ら止まった理由を解説する。
「な、なるほど、まるで宇宙の地上げ屋のような解説ありがとうございます」
「まさか、これほどの格差があるとは思いませんでしたな。とはいえ、この勝負仕掛けたのはカメ!何か秘策があるでしょう、それに期待しましょう!」
ノロノロ
ノロノロ
本当に秘策があるのか、果たしてそもそも全力で走っているのかカメはのんきに歩いているようにしか見えなかった。
レース開始15分。誰もが飽きていた。ヒマだった。
ノロノロ
ノロノロ
「おーい、ウサギ―、飽きたぞー、可哀想だからもうトドメ刺してやれー。ゴールしちまえよ」
観客からウサギに対してゴールしろとの指示まで入ってしまう。
「い、いやはや、これは…もしやカメの策略なのでしょうか、ウサギが動かないのは」
「な、なるほど、きっとそうです。ウサギは自分の意思で止まっているんじゃない、何かカメの秘策にはまって走る事さえ出来ない状態に陥っているとみました」
実況することがあまりにもないフクロウとクマは困り果て、カメ策略説まで持ち出してしまっていた。
………ノロノロ
「んー?へぇ、頑張りだけは認めてあげるよ、よくここまで来たもんだ」
開始17分、ようやく100ヤード地点で待つウサギの視界にゆっくり前進してくるカメの姿が目に入った。
「言ってるといいさ」
ニヤリ。表情の無いカメながら明らかに挑発的な笑みを浮かべたのがわかる。
ウサギは鼻を鳴らす。
「ふーん?じゃ、ちょっと走っちゃおっかな」
ウサギ、再始動。
わずか18秒で300ヤードを駆け抜ける。フルスピードを出さないとは何だったのか。ウサギ、全力である。ゴールまでは後100ヤード。6秒もあれば決着がつく。
やっとこの退屈なレースが終わるのか、観客たちの誰もがホッと胸をなでおろしていた。
「……なんか、バカらしくなってきた」
草の上に寝転がり、目を閉じる。
ウサギという生物は睡眠時間が長い。長いがショートスリープを繰り返す生物なのである。つまり、お眠の時間なのだ。フルスピードを出してしまった恥ずかしさもあり、全力じゃないんだよと宣言するかのように眠りについてしまった。
すぅ……すぅ……
「おぉい?あ、あと数秒で終わったろ?寝るなよ!?」
「あー、これは本気寝ですかね」
「寝ましたね」
リクガメもまた睡眠時間の長い生物であるが、夜間にまとめて寝るタイプ。レース中にお昼寝の必要はないのである。
「帰っちゃダメなのか、これ?」
「最後まで見届けるのがルールだ」
ノロノロ
ノロノロ
カメは歩き続けている。カメには何の秘策も無かった。だのに勝てる気でいたのだ。リクガメという生物はなかなかに頭が良い。だが、森の住民たちがカメとウサギのどちらが速いか知らなかったのと同じ、接点の無いウサギの走るスピードなど知らなかったのである。カメからすれば自分が遅いなどと思ってもいないことなのだ。
レース開始から1時間経過した。
「まだ歩いてる……」
観客の猿が呟く。
カメは300ヤードを少し超えた地点でレース開始時から変わらぬ…もしかしたら変わっているのかもしれないが、観客からみれば全く変わったように見えないスピードで歩き続けていた。
「捉えたぁぁぁ。遂に、遂に、遂にカメがウサギを追い抜いたぞー」
レース開始から1時間13分…絶叫するフクロウ。だが、その絶叫でもウサギは目を覚まさない。
「信じられん……」
眠り続けるウサギに対してなのか歩き続けているカメに対してなのか、あるいは果たしてその両方に対してなのか、腕を組み解説になっていない解説をするクマ。
カメは歩く。歩き続ける。進み続ける。
レース開始から1時間と30分。ついにカメは490ヤード地点に到達した。
「残り10ヤァァァァァド。ここまでのカメのスピードを考えればまだ逆転は十分に可能だッ」
「えぇ、カメは後1分はかかる。大してウサギは6秒、6秒ですからね。まだまだ勝負はわかりませんよ」
ここまで退屈な展開だっただけに盛り上げようとするフクロウとクマ。
Zzz
だがッ
起きない。
寝ている
ウサギ
のんきに
寝ている。
「ゴォォォォォォォル!!!!ゴールゴールゴーーーーール。カメが勝ったぁぁぁぁ」
森が揺れた。
「なんじゃそりゃぁぁぁぁ!」
「勝者…カメ!」
タイムは――1時間31分とちょっと。
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1時間、2時間とかいうテキトーに書いたとしか思えない原文通りの時間で決着するのすごいなと思った。
AIにこの展開をイラストにしてもらったんだけど、途中で計算間違えてるのがAIっぽい。何故か最後クマにZzzとかついてるのも意味不明。
走れメロスの計算をした中学生だか小学生だか確かいたけど、計算するとホントヒドい事になる作品が多い中、計算してみたら原文にある通りの時間で決着するのすごいなと思った。




