表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/17

エピソード17:冥界への黒い炎

ルシアンは身体をこわばらせた。


「我が主……このままでは訪問できません。状況が――あまりにも乱れています」


私はポケットに手を入れ、金貨の袋のミレイユの手に置き、続けてもう一つをセレスティーヌに渡した。


「服の用意は君たちに任せる。もし問題が起きたら、ルコン・ヒューバートが遣わしたと言え」


「彼女たちが服を買いに行っている間、私は体を洗ってくる。近くに川がある」


「じゃあ、私たちも行くわ」


他の者たちも全員ついてきた。


ルシアンとルシウスは、起きた出来事に今なお押し潰されそうになっており、すべてが自分たちの責任だと信じ込んでいた。


セレスティーヌとミレイユは、失望――裁きを予期していた。最初から近づこうともしなかった。


私はそれ以上、問いたださなかった。理由がある。


もう、誰が敵なのかは分かっていた。


ダリウスは私の屋敷を破壊し、使用人たちを殺そうとした。単独犯だ。必ず報いを受けさせる。


だが、カエルはさらに悪質だった。ヴェクサとリリを殺した――ゾルトの名のもとに。


ゾルトはその二人のさらに上に立つ存在。ダリウスの同盟者でもなければ、協力者でもない。信奉者と死体に囲まれた、ただの神。


真の標的は、彼だった。


エラーラは二つの遺体を軽々と抱え上げた。手に下げた袋の中で、ヴェクサとリリの切断された頭部が、鈍い音を立ててぶつかり合う。


「埋葬してくる」と彼女は簡潔に言った。「待たなくていい」


一人、また一人と、他の者たちは服を脱ぎ、川へと入っていった。水面は淡々と彼らを飲み込む。私はその場に残り、ルシアンの方を向いた。


「ダリウスとゾルトは、どれほど強い?」と尋ねる。


ルシアンは笑った。


不安の笑みでも、作り物でもない。こちらが知らない何かを、彼だけが知っているかのような笑み。


「ゾルトですか?」軽く言う。「それは分かりません。実際に戦うところを見たことがない。戦争中、私は死ぬために監禁されていましたから」


その話をしても、笑みは消えなかった。


「だがダリウスは……」と続ける。興味を帯びた光が瞳に宿る。


「あのガキは厄介です。天使との戦争に参加して――生き延びた」


彼は喉の奥でくすりと笑った。


「その戦争にいた天使は、たった十一体。十一です。その全員が、冥界と人類を滅亡寸前まで追い込んだ」


再び私を見る。笑みが、ほんのわずかに深くなる。


「そしてダリウスは、その全員を相手にして生き残った」


一拍。


「それだけで、十分でしょう」


「相当強かったんだな」と私は言った。「だが、なぜ君は監禁されていた?」


「ケッ、ケッ」ルシアンは歪んだ笑みを浮かべる。


「冥界が戦争に加わることに反対したからです。人類にとっては審判の日だった――我々には関係ない」


瞳が淡く光る。


「だから連中は、あの屋敷に我々を閉じ込め、死なせることにした」


「……なるほど」と私は言い、その重みを受け止めた。


「セレスティーヌとミレイユが来る前に、水に入った方がいいな」


ルシアンは、笑みを保ったまま軽く頭を下げた。


「仰せのままに、我が主」


その後、身を清めた――と言っても正直、石鹸もないので、ただ不快なだけだったが――しばらくして、ミレイユとセレスティーヌが服と食べ物を持って戻ってきた。


「食べ物も買っておいた方がいいと思って」とミレイユ。


「賢明だ」と私は答えた。


「はぁ……そんな言葉、いただける立場ではありません」そう言いながらも、彼女は微笑んだ。


まだ袋を持っているセレスティーヌを見る。


「君もだ。よくやってくれた。ありがとう」


「ん……そんな言葉……」彼女は小さく返す。


「お優しいですね、ご主人様」


「食べ終わったら知らせてくれ。あちらに行く」


私は、エラーラがヴェクサとリリを埋葬した方を指さした。


「それと、飲みすぎるな」セレスティーヌとエラーラを見る。


「大丈夫、控えめにするから」とエラーラ。


「喉を湿らせるだけです」とセレスティーヌ。


……おいおい。


私は二人の墓のそばに腰を下ろした。


「約束を守れなかった。許してくれ、ヴェクサ……リリ。もう、君たちにしてやれることはない。私は失敗した」


そこに留まり、何もせず、何も考えまいとした。風が草を揺らす音に耳を澄まし、胸の上下、そして自分がまだ呼吸しているという事実だけに意識を向けた。


遠くでは、他の者たちが準備を進めていた。声はかすかで、目的を帯びている。だが、ここには静寂しかない。大地と空、そして守れなかった者たちの静かな存在だけがあった。


それでも私はそこに留まった。わずかな平穏を追い求め、じっとしていれば、罪悪感が少しでも緩むのではないかと願いながら。


やがて、エラーラとセレスティーヌがやって来た。


「よぉ、王様。服だよ」とエラーラが差し出す。


広げた瞬間、分かった。


ルコンの選択だ。


「だから、その呼び方はやめろと言っただろう」


「いいじゃん。初めて会ったとき、自分で私の王だって言ったでしょ」


「今さら撤回しないでよ」


「ヒューバート王?」とセレスティーヌ。


「とても素敵だと思います」


「飲みすぎるなと言ったはずだ」


「大丈夫だって。この一本くらい、どうってことない」エラーラは鼻で笑う。


「私は酔わない」


私は一枚ずつ服を脱ぎ、新しい服に着替え始めた。その最中――


「ご主人様」とエラーラ。「子どもを持つこと、考えたことある? きっと強い子になるよ」


「いつかはな」と答える。「平和になったら」


「何人欲しいんですか?」とセレスティーヌ。


「十人くらいかな。分からない。その時考える」


「質問はここまでだ。行くぞ」


皆が集まり、まるで私を待っていたかのように自然と輪を作った。私が考え込んでいる間、彼らは無言で準備を整えていたのだ。


アルドリンとエラーラは鎧を着たまま。重さなど気にも留めていない。


「私が連れて行きましょうか?」とルシウス。


「頼む」と答えた。


次の瞬間、黒い炎が私たちを包み込んだ。


炎が消えたとき――そこにいた。


――冥界――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ