エピソード17:冥界への黒い炎
ルシアンは身体をこわばらせた。
「我が主……このままでは訪問できません。状況が――あまりにも乱れています」
私はポケットに手を入れ、金貨の袋のミレイユの手に置き、続けてもう一つをセレスティーヌに渡した。
「服の用意は君たちに任せる。もし問題が起きたら、ルコン・ヒューバートが遣わしたと言え」
「彼女たちが服を買いに行っている間、私は体を洗ってくる。近くに川がある」
「じゃあ、私たちも行くわ」
他の者たちも全員ついてきた。
ルシアンとルシウスは、起きた出来事に今なお押し潰されそうになっており、すべてが自分たちの責任だと信じ込んでいた。
セレスティーヌとミレイユは、失望――裁きを予期していた。最初から近づこうともしなかった。
私はそれ以上、問いたださなかった。理由がある。
もう、誰が敵なのかは分かっていた。
ダリウスは私の屋敷を破壊し、使用人たちを殺そうとした。単独犯だ。必ず報いを受けさせる。
だが、カエルはさらに悪質だった。ヴェクサとリリを殺した――ゾルトの名のもとに。
ゾルトはその二人のさらに上に立つ存在。ダリウスの同盟者でもなければ、協力者でもない。信奉者と死体に囲まれた、ただの神。
真の標的は、彼だった。
エラーラは二つの遺体を軽々と抱え上げた。手に下げた袋の中で、ヴェクサとリリの切断された頭部が、鈍い音を立ててぶつかり合う。
「埋葬してくる」と彼女は簡潔に言った。「待たなくていい」
一人、また一人と、他の者たちは服を脱ぎ、川へと入っていった。水面は淡々と彼らを飲み込む。私はその場に残り、ルシアンの方を向いた。
「ダリウスとゾルトは、どれほど強い?」と尋ねる。
ルシアンは笑った。
不安の笑みでも、作り物でもない。こちらが知らない何かを、彼だけが知っているかのような笑み。
「ゾルトですか?」軽く言う。「それは分かりません。実際に戦うところを見たことがない。戦争中、私は死ぬために監禁されていましたから」
その話をしても、笑みは消えなかった。
「だがダリウスは……」と続ける。興味を帯びた光が瞳に宿る。
「あのガキは厄介です。天使との戦争に参加して――生き延びた」
彼は喉の奥でくすりと笑った。
「その戦争にいた天使は、たった十一体。十一です。その全員が、冥界と人類を滅亡寸前まで追い込んだ」
再び私を見る。笑みが、ほんのわずかに深くなる。
「そしてダリウスは、その全員を相手にして生き残った」
一拍。
「それだけで、十分でしょう」
「相当強かったんだな」と私は言った。「だが、なぜ君は監禁されていた?」
「ケッ、ケッ」ルシアンは歪んだ笑みを浮かべる。
「冥界が戦争に加わることに反対したからです。人類にとっては審判の日だった――我々には関係ない」
瞳が淡く光る。
「だから連中は、あの屋敷に我々を閉じ込め、死なせることにした」
「……なるほど」と私は言い、その重みを受け止めた。
「セレスティーヌとミレイユが来る前に、水に入った方がいいな」
ルシアンは、笑みを保ったまま軽く頭を下げた。
「仰せのままに、我が主」
その後、身を清めた――と言っても正直、石鹸もないので、ただ不快なだけだったが――しばらくして、ミレイユとセレスティーヌが服と食べ物を持って戻ってきた。
「食べ物も買っておいた方がいいと思って」とミレイユ。
「賢明だ」と私は答えた。
「はぁ……そんな言葉、いただける立場ではありません」そう言いながらも、彼女は微笑んだ。
まだ袋を持っているセレスティーヌを見る。
「君もだ。よくやってくれた。ありがとう」
「ん……そんな言葉……」彼女は小さく返す。
「お優しいですね、ご主人様」
「食べ終わったら知らせてくれ。あちらに行く」
私は、エラーラがヴェクサとリリを埋葬した方を指さした。
「それと、飲みすぎるな」セレスティーヌとエラーラを見る。
「大丈夫、控えめにするから」とエラーラ。
「喉を湿らせるだけです」とセレスティーヌ。
……おいおい。
私は二人の墓のそばに腰を下ろした。
「約束を守れなかった。許してくれ、ヴェクサ……リリ。もう、君たちにしてやれることはない。私は失敗した」
そこに留まり、何もせず、何も考えまいとした。風が草を揺らす音に耳を澄まし、胸の上下、そして自分がまだ呼吸しているという事実だけに意識を向けた。
遠くでは、他の者たちが準備を進めていた。声はかすかで、目的を帯びている。だが、ここには静寂しかない。大地と空、そして守れなかった者たちの静かな存在だけがあった。
それでも私はそこに留まった。わずかな平穏を追い求め、じっとしていれば、罪悪感が少しでも緩むのではないかと願いながら。
やがて、エラーラとセレスティーヌがやって来た。
「よぉ、王様。服だよ」とエラーラが差し出す。
広げた瞬間、分かった。
ルコンの選択だ。
「だから、その呼び方はやめろと言っただろう」
「いいじゃん。初めて会ったとき、自分で私の王だって言ったでしょ」
「今さら撤回しないでよ」
「ヒューバート王?」とセレスティーヌ。
「とても素敵だと思います」
「飲みすぎるなと言ったはずだ」
「大丈夫だって。この一本くらい、どうってことない」エラーラは鼻で笑う。
「私は酔わない」
私は一枚ずつ服を脱ぎ、新しい服に着替え始めた。その最中――
「ご主人様」とエラーラ。「子どもを持つこと、考えたことある? きっと強い子になるよ」
「いつかはな」と答える。「平和になったら」
「何人欲しいんですか?」とセレスティーヌ。
「十人くらいかな。分からない。その時考える」
「質問はここまでだ。行くぞ」
皆が集まり、まるで私を待っていたかのように自然と輪を作った。私が考え込んでいる間、彼らは無言で準備を整えていたのだ。
アルドリンとエラーラは鎧を着たまま。重さなど気にも留めていない。
「私が連れて行きましょうか?」とルシウス。
「頼む」と答えた。
次の瞬間、黒い炎が私たちを包み込んだ。
炎が消えたとき――そこにいた。
――冥界――




