ご契約有り難う御座います。コチラはサービスで御座います
「おぉすげぇ!」
ホログラムで目の前に浮かび上がる世界樹、それがスキルツリー。いくつもの枝分かれがあり枝葉の先にルーン文字が書かれている。勿論読めないけど。ソウルポイントという物を消費してスキルを解放するらしいが、努力で解放出来るモノも結構あるらしい。
スキルツリーは大きく分けて2つ。俺のは右がパワー系、左はインテリジェンス系なんだが…左のインテリジェンスが所々金色の筋が走っていて、枝葉の先に書かれたルーン文字が光っている。右と左で随分差がある様な感じだ。
「翔平様、今回のご契約にあたり我が教団から特別サービスとしまして、翔平様がご興味を寄せられていた魔法に必要なインテリジェンス系を伸ばせるだけ限界までサポートさせて頂きました」
マジか! てかインテリジェンスほぼ解放されてるじゃん!
スキルツリーを伸ばす為のソウルポイントは魔力の1つだが、毎日少しずつ溜まるログインボーナスみたいなモノらしい。その他にもイベント、周年、お詫びなどでも配られるらしい。お詫びって…しかし生きて行く上で絶対に消費せざるを得ないのも事実で、スキルを上げないと生活に重大な支障を来たす。実際転移して来た俺がそうだった。それでも努力して地球なら仕事帰りの週3回ジムに通った程度では手に入らない程の肉体に仕上がっている。それでもこの世界では12歳の子供、しかも女の子にすら負ける。その原因はスキルツリーのパワー系統を全く解放していないのが原因だった様だ。それほどに魔力とは多大な恩恵をもたらしてくれる。
その大切なスキルポイントを消費する事なくサービスでカンスト近くまで伸ばしてくれるなんて超ラッキーだ。
「更には大型契約のご成約につに初回限りの特別ご奉仕といたしまして、32年分のソウルポイント丸々還元サービスが御座います!」
マジか。太っ腹過ぎるだろ。
「さーらーにー!! 今後のご活躍に期待を込めまして我が教団からの先行投資!【属性追加】をサポートさせて頂きます!勿論属性は選択可能で御座います!」
通常属性は1人に1つ、属性も生まれた時に決まってしまう。稀に胎児の段階で双子が融合してしまったなど、数千万分の1みたいな特殊なケースを除いては原則1人に一属性だ。これはかなり嬉しい!言わばチートだもんね〜♪
しかも属性の選択まで出来るなんて…苦節32年、やっと、やっと報われる時が来たのを感じる。
そこからはアスモデウスと相談しながらノリノリウキウキでキャラメイクタイム。
アスモデウス助言の元、特定条件のスキルツリー解放を獲得すると新たなスキルツリーが発現し特殊ジョブなども発現した。
後、属性は炎を選択、もう一つは相性の良さげな風を選択した。どの道悪魔は攻撃特化のスキル構成なので、持てる長所を伸ばす方向性で行く事にした。因みに属性は本来生まれ持った天性なんだが後天的に得られる属性が2つだけある。天使を信仰すると聖属性、悪魔信仰で闇属性、魔神は無いらしい。
つまり、俺は炎と風と言う類稀なデュアル属性に加え、それらが闇の炎、闇の風と言うボーナスが乗っかるらしいw
因みに信仰する神による恩恵はこんな感じだ
【天使】(ANGEL)癒し、バフ(大)
【魔神】(demon)防御、バフ&デバフ(少)
【悪魔】(DEVIL)攻撃、デバフ(大)
厳密に言うと神はスキルツリーなどを発行する運営で、神から見ればこの3教団は全て同等だが、しかし天使からの収益の多さに免じて一部【神】の名を冠する商品を出す事が許されている。
後、魔神と言うのは元々エンジェルサイドにいたルシファーがその卓越した営業手腕から独立を宣言、しかしエンジェルサイドの印象操作により【堕天使】と言うネガティブキャンペーンがバズる。やむなくデビルサイドの代理店としてしばらく活動、しかし敏腕のルシファーはデビルサイドのノウハウをのみ込み再び独立、堕天使のイメージを払拭し神と悪魔の間【魔神】と言う新たな切り口でセールスを開始。
天使の【癒しとバフ】
悪魔の【攻撃とデバフ】
この中間と言う今までに無かった新しい視点で顧客のニーズに応える攻防バランスの良いスキルと魔法【魔神信仰】は瞬く間に王族や貴族階級に人気を博し【聖騎士】や【修道士】と言った高貴なブランドイメージの確立に成功し今日に至る。 との事。
いや、大変だなこの人達も…
とにも角にも俺のチート生活は約束されたも同然、それはアスモデウスも確約してくれた。そして闇の宣教師として布教活動をするに当たり一つだけ気を付けなければならないのが【無償の奉仕】は絶対にダメらしい。別に人助けや慈善活動はOKだが偽善は絶対NGとの事で必ず【対価】をもらう事。それも等価交換で。要は少しでも疑問が残る取引や行動は規約違反となりペナルティが課せられ最悪死に至る場合もあるらしいので気をつけよう…
だが、自分でキチンと納得できる取引であれば別にパン切れ1枚でもいいらしい。
まぁその辺は現場でおいおい慣れて行きましょうと言う事で終わった。
当面は勧誘活動をしながら魔力レベルを上げろと言われた。ソウルポイントは多かったが魔力を上げないと現時点では使えない魔法が多い。なので魔獣などを倒しながら経験値を重ねて行こうって事になった。
差し当たり俺の金を奪った冒険者には恨みがあるので、先ずはそいつらに復讐するつもりだ。恨みを晴らしてもレベルは上がらないがアスモデウスやメリッサの腹の足しになる様でそれは人間で言う給料と同義らしい。
悪魔の現状はスリープやアローみたいな比較的イメージが悪くない魔術をエンジェルサイドに貸し出しエンジェルの自社製品と言う形で顧客に提供して貰っていて、そのレンタルインセンティブで細々とやりくりしているらしい。
取り敢えず今回の契約でかなりサービスしてもらった事だしアスモデウスには恩が出来た。チートも嬉しいが地味に童貞卒業が1番嬉しかったりするw
だってさ、テレビや映画でしか見た事ない様な美人だよ?まさに悪魔的な可愛さなワケよ、それをあんな好き勝手にさせてもらえただけで生きてて良かったと心から思いましたw
うし、いっちょ頑張るか!
———数時間前———
2人の悪魔は隣の部屋へ移りメリッサは解析の報告をする。
「部長見てくださいコレ、あの人属性が2つ有ります」
「んな! なワケ…マジやん、なんで?転生者か転移者か何か?」
「恐らく…しかも2属性ともまだ未選択ですよ」
「おいおいおい…デュアルってコレはとんでもない拾いモンだぞ?何としてでも絶対に契約が欲しい所だな…」
「部長、スキルツリーも何故かインテリジェンスが所々カンストしてます、おまけにソウルポイントが32年分、しかも童貞倍率サービスで64年分丸々残ってます。」
「・・・マジか、メシアになれるポイントじゃねぇか…インテリジェンスがカンスト…もしかして地球人か?」
「かもしれませんね、どうします?本部に指示を仰ぎますか?」
「ダメだ! 絶対手柄を横取りされるに決まってる。絶対にこっちだけで特別契約まで持っていくぞ。メリッサ、すまないが奥のテを頼めるか?」
「・・・ですね、流石にコレだけの逸材ですもんね…分かりました。ヤります」
「メリッサ!恩に切る!取り敢えずアイツが持ってる属性や才能やポイントは全てプレゼントって認識にするからトークは俺に任せてくれ、しかしコレは凄い事になるぞ…」
「はい、遂に大チャンスが来ましたね!ココ気合い入れて行きましょう!集中で!」




