大胆不敵
「えぇ…いや…」
「アンタほんとイカれてるわねw」
前にも後ろにも進めない、かと言って無視しても被害被るならこちらから打って出ようと言う作戦だがその内容が無茶苦茶だ。
「どうせ逃げる前提ならワンチャン女王を眷属にしちゃえば良いじゃん」
と言うのがミカの提案だ、簡単に言うと魂が屈服する程女王を犯せと。頭のネジが5〜6個吹っ飛んでる様なので後でネジを発注しておかないとね。それはさておき
「眷属は良いとして、その…ミカはいいの?」
「何が?」
「いやその…アレだよ、犯すワケだから」
ぶっちゃけ今後悔している。やきもちを焼いて欲しいと催促してる事に話しながら気が付いた。やきもちもクソもそもそもミカの提案なのに。
それを見てバニーが見てらんないわとばかりに思わず口を挟む。
「ちょっとアンタ、もう少し男心を分かって上げなさいよ!アンタにやきもち焼いて欲しいのよ彼は!」
「そ、そうだよ!」
直球ど真ん中の豪速球を容赦なく放り込まれた俺は居た堪れなく恥ずかしいからもう声を上げて自らバニーに乗っていった。
「そーなんだ!可愛トコあるじゃない(笑)」
ミカはテーブルに肘をつきニヤけながら俺をからかう。あー言うんじゃなかった。恋愛経験値が低いとどうしても自分の考えをすぐ口に出してしまう。自分の気持ち、自分の考え、自分自分自分。恥ずかしい思いをして大いに後悔をしたのでもう少し大人になろうと誓った。これはしっかり経験値を積んでいるんだと自分に言い聞かせる。
「てかアンタもアンタよ男のクセに!他所で女抱くのなんて男の嗜みじゃない!それともアンタもしかして一夫一妻の部族出身とかなの?」
ミカがウンウンと大きく頷いている。
「アタシもアナタに求められらのは嫌じゃ無いんだけど、アナタって常に求めて来るじゃない?」
はいすみません。ぶっちゃけ毎日でもシたいんです。でも話を逸らされたりそう言う雰囲気になかなか待って行け無かったりする事が殆どだ。遠出の泊まりのクエストの時は相部屋になるから必ずそうなるけど、それ以外は逃げられてしまう。
「しかも一回始まるとアナタ明け方までするでしょ?」
はいすみません。ぶっちゃけ昼までシたいんです。そしてそのまま寝落ちしたいんです。
「アタシも嫌いじゃ無いんだけど、翌日はホントに足腰が立たなくなって仕事なんて出来たものじゃ無いのよ」
あー、だから泊まりの時もクエスト終わりの最終日しかさせてくれなかったんだな。
「華奢なアタシ1人でアナタの全てを受け止めるには体力的に難しいの、そこで女王の出番ってワケ。もし上手く行けば国外逃亡しなくてヨシ!眷属増えるからヨシ!アタシも産まれたての子鹿みたいにならなくて済むからヨシ!アナタも大満足でヨシ!」
と言うヨシヨシ尽くめだとドヤ顔をされた。俺的にはミカに嫌われたり避けられていたワケじゃ無いとハッキリ分かったので後の事はどうでも良かったので快く今回の案を受け入れる事にした。犯すと言うのはかなり罪悪感が残るがこっちは命の危機に晒される程に迷惑被ってるワケだからと自分に言い聞かせる。
でも考えれば考える程腹が立つ。なんで他人の気分や利益の為にこんな右往左往させられなきゃならないんだと考える程にメラメラとヤる気が沸いて来る。
———その夜———
まだこの国が共和国ではないカルデモ王国時代、アルマンダル・ド・ヴァロワ王の悪政は反乱軍を生み出してしまった。その鍵となったのが当時まだ10歳の王女であったシャルル・ド・ヴァロワである。彼女は自ら指揮をとり国内の有力者達ををまとめあげ見事アルマンダル政権を打ち破り連立政権を樹立、まだ幼い王女は周りの人々の助けを得ながら共和国を今日まで導いてきた。あれから19年、王女は立派な女王へと変貌を遂げていた。
法を司る彼女のイメージは【厳格】そのものだ。悪に対しは勿論、自分にも非常に厳しい事で有名であり、それがまた彼女への信頼を厚くする要因でもあった。
だから今回の事が余計に理解出来ない。
「話を聞く限りじゃ女王はかなり良識のある人物に思えるけどな」
「アタシも同じ認識よ。だけど実際罪も無い私達は追い詰められているわ」
自由を侵害されたミカは固い決意と眼差しだった。そんなミカを心から尊敬する。俺はもしかしたら何かの間違いじゃ無いのか?とか話せば分かるんじゃないのか?などと考えてしまう。
ミカは事実と結果だけを見て芯を捉えている。俺みたいにブレないし、本当に自分を大切に考えているんだなと感じる。日本人気質というのかただの性格なのかどうにも自己犠牲寄りの思考回路になりがちで、これが己の不幸を招いている事は重々承知しているがどうにもクセ付いている。
「来たわ」
ミカが静かに口走る。
暗闇の中、小高い木に潜み厳重な城を見張っていたがついにその時が来た。女王の寝室は城の中央、その中でも【女神の塔】と呼ばれ神聖な領域として女王以外の立ち入りが許さていない場所がある、寝室に魔法の灯りが灯され、女王のシルエットが暗闇に浮かび上がる。
さぁ、陵辱の時間だ。




