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それぞれのそれぞれ

——ディアブロオアシス——

「と言う事は工期を半分以下に減らせる…となると建設を前倒しに…いや、先に全部運んでしまえば…」


宴もそっちのけでアイリーンは嬉しい誤算にさっきから半笑いでずっとブツクサ言っている。


「放っておけってイーヨ!飲め飲め!」

「ランボ君飲み過ぎだよ!」


そんな感じで宴は続いていたが、突然思わぬ喧嘩が勃発した。



「なぜ貴方に指図されなければならないのですか?」


「ご理解下さい、これは貴女の為です。ベルリネッタ嬢」



アイリーンとベルリネッタが激しい口論をしていた。お互い一歩も引かない姿勢で口論は続く。


「私はここに残ります。荷物の運搬なら月に一度ドラゴニアに行けば同じ事でしょ?何故私があっちに残らなければならないのですか?」


「貴女は恐らくここに馴染めません」

「何故そんな事を言い切れるのですか?ガヤルド様が一夫多妻なのは私も受け入れています」


そしてベルリネッタは左手の薬指をアイリーンに見せた、それは悪魔の花嫁の印


「私はこの印と共にハーレムの第一婦人としての自覚が有ります。落ちぶれたとは言えこれでも元伯爵令嬢としての誇りも御座います。私こそガヤルド様のお側に居るべき立場です」


渦中の人であるガヤルドは朝からずっとベルリネッタと寝室に篭り、宴で大酒を食らって今は酔い潰れていた。


「であれば尚更です。ここに居る女は全てご主人様の所有物です。そしてこのオアシスも騎士団も余す事なくご主人様のモノです」


「そんな事は貴女に言われなくても心得てます」

「そしてご主人様はご自身の女達を騎士団の全員に分け隔てなく分け与え抱かせます」


「え…」


そう言うとアイリーンはいつもしている手袋を取り左手の薬指に黒く光る爪をベルリネッタに見せた。


「身も心も捧げる、それはご主人様の意思に沿う事。ご主人様は最強を目指すと仰いました。騎士団の運営や大規模なオアシス防衛機構の建設はその為に必要な事、この後始まる我々ゴアビッチと騎士団の乱行パーティに貴女は混ざれますか?」


ベルリネッタは言い返す言葉が見つからなく俯くしか無かった。


「ご理解下さい、ご主人様にとってもベルリネッタ嬢は特別な方です、しかし他の女達と差をつける事は決してしません、ご主人様は平等です。しかし本音を言えば心中穏やかでないと私は理解しています」


ベルリネッタは黙ってアイリーンの話に耳を傾けている。


「それら全てを把握して先回りし手を打つのが私の仕事なのです。正直貴女を他の男に抱かせたくない、これがご主人様の本音です」


「ごめんなさいアイリーン、貴女のことを勘違いしていました…謝罪します」


「勿体なきお言葉。今のうちにご主人様と寝室に移動してください。ランボ!ご主人様を寝室に」



——翌日——

「ガヤルド様、どうかアイリーンの言う事はちゃんと聞いて下さいね!」


「お、おう…?」


「じゃ、また1ヶ月後に来るから!ガヤルド君頑張って!ランボ君もアイリーンさんもまたね!」


そうしてアルゴノーツ男爵一行は帰路に着いた。馬車を見送るガヤルドと騎士団達。



「しっかしあのお嬢様もお前には頭が上がらなくなっちまったなw 結局アイリーン最強説はマジかもなw」



「いえ、あの方は紛れもなく本物の第一婦人ですよ」


「え? そうなのか?お前も悪魔の花嫁の印があんだろ?」



「あの方は朝コチラに到着してすぐにご主人様に寝室に連れて行かれそのまま夕方までハメ倒されたにも関わらず平気な顔で宴の準備をしてらっしゃいました。そしてあの口論の後、またご主人様を伴い寝室に行き朝までハメ倒された筈なのにケロッとしてらっしゃいました」



「……確かに、お前も他の女もアニキに2〜3時間もヤられると足腰立たなくされて失神させられてるもんな」


「ご主人様のデカさと激しさと来たらまさに暴れ牛そのもの、アレを全て受け止め満足させ、あまつさえ先に寝かせてしまうとは…」


自分は頭脳で、ベルリネッタはカラダと心で。役割の違いをアイリーンはそのように理解した。




——カルデモ冒険者ギルド 賞金首窓口——

(おい、見ろよ【モルベリーナ】だ)

(次の予約人は誰なんだ?)


ミカを遠目にヒソヒソと話すギャラリー達。



——ハーニーズカフェ——

「って感じでさ、すっごいジロジロ見られてヒソヒソ話すんの!」


「有名人じゃん(笑)ところで何その予約人(よやくびと)とかモルベリーナって?」


「モルベリーナは【死を運ぶ小悪魔】って意味よ、予約人は私に調べられた人は【棺桶を予約しておく必要がある】って事らしいよ」


「こっわw ミカが都市伝説みたいになってる」

「そう言うアナタも【ノワル・フェニックス(黒死鳥)】って呼ばれてるんだよ?」



「・・・・え、マジで?それって2つ名?」

「そうよ、アナタもわたしも」



炎の中から蘇る不死鳥フェニックスと対になる存在、おとぎ話では死を運ぶ不吉の象徴とされている黒死鳥ノワルフェニックス。え、超かっこいいんだけど。


「凄く嬉しそうな所悪いんだけど、2つ名なんて付いちゃったらから恐らく私達の首に結構な値が付いてると思うよ」


「でも悪名は無名に勝る、だろ?」

「出る杭は打たれるとも言うからね、取り敢えず狙う側から狙われる側にもなっちゃったって事だから心しておいてね。あなたハニートラップに弱そうだし」


「こんな可愛い小悪魔が隣にいるのに?ないないw」

「どうだか。とにかく油断しちゃダメよ、スパイクの件もあるんだから」



ミカがわざとスパイクを引き合いに出して俺の気を引き締めてくれた。


ふとガヤルドやイーヨを思い出す。

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