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お戯れで御座いますか?

「ねぇ!空を飛ぶってどんな感じ!?」


「初めて飛んだ時は解放、解き放たれた感じ、少し慣れてきたら軽くて息苦しく無い水の中を泳ぐ感じ、高い所で景色を見ている時は地面にいる全ての生物を見ると見えない鎖に繋がれてたのを実感する。かな」


「いいなぁ〜〜〜」


何てやり取りをしながらミカのオススメレストランに向かっている。取り敢えず冒険者家業はお休みにしているのはミノタウロスに凹まされたのとミカにご飯を誘われたらからだ。まぁキメセックのギャラで懐も結構暖かいし自分を労おうと思う。


「あ!そうだミカ、ちょっと寄り道していい?」

実は孤児院に寄付しようと考えていた。この前のミカの行動にはやはり考えさせられるモノがあった。勿論可愛いから気になるのもあるけど人として胸を打たれた。


この街には【麻薬王】【売春王】【賭博王】の三代勢力があり、特に麻薬王のキメセックは有害因子として国からも睨まれていた。


キメセック殺害後、地下牢から13人の子供達が救出されたと聞いた。身寄りの無い子ばかりであの孤児院に引き取られたらしいが、育ち盛りの子供が13人も増えると運営を圧迫する事は火を見るより明らかだ。ミカにイイトコ見せたいのもあるけど、13人の子供達はキメセク乱行パーティー要員としてコキ使われていたそうだが、その日々を考えるといたたまれない。せめて半分は孤児院に渡そうと思う。


孤児院でシスターに金貨20枚を渡してレストランへ向かう。ミカは特に大袈裟に反応せず黙っていた。多分自分がしている事は内緒にしたいのかな?その辺りは余り触れないでおこう。


その日はレストランで食事してこの前俺が騙されたBARに行って楽しくお酒を飲んで解散した。とても充実した1日だった。



——その夜——

ミカは黒装束に身を包みある場所へ向かう。昼間立ち寄った孤児院だ、そこには今金貨20枚がある事をこの目で確認している。


孤児院の裏手に周り窓から中を覗き込むと金貨を数えながら酒を飲むシスター2人が居た。


「麻薬王に出荷したガキがまさか金貨と共に帰ってくるなんて思わなかったよw」


「今度はそのまま売春王に売る予定だからウハウハだねこりゃあw」


酒を飲みながら下衆い会話を楽しむ2人のシスター、突然灯すライトの魔石が消え部屋は暗闇に包まれた。次の瞬間  ドシュッ!  バシュ!


再び部屋は明るさを取り戻した。2人のシスターが地面に横たっていた。ミカは鉤爪の様なナイフを逆手に持ち冷たくなったシスター達を見下ろしている。


ミカは知っていた。情報屋と言う商売柄ここのシスターが人身売買を裏の生業にしている事は承知していたが自身には関係の無い事だと割り切っていた。先日の社会奉仕も理事会命令だからやったまでだ。ただ、子供達が売られて酷い目に遭わされる事を何とも思わなかったワケでは無い。


昼間のショウの行動には驚いた。こんな事を本気でする人間がいる事に心底驚いた。賞金稼ぎなんてロクなもんじゃ無い。ショウは純情そうでは有るけど所詮は賞金稼ぎと思っていた。今回急に近づいたのはもう一回大金をせしめる気でいたからだ。


けど、昼間のあんなモノを見せられたら…少しくらいは考えが変わる。と、言うか正直言って少し胸を打たれた。正義を求めてジャーナリストになったけど現実は厳しく世界は汚かった。己の無力さを感じ情報屋に成り下がったけど、この孤児院の実態をここまで把握してて見過ごす事は出来なかった。


こんな事をしても一時凌ぎに過ぎない事も分かっている、それでも。



——翌日の朝刊——

孤児院でシスター殺害、マフィアからの献金、売り上げの証拠が上がり帳簿と人身売買リストが押収された。過去のリスト件数を遡るに今回の件は氷山の一角に過ぎないと思われる。


ミカは自室で少し満足そうにトーストを食べながら朝刊を見ている。久々に晴れやかな気分になれた。ショウが言っていた鎖が千切れ解放された気分だった。まぁ、空を飛ぶのはもっと気持ちよさそうだけど。


ジャーナリストになりたての新人時代を思い出していた、あの時の熱い気持ちが込み上げる。



———ラッキーハロルドの宿(124号室)———


ガチャ!  バァン!

「おはよーー!」


明るく元気な声と共にミカが俺のベッドに飛び込んできて抱きついてきた。これは全く予想していなかったと言うか夢にも思わなかった夢のシチュエーションだが、ミカはいつも予想外の行動を取ってくる。


「おーきーろー!!  ご飯食べに行こーー!」


この前下ネタ嫌いって言うから最大限気を付けている。が、しかしだよ?


①男の朝には朝立ちと言う現象がある

②さらに半裸の俺を後ろから背中を叩く

③=勃起不可避


俺を被うはずのシーツは足元で丸まって隠すモノが何も無い。背を向けてくの字になり隠すのが精一杯、これが今の俺の限界。



「ねぇ!起きて着替えて!」


後ろから俺を揺らすミカ。性的な事は嫌いじゃなかったのか?てかこれは性的に入らないのか?もうその辺のラインがわからん!


がしかしフルボッキだけは見られるわけにはイカン!これは完全に性的な部類だ。ここだけは死守だ!


ベッドからサッと降りて服を取りバサっと翼を出して自分を覆い、すぐにトイレに入った。ふぅ、何とか凌いだぞ。後は着替えながら治まるのを待つだけ、絶体絶命を乗り切った。



「ねぇショウ、マジメな話があるんだけど」


またなんか予想外の予感…

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