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罪悪感

早い物で冒険者専門学校を出てもう半年が過ぎた。 あれから色々あってトカーツ亡き後…いやまだ生きてるかな? あの領域の管理者は当然居なくなったので帝国は候補を募ったが誰もなりたがらなかった。給金UPや条件UPがあったにも関わらず【うんこ領主】と言われるのが嫌でガラ空きのままだった。そこへ名乗りを上げたのがイーヨだった。広大な土地と安定した給金を礎に男爵としての仕事の傍ら商会も兼用するとの事。



実は伯爵家騒動の後、ガヤルドは勿論【翼の男】も賞金首になってしまい迂闊に翼を出す事が出来なくなってしまった。幸い翼の事は誰にも言ってなかったのでバレる事は無かったがそれ以来徒歩が増えた。



後は伯爵家のご令嬢であらせられる【ベルリネッタ嬢】が勘当されてしまい【エンツォ・エッフ・ベルリネッタ】ではなくただのベルリネッタになってしまった。その子が今イーヨの元で働いている。つまりこの元トカーツ領、現在はイーヨ名誉男爵領でメイド兼商会のお手伝いもしている。ちなみに名誉男爵になったので苗字を決めないといけないらしく俺にアイデアを求めてきた。イーヨもベルリネッタも金髪だったし、ベルリネッタも羊の角がよく似合ってたので【アルゴノーツ(金毛の羊)】を提案したところ大変気に入ったらしく、商会名も【アルゴノーツ商会】にしてしまった。


俺はと言うと冒険者になる準備を整えていた。 いや、まだかよ!って感じだけどなかなか防具の最適解が見つけ出せずモタモタしている毎日だ。武器はブラックスミスのゴディバに作製してもらったこの双剣のガンブレイバー


【魔剣Evil Twin(エヴィル ツイン)】(邪悪な双子)


が案の定戦闘スタイルにバッチリハマっている。




しかし、この辺りもキチンと整備して区画分けし、適切にフンの処理さえすれば何の匂いもしない。むしろ森の爽やかな風が心地よい軽井沢みたいな避暑地だ。トカーツめ、アイツらホンット何もしてこなかったんだなと改めてわかった。



今日は久々にドラゴニア支部へ顔を出しに行った。


「お疲れ様でーす」

「これは翔平様、ごきげんよう。本日はどうされました?」


「あーそのー、アレからガヤルド達って何か連絡とかあったかなーとか思って」

「いえ、特にご連絡などは頂いておりません。かなり気にされてらっしゃるご様子ですね?」


「あははーまー気になるっちゃなるかなー」

「ふふ、少々お待ち下さい」


アスモデウス支部長は俺の気持ちを察してくれて水晶で何かを調べ出した。

「えーっとですね、この水晶では姿は見えませんがお元気で生きてらっしゃるご様子ですね」



正直ホッとした。ベルリネッタが毎日ガヤルドが流された方角に向かって悪魔に祈りを捧げてるからもし死んでたら何て言おうかと思ってた。 ま、アイツがそう簡単に死ぬとは思って無かったけどね! やっぱりね!



「後、こちらで増やされた隷属契約のベルリネッタさん?含めて現在 1.2.3.4.5.6人隷属契約者がいますね」

「え!? また増えてるんですか? アイリーンとランボ、それにベルリネッタで3人でしょ、あれから半年程で更に3人追加ですか」


「ええ、しかし従属契約は以前の3人のままですね、普通御自身を頂点に三角形型に増えるんですがガヤルド様はひし形に増えてらっしゃいますね」

「あのバカ牛はひし形www 相変わらず笑わせてくれるなw ひぃーーーww」


ま、相変わらずアイリーンに怒られながらやってんだろうなw しかしそれでもちゃんと教団の信者を増やして仕事してるアイツには頭が上がらない。



「支部長すみません、俺まだ従属契約1人だけで」

「いやいやいや! 御二方は本当に凄いですよ!ガヤルド様はご覧の様に信者を増やされてますし、翔平様には常に罪悪感を提供して頂いてますし」


ん? そうなの? いつも? みたいな顔をしていたら察してくれた。流石ジゴデキマン


「翔平様は鳥や豚を絞める時にすら罪悪感を感じてらっしゃるでしょう?下手をするとベルリネッタさんにすら罪悪感と責任感を感じてらっしゃいますよね?」


「まぁ…そうですね」

「ご契約された時から驚く程罪悪感を感じてらっしゃいます。対してガヤルド様はほぼ罪悪感など感じてらっしゃいませんが信者を多く増やしてらっしゃいます。これはどちらが優れているとかでは無くそれぞれが御自身の得意な事をされています」



この人本当に褒め上手だな。なんか心がジーンとしたわ。



「しかもトカーツを嵌めた時の悪魔ですら思い付かない悪魔的発想で陥れ、なのに罪悪感をも感じ、なのに復讐心も満たされると言う我々にとって高級料理のフルコースを3周した様な…あぁ思い出しただけでまた。ご馳走さまで御座いました」


いえ、お粗末さまでしたw 取り敢えずガヤルドが元気な事を伝えに帰るとしよう。



——アルゴノーツ領——

「本当ですか!!! あぁ…良かった。バアルゼブルよ感謝します」

ホント立派な悪魔信者だな。 この子ご飯の前と寝る前に必ず悪魔に感謝をしてるしね。


まぁその時彼女がご飯の周りを飛び回るハエを叩き殺したのを見て思わず

「あっ…」って言っちゃったけどね。



ま、とにかくアイツが元気そーなので良かった、俺も何だかつっかえてたモノが取れた感じで急に冒険欲が出てきた。そう言えばここ数ヶ月飛んで無かったし、久々に夜の散歩に出かけるとしよう。あんな伯爵の賞金首に怯えてどーするよ? 見つかったら空に逃げりゃいいじゃねーか。


そうだ、俺は自由で悪魔の使徒だった。




その日は夜が明けるまでいつまで飛んでいた

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