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どうぞご贔屓に宜しくお願いします

トカーツの一件からは特に何事も無く、ただただ日々の鍛錬に勤しむ毎日だが、牛の角と牛の足が生えたガヤルドは結構話題になった。



(何故角が生えたのか、何故足が生えたのか?)


「ああ、信仰してる悪魔から貰ったんだよ」



(何故牛なのか?)


「あ?知らねぇよ」



(その神の名は?教団の名は?)


「バアルゼブルって悪魔だな。ゾディアック教」



バカ正直に答えたガヤルドだが意外にも受け入れられていると言うか周りが悪魔に対してあまりアレルギーを示さなかった。元々攻撃力の高さに定評のある宗派ではあったらしいがオーガやリザードマンと言う様な一部の亜人が信仰する様なマイナー宗派はダサいみたいなノリで不人気だったらしい。


しかしイケメン高身長つよつよガヤルドのお陰で密かにフューチャーされ始めた。



—寮の食堂にて—

「て事は俺も隠さずバンバン表に出したほうが良いのかな?」


「逆に何で隠すんだ? 羽とかあんないいモン見せびらかすモンだろ?」


(コイツYouTubeしたらバズるんだろうな)




ガチャン!

「おっと、悪い悪い見えなかったわ」


「いいよ気にしないでくれ。あ、僕はあっちで食べるからここどうぞ」


金髪に近い茶色でくるくる巻き毛、まるで主人公が虐められるマーベル映画冒頭みたいなワンシーンが目の前で繰り広げられた。弱肉強食のこの世界に置いてイジメなど日常茶飯でそれを止める人も居ない。


席を取られたのはイーヨ、多分まだ10代じゃ無いかな? 何処かの小さい商会の息子らしい、この商会の息子パターンでここに入ってくるヤツは結構多く、理由としては純粋に冒険者としてお宝の仕入れができる様にと明白な理由だ。


まぁ、あの調子じゃイーヨは無理だろうな。1人で朝練したり誰よりも遅くまで訓練したり頑張ってはいるんだが・・・実は前にイーヨの怪我の手当てをした時にスキルツリーを盗み見た。インテリジェンスはそこそこ高いもののパワー系は皆無、アレじゃいくら頑張っても伸ばす才能の方向性が違いすぎて身に付かず無駄な努力そのものだ。属性も無属性で何の魔法も使えない。


仮にあんなひ弱なのでも信者としてなら利用価値があるのかな? その夜、空中散歩がてらアスモデウス支部長に聞きに行った。


「はい、信者は老若男女関係無く増やして頂けた方が有難いですが、やはり悪魔の【攻撃特化】と言う能力の特性上利用者は戦う方が多いですね」


「了解です、因み信者にするにはどうしたら良いんですか?」


「え? もう布教活動やるんですか?いえ、全然良いんですけどてっきり卒業後かと思ってたので」


信者にする為には魂の屈服が条件らしい。悪魔の眷属、つまり俺かガヤルドに心の底から負けたとか勝てない、尊敬、心酔、憧れなどの感情が芽生えれば良いらしい。また、例え口では逆らったり逆の事を言ってても魂が屈服していれば成立するので何とも判断が難しい所だ。


魂の屈服が見て取れたら【従属契約】を結べる。仮にその状態で相手と性交した場合【隷属契約】になり角、尻尾、羽のどれかをランダムで与える事が出来るらしい。隷属契約とはいわゆる【(しもべ)】で俺達は【主】になり、従属は従者となる。

て事は隷属契約は異性としか出来ないって事か。いや出来なくも無いのか…


「本格的に勧誘する訳じゃ無いんですけど、まぁ今の内に練習だけはしておこうかなと思いまして」


「いやホントに勤勉な方だ。肩の力を抜いてもっと気楽に行動して頂いて構いませんよ?ガヤルド様の様に」


確かにどうにも日本人気質が抜けないでいる。が、性分なので仕方ないかもしれないね



「はい、有難うございます。初めてなので成否は気にせず取り敢えずやってみます」



——翌日——


ガチャン

「何だよ居たのかよ、お前はここに居たら邪魔だろ?」


「あ、だよね? ちょうど今あっちに移動しようとしてた所さ」


いつもの光景でオチも決まっている寸劇だが今日ばっかりは違う結末になる。


ガチャン

「あ…ガヤルドさん…とショウさん」


「俺達はイーヨと話があるんだけどよ、お前邪魔だな?」


「あ、ですよね? ちょうど僕らあっちに行く予定があったんでココどうぞどうぞ」


ガヤルドの威圧感は半端無い。特に雄牛、しかも闘牛の角が体格と相待って似合い過ぎてて迫力が半端無い。コスプレ会場なら人だかりが出来ると確信出来る。


俺達はイーヨの前にドカッと座り食事を始める。

「俺はショウ、コッチはガヤルドだ」


「ももももちろん知ってるよ、キミらを知らないヤツはここに居ないよ」


「そっか、まぁ悪い気はしないなw」


「あ、えと、何か僕に用かな?」


イーヨは怯えてる、キョドる、目が泳いでいる、とにかく落ち着きが無い。



「イーヨ、落ち着け。俺達はお前に危害を加えない事を約束する。今後冒険者となってお前の商会と何か取り引き出来ればと思ってビジネスの話をしに来た。お前は取り引きするかも知れないお得意様予定だ。冒険者にとって商会は頭の上がらない相手だろ?」


この説明はイーヨを落ち着かせるには十分だった。事実商会ギルドに睨まれたら冒険者はやって行けない、なのにアイツらよく商会関係者に嫌われる様な事をするなといつも思っていた。


落ち着きを取り戻したイーヨだが少し項垂れて下を向いている。


よし、ここだ!


「ん? どした? 話聞こうか?」

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