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第五章 出雲の新天地

  出雲の朝

 島根県出雲、奥出雲の集落。朝霧が川面を覆い、緑の山々が朝日を浴びる。素戔嗚は櫛名田姫と結ばれ、新たな家を構えた。木々の間を抜ける風に、稲の香りが混じる。素戔嗚は家の前に立ち、集落を見渡す。替矢姫の面影が心をよぎるが、櫛名田姫の優しい笑顔がそれを和らげる。

「姫、この地は豊かだ。そなたと共に国を築く」と素戔嗚が静かに言う。

 櫛名田姫は朝食の米を手に微笑む。「尊、貴方の目には希望がある。出雲は私たちで輝くわ。」

足名稚命が現れ、笑う。「素戔嗚様、娘を幸せにしてくれ。出雲の民は貴方を王と仰ぐぞ!」

 若い出雲族が囁く。「尊の目はまだ悲しげだ…でも、櫛名田姫様がいるなら大丈夫だな

。」

 女官が米を運びながら言う。「この稲、尊の力でさらに豊かになるよ。神々が祝福してる!」

 素戔嗚は川辺に立ち、呟く。「替矢姫、そなたもこの地を見守ってくれ。俺は前へ進む。」


  神大市姫との出会い

 ある日、素戔嗚は山へ狩りに出る。深い森の中で、大山祇命の娘、神大市姫と出会う。彼女は鹿の皮をまとい、弓を手に気高く立つ。木漏れ日がその髪を照らし、まるで神々の使者のようだ。

「素戔嗚、噂の男か。出雲をどうするつもり?」神大市姫が鋭い目で問う。

「この地を豊かにする。そなたの力も借りたい」と素戔嗚が答える。

「ふん、口だけじゃないならいいけど。私の父は山の神だ。出雲を乱すなら許さぬ」と彼女が笑う。

 素戔嗚は彼女の気魄に惹かれ、「神大市姫、そなたの強さは出雲に必要だ。共に民を導こう」と手を差し出す。

 彼女は一瞬躊躇し、言う。「いいだろう。貴方の志、試させてもらうわ。」

 出雲族の猟師が遠くで囁く。「尊、あの姫と? 櫛名田姫様が嫉妬しなきゃいいが…。」

 素戔嗚は森を見上げ、思う。「この女も、姫の魂と共に俺を支えてくれるか。」


  大歳の誕生

 月日が流れ、素戔嗚と神大市姫の間に子、大歳が生まれる。集落の広場で祝宴が開かれ、太鼓が響く。櫛名田姫は大歳を抱き、優しく微笑む。

「尊、この子は出雲の希望よ。神々の子にふさわしい」と櫛名田姫が言う。

 神大市姫が笑う。「大歳、強くなるよ。私の血も流れてるんだから!」

 素戔嗚は子を抱き、「大歳、そなたは替矢姫の魂も宿す。出雲を守れ」と囁く。

 出雲族の老人が杯を掲げ、「尊の血、偉大な子だ! 出雲は安泰だな!」

若い女が囁く。「櫛名田姫様も神大市姫様も、尊を愛してる…複雑だね。」

 祝宴の火が揺れる中、素戔嗚は思う。「二人の姫と子…俺はもう孤独じゃない。」


  大国主命の登場

 出雲の港に、若き指導者、大国主命が現れる。彼は力強い体躯と鋭い目を持ち、民を惹きつける。素戔嗚は彼を家に招き、酒を酌み交わす。

「大国主、そなたの名は出雲に響く。何を求める?」素戔嗚が問う。

「尊、出雲を一つにしたい。貴方の力が必要だ」と大国主が真剣に言う。

「一つに、か。だが、笠との争いは避けたいと思う」と素戔嗚が目を細める。

 「笠の天照は強敵だ。だが、我々の米と海の力なら負けない!」大国主が拳を握る。

 櫛名田姫が穏やかに言う。「大国主様、争いより和平を。出雲は民の笑顔で輝くわ。」

 出雲族の若者が囁く。「大国主、すげえ気迫だ…尊と並ぶ男だな!」


 素戔嗚は大国主を見つめ、思う。「この男、俺の試練の続きか…神々の意志だな。」


  須勢理姫の縁

 素戔嗚と櫛名田姫の娘、須勢理姫が成長し、大国主命に見初められる。川辺の祭りで、二人は桜の木の下で語らう。春風が花びらを散らし、川面がきらめく。

「須勢理姫、そなたの笑顔は出雲の宝だ。俺の妻になれ」と大国主が手を差し出す。

 須勢理姫は頬を染め、「大国主様、父上の許しが…でも、心は貴方に」と答える。

 素戔嗚は二人の姿を見て、櫛名田姫に言う

。「娘が幸せなら、俺の悲しみも癒える。」

「尊、須勢理姫は強い子よ。大国主様と出雲を導くわ」と櫛名田姫が微笑む。


 出雲族の女が囁く。「須勢理姫様、美しい! 大国主様とぴったりだね!」

 結婚の儀が決まり、民が叫ぶ。「大国主様、須勢理姫様、永遠に栄えろ!」


  出雲の繁栄

 須勢理姫と大国主の結婚後、出雲は豊かさを増す。田に稲が実り、海は魚で溢れる。素戔嗚は港に立ち、民の笑顔を見る。

 「尊、貴方がこの地を救った。神々に感謝だ」と足名稚命が言う。

 「父上、出雲は貴方と大国主様で輝くわ!」須勢理姫が笑う。

 大国主が肩を叩き、「尊、笠との戦いが来るかもしれない。準備を」と囁く。

素戔嗚は海を見つめ、「戦いか…姫たちのためなら、俺は戦う」と決意する。

八咫烏のリーダーが叫ぶ。「尊の国、俺たちの弓で守るぜ!」

民が一斉に叫ぶ。「出雲万年! 素戔嗚様、須勢理姫様、栄えろ!」

夕陽が港を赤く染め、素戔嗚は思う。「替矢姫、そなたもこの平和を見るか。俺は生き続ける。」





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