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幻想奇譚

【番外編】水面鏡

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

事実よりも虚構を愛する生き物なんですよ。

多少の夢があった方が良いじゃないですか。

ふと、なんの気無しに遠出をしたくなった。作り物めいた現代的な世界から解き放たれて、ありのままの自然を享受したくなった。きっかけはそんな些細なものだった。


私は電車を乗り継いで、とある神社を訪れる事にした。自然が多くあって、目に入る人工物が少なければ少ない程良い。けれども結局この場所を選んでしまうのは、私の性なのだと思う。

真っ赤な太鼓橋を渡るその最中、ふと、鮮やかな光景が目に止まる。静謐な池の間取りがそこには存在していた。

もっさりと生い茂った木々の葉、それを下から受け止める様に緑の水が広がっている。木々と水場では良く見られる光景だ。何も珍しくはない。けれども、やはり惹き付けられる。私の視線は現の木々よりも、水面に映った虚構の世界に向かっている。

鏡で写したように同一の光景ではあるが、波紋が生じて揺らめくその様が、輝いて見える。時折水底から浮上する錦鯉が、池の森を鳥のように切り裂いて泳ぐ。

木々が揺らめく子とはなち。鯉が空を飛ぶ事はない。けれどもこの水面ではそれが出来る。全てが虚構で出来ているからこそ、この世界は美しい。

そこまで幻想に浸ったあと、ふと、自分の目的を思い出した。私は作り物めいた現代的な世界から離れたかったのだ。ありのままの自然を享受したかったのだ。あぁ、けれども結局は、虚構の世界を愛している……。

ふと、そよ風が私の頬を撫でる。波紋が広がって、水面鏡の世界を乱しにかかる。そして静かに囁かれた気がした。


この世界に無いから美しいと思えるんだ。手が届かないから良いと思えるんだ。この世界に齎されてたら、枯れてしまうから。萎びてしまうから。その儚さ、脆さが尊い。


「……」

全くもってその通り。

本日の感想。

もし波紋のない池ならば、京都の床紅葉と同じ光景が見れるかも知れない。

そう思ってつらつらと書かせていただきました。


木々が揺らめく事も、鯉が空を飛ぶ事もありません。

全て水面だからこそ出来る芸当です。

でもだからこそ、綺麗だと思うんですよ。

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