出張にて
10日の福岡出張の日。仕事中も時々坂本さんとメールしながらちょっとわくわくしている私。
椿には事務所での仕事を任せてある。定時の6時を過ぎれば自由だ!!
夕方になり、坂本さんとは一度お互いにホテルにチェックインしてから待ち合わせしようということになった。
私はスーツを脱ぎ、黒のラインストーンがついたTシャツに膝上丈の裾に2段のフリルがついたスカートに着替えた。
あれ?!私キメすぎてない?!と鏡の前で思うが
『ダサ過ぎて後悔することを考えるなら、キメ過ぎて周りと差がつくほうがカッコイイ』
という変なポリシーがある私は最近買ったゴールドのクラッチバッグに財布と携帯だけ入れ、普段は面倒でほとんど塗らない口紅を塗った。
やはり椿のようにハンカチやティッシュはバッグの中に入ってない。あと私が入れているのは香水の小瓶くらいだ。
「すみません。お待たせしました!」私はつけたばかりの香水の匂いをまき散らしながら小走りに坂本さんの所へ行った。
坂本さんもデニムにシャツにロレックスの時計とエルメスのバッグといった崩しすぎないファッションで私を待っていた。
「お店こっちだから。今日は疲れただろうから沢山飲んでいいからね!お酒強いんでしょ。」
「ありがとうございます。私今日は疲れてるから沢山は飲めないかもしれないです。」と、
その言い方じゃ飲む気満々じゃないか?私。
お店は綺麗な和風の居酒屋で、掘りごたつの個室が用意してあった。
「なんかいい感じのお店ですね!始めはビールでしょう!!」とまたもや飲む気満々の私。
そんな私を笑顔で見ながらビールを頼んでくれた。
「食べたいもの何でも頼んでいいよ。食べ切れなかった分は僕が全部食べるから。運動してたからさ、かなりの量今まで食べてたし。はは。」と笑う坂本さんをよそに私はTシャツから出た二の腕から手のひらにかけてのすばらしい筋肉に見とれていた。
腕が私のふくらはぎ位ある・・・。いざ二人で対面で座ると緊張してあまりまともに顔が見れなかった。話が途切れるのが怖くて私はいつもの倍くらいしゃべりまくった。
坂本さんは外見の通りに良く食べ、よく飲み、よく笑った。
「仕事じゃないからさ、今は舞ちゃんって呼ぼうかな。僕は皆に智ちゃんって呼ばれてるから。」
「私にトモちゃんって呼べってことですか?年上の人にちゃん付けなんて恥ずかしい・・・。呼べませんよ。」
と照れながら私は智ちゃんと呼ぶ努力をした。
しょっぱなから変に緊張してぎこちない話し方になっている私に気づき、智ちゃんは
「なんかさっきから緊張してない?もっと自分出していこーよー。」と陽気に笑っていた。
1件目の店では自分をやはり私も緊張して、酒も回らずで2件目は私が知っているバーにいくことになった。
そこは外国人が経営しているバーで、地元の学生や、外国人男性目当ての日本人女性、外国人など国際的なバーだった。私たちは奥のソファーに座った。
どれくらいの距離を置いて座ればいいのかいまいちわからないがとりあえず30センチ位はなれて座った。洋酒が大好きな私は好きなカクテルを頼み、智ちゃんの分も英語でオーダーした。
「舞ちゃん英語話せるんだね。もっと話してみてよ」と智ちゃんが少し近寄ってきた。
「ハロー、アイアム マイ!これでいいですか??」
「そんなのオレでも言えるよ!もっとすごいヤツ・・・。」とばかな話をしながら内心は少し近づいてきた智ちゃんにドキドキしていた。
「オレの前の彼女も舞ちゃんみたいに海外が好きで英語も話せてかなり活動的な人だったな。オレ試合があったからさ、遠征とか何とかで忙しくってね。海外行ったり、クラブでワイワイ騒いだり、コンパしたりっていう若者の遊びをしてないんだよなぁ~。」
前の彼女の似ているってことは私も少し気に入ってるのかな?!でも
そんな甘い期待を寄せて飲んでいた。二人とも何杯も飲んだ。
「敬語もやめようよ。お酒の場で気を使うのもやだし。ね、舞ちゃん。」
「うん。わかった。ありがとうございます。」と少し和んできた。
私はさすがに酔ってきて、眠くなっていた。そしてお酒のせいもあったのかこのまま智ちゃんと朝までいたらどうなるんだろ・・・。とぼんやり考えていた。
「眠そうだね。出ようか?」と智ちゃんに言われ、はっと目が覚めた。
「は、はい。出よう。」と敬語混じりの返答で私たちは店を出た。
私は酔いを覚まそうとコンビニで水を買った。
よろよろする私と大きな智ちゃんが並んで歩いている。はたから見ればカップルなんだろうけど智ちゃんはそんなわけには行かない人だもんな・・・。と歩いていた私の手を智ちゃんがすっと握ってきた。
「ん?!手?」と私が恥ずかしがっていると
「いやだったかな?転んだらいけないから。」と前を向いて智ちゃんは歩いていた。
手をつないだくらいで恥ずかしがる年齢じゃないか。もう26だし。
さてこの後、智ちゃんはどうするんだろ。でももう少し居たいな。でも部屋に誘うのはおかしい。
と考えていたら
「ホテルで缶チュウハイでも飲みますかぁ~。」と智ちゃんが言ってきた。
「うん。そうだね。あ、私の部屋広いから一緒に飲む?」とまた何も考えずに、いや、少しは考えて言ってしまった。
「あ、オレ行っていいの?じゃ、そっちにいこうかな。」
私の予約したビジネスホテルに着いた。
「ここのビジネスホテル大浴場付でベッドも広いでしょ~。最近出来たばかりで楽天トラベルでみつけたんだよ。いいでしょ。」といいながら私はベッドに座る。
智ちゃんどこに座るんだろ。と思ったら何も気にしてない感じで私の隣に座って乾杯した。
「3次会までやるとは、俺達も酒強いよなぁ。」
時計を見たら夜中の2時を過ぎていた。
隣を見るとすごく筋肉質で優しい男性。こんな近くでこんな筋肉質な人見たことない。元ハンドボール選手かぁ~、私ラッキーだなぁ。
なんて思いながらふと、この後って・・・っといろんなことがよぎった。
1.智ちゃんは飲みすぎて寝てしまう
2・智ちゃんは自分のホテルに帰る
3.一夜を共にしてしまう
さぁ、どれになるだろう。
酔いと疲れと自分のホテルに帰ってきた安心感で一気に眠くなってきた。
まあなるようになるさ・・・。気を使いすぎて疲れた。
「横になっていいですか?もぉ~きつくて・・・。ごろーん。」
とベッドに横たわる私を智ちゃんは笑顔で見ていた。
その数分後、
「オレも。疲れた。ちょっとだけ横にならせて。」と隣に横たわった。クイーンサイズのベッドに大人が二人寝るのは余裕だ。
智ちゃんが寝返りを打ってこっちを向いた。ゆっくりと私の方に手が伸びてくる。
大きな手で私の肩を抱いて引き寄せる。一気に目が覚めるが、
この大きな厚い胸でちょっと抱っこされるくらい良いよね・・・と思いながら目を閉じていた。
そのまま智ちゃんは顔を近づけて、私は目を開けたがその時には智ちゃんの口が私の唇に触れていた。
優しいキス。
智ちゃんの暖かい大きな体に包まれて、やわらかい唇とほんのり香る甘いお酒の香りと彼の香水の香りに体の力も抜けていった。
そのまま自然に舌が入ってきて、激しいキスに変わり、お互いに待ちきれなかったかのように時間を忘れて貪り合った。
「オレ、舞ちゃんのこと好きになってる。」
「え、でも、智ちゃんとは・・・。」
どうしよう。この流れは間違いなく・・・。
智ちゃんはまた私を抱き寄せた。今度はゆっくり彼の手が私の胸に近づいている。
服の上から私の胸を触り、それからブラのホックを外して私のTシャツを脱がせた。
「恥ずかしいよ。こんな姿見られたことないのに。」と布団にもぐる私。
「じゃ暗くしよう。」と智ちゃんもTシャツとデニムを脱いだ。
もりあがった肩の筋肉、胸囲100センチは超えているだろう胸板の厚さ、締まったウエストとヒップ。
水泳選手のような逆三角形の体つきにびっくりした。水泳選手でなくハンドボール選手だった人なのだが。
以前、私はサッカーをしているかなり体格の良い男と付き合ったことがあったが、
そんなの比べ物にならない鍛え抜かれた体に見とれていた。
智ちゃんはすぐ私の隣に来て激しいキスをし、
今までの優しいお兄さんから『男』に変わった。