表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/17

第1章 第6話 採寸

「はぁ……っ、はぁ……っ」

「…………」



 平日昼間のデパート。荒い息と涎を口からこぼしながら歩いているメイド服の女と、その首輪から伸びるリードを引いている男の2人組が闊歩していた。



「通報不可避!」

「ちゅー……ちゅーしませんか……?」



 なんだこの不審者集団は……! ていうかなんで興奮してんだよアンちゃんは……締め付けられるの嫌いとか言ってたのに……いや待てよ。



「いいか、アン。メイドはご主人様に逆らっちゃいけないんだ。マンガもそんな感じだっただろ?」

「さ、逆らえない……!? え、えっちな格好で恥ずかしいのに抵抗できないなんて……ぅへへ……」



 だからなんで興奮してるんだって……こういう時だけ世間の常識わかってるし……でもいい。これである程度コントロールできる。でも我慢させ続けると無理矢理押し倒されてキスされかねない。そうなったら本格的に通報される……!



「……とりあえずこの店にしとくか」



 デパートの中にあるレディースの販売店を指さす。本当なら中古店がいいが、後々を考えると長く着れるものがいいし、値段も比較的安め。何より下着の中古なんてないだろうし、この状態で店のはしごなんて無理。この店に絞ろう。



「何かおさがしで……」



 だが店に入った直後、大学生らしきお姉さんの店員の動きが止まった。しかも通報する気かバックヤードに戻ろうか悩んでいる感じだ。逃げるか止めるか……仕方ない。



「あの……普通の! 服を探してるんですけど……」

「ふ、普通の! 服ですね、かしこまりました……」



 意を決して話しかけると、向こうも意を決した感じで応対してくれた。よし、これなら大丈夫。とりあえず汚れが目立たないように……。



「黒の下着試着させてくれませんか?」



 ……あれ? 変態発言すぎない?



「じゃあ……採寸からしましょうか」



 だがギリギリセーフだったのか、店員さんはにこやかにそう答えてくれた。しかしアンちゃんが俺の背中に隠れて動かなくなってしまった。



「……どうしたの?」

「……やっぱりいやです。締め付けられるのもうやです……」



 そして問題発言。これには店員さんからも笑顔が消えたが、俺もそうだった。



「……ごめん。嫌ならやめようか」



 結局俺は昨日と同じことをしていた。嫌だってずっと言っていたのに、無理矢理連れ出していたんだ。下着はつけた方がいいし、あんな服で街を出歩くのはありえない。でもそれは、世間の常識だ。アンちゃんはそれでもいいと言っていたのに。



「これは俺のわがままだ。アンちゃんが嫌なら無理してやる必要はないよ。ただ……昨日の奴らみたいに他の人に……そういう目で見られたくなかった。そんな俺の、勝手なわがままなんだから」

「……えーじくん」



 俺の言葉を聞いたアンちゃんが、一歩前に出る。



「わたしがんばります……。やっぱりいやですけど……えーじくんがわたしのことを気遣ってくれるなら応えたいですから……。その代わり、いつかわたしのわがままも聞いてくださいよ?」

「うん……がんばる」

「ではこちらに」



 俺たちの会話を遠くから聞いていた店員さんがアンちゃんを試着室に連れていこうとする。だがアンちゃんが俺の腕を掴んだ。



「一人はいやなので……一緒に来てください」

「え?」

「え?」



 俺と店員さんの困惑も虚しく、3人での採寸が始まった。

ランキング入れさせていただきました! ありがとうございます!!! そろそろざまぁ展開も入れるのでお楽しみに!


おもしろい、続きが気になると思っていただけましたら☆☆☆☆☆を押して評価とブックマークしていってください!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ