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銀の皇太子と漆黒の聖女と  作者: 枢氷みをか
第二章 ユーリシア編 第一部 嚆矢濫觴(こうしらんしょう) 

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来訪者・前編

「…ずいぶん体がなまったな」


 久しぶりに体が自由に動けるようになって、ユルングルは開放感に浸って背伸びをする。


 病に倒れてから七日、ユーリシアが目覚めてからさらに七日が経った。その十四日間、体が思うように動かず束縛を余儀なくされた忌々しいベッドを見下ろして、ユルングルは勝ち誇ったような笑みを落としながら首や腕周りの筋肉をほぐしている。


 久しぶりに地につけた足に、心許さはもうない。

 若干、体にだるさを感じたが、これは病の所為せいと言うよりも、なまった体の所為だろう。すっかり痩せ細った体は元通りとまではいかないまでも、幾ばくか肉付きがよくなり血色もよくなった。病が回復した時のこの開放感は、同時に病みつきになるほどの爽快感を味わえるから悪くはない、とユルングルは思う。


「…あまりご無理はなさらないでくださいね。病が治ったわけではないのですから」


 そう、完治したわけではないのだが____。


 開放感に浸っていたユルングルは、急に現実を突きつけられて忌々しそうにダスクを軽くめつけた。


「……開放感に浸るくらい大目に見ろ。こっちはままならない体を十四日間も持て余したんだ。十四日だぞ!暇で暇で狂い死にしそうだったんだ」

「…程々になさってくださいね」


 心底、腹立たしそうに告げるユルングルを、ダスクはくすくすと一笑に付す。

 いつもなら必要以上に心配を押し付けるダスクだが、ここ最近は比較的、自身が抱く心配よりも、ユルングルの自主性を重んじてくれる。それはラン=ディアがそう諭したのか、あるいは病についてユルングルに何かしらの負い目を感じているためなのかは判らないが、どちらにせよ必要以上に心配して過干渉にならないのは非常に有難かった。


「少し体の調子を診てみましょうか」


 言って、ダスクはベッドに座るよう促す。大人しく指示に従ったユルングルの手を取って、ダスクはいつも通り己の魔力を体内に流した。


 神官式のこの診察をユルングルは苦手としていたが、ダスクに限ってはその嫌悪感が出ることはなかった。

 ラン=ディアの診察も、他の神官に比べればまだ随分ましな方だと思ったが、ダスクに至ってはくらぶべくもない。体の中を無遠慮に這いずり回りあの不快な感覚が皆無に等しいのだ。

 聞けば、ユルングルの魔力の流れに合わせて自身の魔力を流しているのだと言う。原理はよく判らないが、今まで心中穏やかではいられなかった神官の治療行為が、ようやく苦痛ではなくなったことに心底、安堵する。


「…ユーリシアの様子はどうだ?もうここでの生活に馴染んだか?」


 診察をするダスクに構わず、ユルングルは声をかける。

 答えはおそらく是認ぜにんだろう。あれからユーリシアは毎日のように部屋をおとなうようになった。ユルングルの体調をおもんばかってか決して長居することはなかったが、いつも他愛のない話をして辞去するユーリシアのその表情の変化を見れば、推測に間違いはないはずだ。


 何よりこの街の連中が放っておくはずもないことを、ユルングルは嫌というほど承知していた。

 自分がこの街に来たばかりの頃は辟易するほど構ってきて、人馴れしていない自分などはどうすればいいのかひどく困惑したほどだ。


 この街に馴染ませるには、あのお節介な連中に任せるのが一番手っ取り早い。彼らの手にかかれば、強制的に馴染まされる。だからこそ、わざわざ弟として紹介させたのだ。

 いつまでも暴走したことを負い目に感じて部屋に籠もりっきりでは、正直こちらも気が滅入って仕方がない。


 ダスクは診察をしながら、くすりと笑って答えた。


「ええ、クラレンス卿やユーリとよく工房に行っておりますよ」

「あの連中が放っておくはずないからな。馴染めないはずがない」


 くつくつと笑うユルングルを、ダスクは微笑ましく視界に入れる。


「…何だ?」

「…いえ、ずいぶんユーリシア殿下を気にかけておいでのようで、安心いたしました」

「……暗い顔して居座られる方が不快だろうが」

「そういうことにしておきましょうか」


 心外な言葉をかけられて、あからさまに眉根を寄せながら不快を表すユルングルを、ダスクはたまらず失笑する。それがなおさら腹立たしい。

 こいつはいつもこうだ、とユルングルは思う。こちらが不快に思うであろうことを理解しながら、あえてそれを選択してぶつけてくるのだ。意地が悪いことこの上ない。


「…お前は意外に性格が悪いな」


 俺に対してだけは、と心中で思うに留める。


「おや?今頃お気づきになりましたか?」


 言って、悪戯をした少年のように挑戦的な笑みをたたえるダスクを、ユルングルは恨めしそうに睨めつけた。そんなユルングルがまた面白くてダスクは再び笑いながら、未だ不快げに目を細める彼の細い手を離す。


「…ずいぶん良くなりましたね。体は良好です。ですが___」

「無理をするな、だろ。もう何度も聞かされた」


 耳タコだ、と呆れたように息を落として、ユルングルは仏頂面のまま視線を外す。

 少しからかいが過ぎたか、と困ったように笑みを落としながら立ち上がるダスクの背に、語気を強めた言葉が降ってきたのはそんな時だった。


「…それで?」


 突然問われて、ダスクは意を得ず困惑気味に視線を返す。


「俺は一体いつになったら自分の病名を聞けるんだ?」


 その問いかけに、ダスクは思わず目を丸くした。


「…意趣返しですか?ユルングル様こそお人が悪い」


 揶揄するように言ったが、ユルングルの表情は変わらない。ただ無言のまま、強い視線だけを返すユルングルに見逃すつもりはないのだと悟って、ダスクは小さく息を吐いた。


「…貴方の病名は、血友病と言う血液の病です」

「血液…と言うと万有の血が関係しているのか?」


 相変わらず察しのいいユルングルに、ダスクは感嘆の息を漏らしながら頷く。


「…この病は万有の血保有者にしか発病いたしません。理由もきっかけもなく突然出血するのがこの病の特徴です。しかも厄介なことに出血はその殆どが体内で起きるため、外からでは気づきにくい」

「…万有の血との相性は最悪だな」

「はい。小さな出血であれば問題ありませんが、大量に出血した場合は時間との勝負です。ですが勘の鋭いユルングル様であれば、すぐに気づかれるでしょう。少しでも不調を感じましたら、おれかディア、不在であればダリウスにすぐご報告ください」


 ユルングルは頷いて続けざまに問いかける。


「…治療法はあるんだろう?現状は難しい、とだけキリアから聞いている」

「…ウォクライ卿から?」

「話す機会があったからな。お前が口を噤むからそれ以上のことは教えてくれなかった。…お前に忠実なようだな」


 その言葉に、珍しく照れたような、反面困ったような笑みを見せて、ダスクは答える。


「治療法はあります。ですが実現は不可能に近い。ないものとお考えください」

「言え。治療法は何だ?」


 再び強い口調で問いただすユルングルを、ダスクは視界に留める。一瞬、躊躇したが、ユルングルの強い眼差しに負けて、ダスクは再び嘆息を漏らした。


「…他の万有の血保有者の血液を大量に輸血することです。それ以外の完治はありません」


 この言葉は、ユルングルにとって死の宣告に近い。だからこそダスクは伏し目がちに答えたが、帰ってきた声の調子はダスクの想像とだいぶ違って、意外に軽やかだった。


「なるほど。ただでさえ稀なこの万有の血保有者を探す必要があるのか。確かにこれは事だな。ラン=ディアですら会ったことがないと聞いた。…保有者の情報は何もないのか?」


 言って視界に入れたダスクが目を瞬いていることに、ユルングルは怪訝に思う。


「…何だ?」

「…いえ、存外落ち着いておられるので…」

「嘆いて絶望感に打ちひしがれた方がよかったか?」


 いつものように憎まれ口を叩いて、ユルングルは意地の悪そうな笑みを落とす。

 この憎まれ口が今はたまらなく嬉しい、とダスクは思う。病に倒れて以来、弱々しい姿に不安を駆り立てられて内心穏やかではいられなかった。やはりユルングルは口が悪いくらいの方がいい。


「落ち込んだところで、現状何も変わらんだろう。落ち込むくらいなら最初から聞いたりしない。時間の無駄だ」


 そうきっぱり言い放てるユルングルの強さが好ましい。

 ダスクは笑みを一つ落として、誰にともなく頷いた。


「…先ほどのご質問にお答えいたしましょう。今のところ存在が確認されている保有者は貴方を合わせて三名です。ラジアート帝国現皇帝とそのご子息、そしてユルングル様。帝国の皇族によく保有者がお生まれになりますが、彼らはあてにはなりません。現皇帝に他の保有者を助ける意思はない。…それは貴方の母君、ファラリス様が病に伏された時に嫌というほど実感いたしました」

「…皇妃も同じ病にかかったのか?」

「…万有の血を保有される方は、十中八九この病にかかります。…かからない方が、稀なのです……」


 急に言葉尻を濁して、ダスクはバツが悪そうにユルングルから視線を外す。

 その様子を見止めて、ユルングルはウォクライの言葉を思い出した。


(貴方の病に関して負い目を感じておられるのです)


 おそらく、皇妃の病に関係する何かが、ダスクにとっての『負い目』なのだろう。

 病名と同じように問いただしてもよかったが、ウォクライはいずれダスクの口から告げるだろう、と言っていた。ならば心の整理がつくまで待つべきだろう。


 ユルングルはダスクに気づかれぬほど小さくため息を一つ落とすと、そうか、と短く答えて話題を変えてやる。


「…そういえばラヴィが車いすを卒業したようだな」


 情報源は当然ユーリシアだ。聞いたのはつい昨日のこと。まだ杖を突く必要があるが、少しずつ慣れしていけば十日も経たずに杖すら必要なくなる、と嬉々として話していた。

 ユルングルにとっても自分の身代わりとして怪我を負わせた手前、この報告は喜ばしい。


 問われたダスクは、突然話題を変えられて怪訝そうな表情をしたものの、内心安堵したように言葉を落とした。


「え…ええ、クラレンス卿の傷もずいぶん良くなりました。もう問題ないでしょう」

「そうか、完治するまでは無理をさせるなよ。あいつはダリウスと同じで侍従根性が染みついているからな。よく見張っておけ」


 相変わらず自分のことを棚に上げて他人の心配ばかりするので、ダスクは内心呆れながらも思うに留める。

 そもそも自分も人のことを言えるような立場ではないので、苦言を呈せば藪蛇になりかねないだろう。そう思って、あえて黙して語らずの姿勢をとったが、そんなダスクを知ってか知らずかユルングルはおもむろに立ち上がって、軽く背伸びをした。


「さて、そろそろ客が来そうだな。俺はしばらく外に出る。この周りをうろついているから用があれば呼べ」

「…客、ですか?」


 病み上がりのこの体で外出するつもりでいた事にも驚いたが、耳に入れていない来客の話を持ち出されて、ダスクは困惑しながら反射的にオウム返しする。そんな怪訝そうなダスクに、ユルングルもまた困惑げな表情を見せた。


「…お前の客じゃないのか?……いや、俺の客か…?」


 ひとりごちるように呟くユルングルに、ダスクは引き続き眉根を寄せて怪訝な顔を向けた。


「…一体、何のお話をされているのです?」


 言ったところで、扉を叩く音が聞こえて、二人はそろって目線をそちらに移す。


「ユルングル様、シスカ。客人ですよ。…例の御仁です」


 声の主はラン=ディアだ。彼が『例の御仁』と言えば一人しかいない。


「…なぜ彼が来訪することをご存じだったのです?」


 ダスクは目を瞬いて尋ねる。

 ユーリシアがここに滞在するようになってから、ダスクの魔力感知はほぼいていないに等しい。そこら中ユーリシアの濃く強い魔力が漂い、さながら強い光が小さな光の感知を妨げるように彼の能力を封じていた。それは同じ神官であるラン=ディアも同じで、どうあっても彼の来訪を事前に知ることは不可能だった。

 ふみでも寄越していれば話は別だが、彼はマメに寄越すような人物ではないだろう。


 怪訝そうな視線を送るダスクを一蹴するように、ユルングルは呆れ顔で答えながら扉に向かって歩みを進める。


「ただの勘だろ。…行くぞ、あいつを待たせるとうるさい」


 言って、部屋を出ていくユルングルを、ダスクは放心したように視界に留めた。


(…勘、だろうか……?)


 勘というものは、本人の経験則から直感的に導かれて閃くものだ。今までは確かに勘と呼べるものだっただろう。だが、誰かが来訪する、という類は勘ではどうにもならない。定期的な来訪であれば可能だろうが、彼の来訪はいつも無秩序だった。これは勘と言うよりも予見に近い。


 まるで教皇を彷彿させるユルングルに、懐かしさと一抹の不安を感じながら、ダスクはユルングルを追って部屋を後にした。


**


 応接室に入ると、すでに我が物顔で腰を下ろしている『例の御仁』と後ろに控えるその従者の姿が視界に入って、ユルングルは忌々し気に眉根を寄せる。

 奥にはすでに二人の応対をしているダリウスが歩くユルングルの姿を見止めて、安堵の表情とわずかに不安げな視線を送っていた。


「ダリウス、こいつに茶を出す必要はないぞ」

「ずいぶんな言い方だな。今日はお前のために来てやったんだぞ?ユルングル」


 恩着せがましい言い方に、ユルングルはなおさら不快さを深める。

 そのまま上座のソファに腰を下ろすユルングルの前に、ダリウスは無言のまま慣れた手つきで紅茶を置いた。


「でまかせを言うな。大した情報もないくせに」

「ご名答!…と言いたいところだが、外れだな。…正確には半分外れで半分当たり、と言ったところか。…それよりも病に伏したと聞いたが思いのほか元気そうだな。…少し痩せたくらいか?」

「死ななくて残念だったな」

「一度くらいは弱ったお前を見てみたいもんだ」


 言って、くつくつと笑う赤黒い髪の男に不愉快そうな視線を残したまま、後ろに控えるダリウスに声をかける。


「…ダリウス、俺が死んでも絶対にこの男にだけは遺体を見せるなよ」

「…縁起でもないことをおっしゃらないでください」


 二人の憎まれ口の応酬に内心呆れながら、ダリウスは口を挟んだ。

 この二人の会話は一事が万事こんな調子で進む。どちらも口が減らないのだ。似た者同士がゆえの会話の応酬だろう。

 ダリウスにとってはすでに見慣れた光景だが、病み上がりということもあってあまり長引かせないでほしい、と人知れず願う。


「ゼオン、ユルングル様は病み上がりです。要件があるなら手短に願えますか?」


 ユルングルと共に部屋に入ったダスクは、まるでダリウスの心中を察したように所望する。

 前回はゼオンとできる限り目を合わさぬよう、あえて冷たい態度をとっていた節があったが、今のダスクにその様子はない。どうやら前回の訪問でダスクの内心にあった頑なな心がわずかばかりでも和らいだようだ。


 だが、その要望もゼオンには届かないらしい。


「それは難しい注文だな。今日は長丁場になると思ってくれ」

「…難しい案件か?」

「難しいと言えば難しいが……そういえばお前の弟はどうした?ここにいるんだろう?」


 はたと気づいたように、ゼオンは周囲を見渡す。

 相変わらず耳が早いことに、ユルングルは感嘆を通り越して、うんざりするほどの呆れ顔を作った。


 一体どこから情報が洩れるのか、といつもながらに思う。ユーリシアは暴走したあの日以来、この遁甲の中から一切出ていないのだ。加えてこの街の住民全員に、レオリアの存在を外部の人間に漏らさぬよう、緘口令かんこうれいも敷いた。なのに、この男の耳にはどうあっても届くのだ。


 人の口に戸は立てられない、とはよく言うが、一度でも誰かが口にしたことは、おそらくこの男の耳に届いてしまうのだろう、とユルングルは思う。


「…ユーリシアに何の用だ?」


 自然と警戒するように、ユルングルはゼオンを注視する。

 今もまだ、ユーリシアの寿命については何も伝えてはいないのだ。だが、おそらくゼオンの耳には入っているのだろう。せっかく秘匿にしているところを、ゼオンに邪魔されては元も子もない。


 だが、そんなユルングルの内心を知ってか、ゼオンは揶揄するように笑って見せた。


「…何だ、警戒しているのか?殺そうとしたくせに今じゃすっかり兄貴面だな」

「統括っ!だから言い方に気を付けてくださいってばっ!」


 あまりの言いざまに空気が一瞬張り詰めたのを感じて、アルデリオはたまらずゼオンをたしなめる。

 だが、これしきの事で態度を改めるゼオンではない。場の空気が悪くなってもどこ吹く風で、彼はくつくつと笑っている。


「まさかお前が皇族を許すとはな」

「許したわけじゃない。こっちにも事情がある」

「獅子としての使命、か?そんなものただの言い訳だろう」


 そんなことまで知っているのか、とユルングルは忌々し気に嘆息する。

 この男の前では秘密も意味を為さないと判ってはいるが、それでもすべてを語るには不適切な人物だろう。ユルングルは軽く舌打ちすると、何も言わずにただ見据えるに留めた。


「…まあ、いい。俺はお前がフェリシアーナ皇国を潰してくれれば何も言うことはないさ」

「…ずいぶんこの国を嫌っているようだな」

「当然だろう。俺もお前と同じ低魔力者なんでな。魔力至上主義なんて、くそくらえだ」


 そこまで言ったところで、ゼオンはふとダスクからの視線に気づく。

 何かを言いたそうなその視線の意味を悟りバツが悪そうに視線を外すゼオンを見止めて、ダスクはやれやれ、と小さくため息を落とした。


「…そろそろ本題に入りましょう、ゼオン。用向きは何なのです?」


 ダスクの言葉に、ゼオンは珍しく不承不承と答える。


「いいからユーリシアを呼べ。本題はそこからだ。そのうちあいつも到着する」

「…?まだどなたか客人が…?」


 怪訝そうに問うダリウスの言葉と同時にユルングルはその来訪者が誰かを悟って、勢いに任せて席を立った。


「お前…っ!あの男を呼んだのか…っ」


 思わず出たその声音には、戸惑いとも憎しみとも取れる色が滲み出ている。


 これだけの情報だけで来訪者が誰かを言い当てられるのは、おそらく教皇かユルングルくらいなものだろう。

 ゼオンは内心、魅せられたように感嘆しながら、不敵な笑みを落とした。


「相変わらずお前の勘は神がかってるな。二十四年待ち焦がれた相手だろう?せっかくお膳立てしてやったんだ。思う存分楽しめ」

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