大事の天秤<後編>
人は脆い。
そして、儚い。
どうしてだろう。
私をみてくれる人がほしくて、
現れてくれた。
私も大事にしたかった。
絶対に、迷惑なんてかけたくなくて、
ただただ楽しくいたくて。
だけど、無理なんだ。
幸せを手にしようとしたから。
自分の嫌な部分を捨てて、楽になろうとしたから。
だから
バチが当たったのかな。
嫌な自分。
暗くて病んでる自分を
誰にも見られたくなくて
自分で自分を見るのもすごく嫌で。
そんな私を受け入れられる人なんて
存在しないって知ってる。
分かってる、のに
「もう、しんどい」
彼の顔なんて見れない。
こんなこと、絶対に絶望される。
頭では分かっているのに、
もう心臓がずっと痛くて
涙が止まらない。
「私は誰にも大事にされないの。
だからどうやって大事にすれば良いかも分かんない。
私は貴方の気持ちに答えられない。
私は、貴方を傷つけることしか出来ない...」
だから、もう離れたくて。
これ以上、私の心を見られたくなくて、
知られたくなくて。
それでも彼は
私の涙がとまるまでずっと
私の側で
黙って私を抱きしめてくれていた。
「もう、大丈夫だよ」
その彼の一言が
私の心に
光を射してくれていた。