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一夜の夢に他ならず

温かみのある煉瓦造りのちいさな建物にステンドグラスの窓が付いた木製のドアがあった。

住宅街だったやもしれないし都会の路地裏だったかもしれない。


ドアを開けるとまず目に入ったのは大きな梟、それからバーカウンターと赤いカーペットだ。

玄関口には段差があり脇には靴がいくつか入った靴箱があったので靴を脱いで上がるのだと理解でき、足が少し沈む赤いカーペットは靴下越しに心地いい感触を与えた。


木製のバーカウンターの向こうにいる何かに促されカウンターの席に座って辺りを見渡すと、思いのほか広く思ったよりも客が来ているようだった。


奥の壁際に身を屈めて全体を見ているインディアンのような色彩の民族衣装を纏った大きな梟は店内を見守る様に佇み


カウンター席から通路を挟んだ小上がりで炬燵に入っている白と水色のニット帽とセーターを着た金髪碧眼の子供と母親は白いマグカップで何か飲みながら笑みを浮かべ合い


小上がりの店の奥側にいる姿の見えない4人組は何やら楽しげに飲んでいた。


構造と見た目がチグハグではあったが落ち着いてる様で賑やかで暖かい所だ。


見えない店主から酒を貰ってすぐ後に来た黒いコートを着た黒い人とちびちびと飲んでいると、チャイナ服の様なものを着た2人組が喧嘩をしながら入ってきた。

白髪で長い白髭を蓄えた老人と老人とどこか似た雰囲気の若い青年は、判別できない言語で罵り合い、いよいよ殴り合うかと一触即発な雰囲気を醸し出しはじめた、そのとき大きな梟が衣装をひらひらさせながらその大きな羽を2人の間に伸ばし仲裁するかの様に2人を離した。


2人は気まずそうに店主に謝り、見えない店主は嬉しそうに笑い大きな梟と私の間にある席に促した。


老人は何処からか酒を取り出し青年と飲み始めた。私と梟も少し頂戴して少し話した。


店主からドリアが差し出され、小上がりの方にも宙に浮かぶ様に配られた。

それからビックリほど大きなピザを皆で喜んで分けて食べた。

美味しかったとみんなで食べた。


しばらくして、そろそろ帰らなくてはとふと思い帰ることにした。

玄関口の段差に座り靴を履きながら自分の着ているパーカーと店内の人達の格好を思い出して少し不思議な気分になってひとりニヤけた。


立ち上がってドアに手をかけてから振り向くとみんなが「またね」と手を振ってくれた。


私も「またね」手を振ってドアを押した。



私は寝ていた。

とても暖かい夢だったと忘れたくない思い出だったと、忘れないように書き留めた。


2019年6月2日のこと

今でもこれだけ思い出せる

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