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20 謎の声 続編

  

“ほほう、それは面白そうだ。だが、今は商隊の護衛(別の仕事)中だ。後でも行けるか?”


“ふむ、おそらく大丈夫じゃとは思うが…護衛の仕事には数日かかるのじゃろう。お宝の価値は今やっている仕事より断然上じゃから、普通はそんなのは放り出して先に確保したくなると思うのじゃが、それでも今の仕事を優先するのか?”

 

“ああ、そうだな。アニスたちには世話になってる。放り出して行ったら、お宝を手に入れても、楽しくなくなるじゃねぇか。そんなの意味ねえだろ?”

 

“なるほどのう。そなた、損な性分じゃな。でもよかろう。面白くなってきたぞ。わしが見込んだだけのことはある。では、お宝探しは今の仕事とやらが終わってからにしよう。それまでに、そなたの持っている力を伸ばす手伝いでもするか”

 

“持っている力を伸ばす手伝い?”

 

“ああ、まずはそなたの剣の使い方じゃな。それと【肉体強化(ボディブースト)】【毒針(ポイズンニードル)】、他にもスキルがあるのか?”

 

“他によくわからないスキルは、【飛行(フライ)】【爪牙(クロウファング)】【鋭敏感覚(エクステンドセンス)】【呪術(ソーサリーマジック)】【精霊(シャーマンマジック)】といったところか”

 

“なるほどな。よし順番に説明してやろう”

 

 魔剣がマートに説明したのは、こんな内容だった。

 

精霊(シャーマンマジック)】 

 

   精霊を使役する技能。精霊との親和度がスキルレベルとなる。

   使用するためにはまず、精霊と出会い、契約を結ぶ必要がある。

   精霊によって出来ることが違い、火の精霊であれば、物に火をつけたりできる他、炎を塊にして相手にぶつける(ファイヤーアローやファイヤーボールなど)、金属を熱する(ヒートメタル)、炎耐性レジストファイヤーといったことがお願いできる(お願いできる範囲は親和度による)

   

飛行(フライ)

 

   空を飛ぶことができる。スキルレベルによって飛行速度が異なるが、★2つでは軽く走る程度、★3つで全力疾走より少し早い程度の速度で移動できる。

   

毒針(ポイズンニードル)

 

   毒の針を飛ばしたり、近くに居る相手に針を刺したりできる。毒の強度と、攻撃可能範囲、攻撃可能数についてはレベルによって異なる。★2つで普通の人間が即死する程度の神経毒を出すことが出来るが、毒の耐性について個体差があり、どの程度にするのかはかなりの熟練を要する。毒の強度を弱めたり、レベルが高くなれば睡眠毒や麻薬に似た効果を持つ毒を出すことも可能。

 

爪牙(クロウファング)

 

   爪や牙が伸び、鋭さが増す。★1でも薄い鉄の鎧程度なら貫通することができるほどの強度をもつ。

 

鋭敏感覚(エクステンドセンス)

 

   ★1で暗視能力や望遠能力といった視覚、★2で犬猫並みの聴嗅覚、触覚を得る。★3まで行くと人が見えない感覚(赤外線や紫外線、音波の波など)を得、壁の向こうなども透視できる。

 

呪術(ソーサリーマジック)

 

   痛覚を感じさせたり、幻を見させたりといった五感に対する幻覚のほか、歩けない、話せないといった暗示による呪いを与えたり、魔物に変身させたり死体を操ったりする魔術。

 

肉体強化(ボディブースト)

 

   筋力や反射神経など肉体を強化して、持ち上げられるものを増やしたり、速度を上げたりすることができる。スキルレベルによって強化度合いが違う。

 

 

 

“へぇ、どれも凄そうだな。でもまだどれも★1なんだよな”

 

“そのあたりは、どうせ一緒におるのじゃ、剣などもそうじゃが、細かくアドバイスしてやろう”

 

“口うるさいのは勘弁してくれよ”

 

-----

 

 マートがそんなやり取りをしていた頃、後方の馬車では、女性3人組が馬車に揺られていた。

 

「お嬢様、シェリーさん、どうもありがとうございました。ほんと、油断してました。巨大な蜘蛛に食べられちゃうなんてぞっとします」

 

「どうして、草むらになんて行ったのよ」

 

「ちょっとトイレに……行きたくなっちゃって」

 

 ジュディに聞かれ、クララは頬を指で掻く

 

「屋外の、特に町から離れたところでは、いくら街道沿いとはいえ、注意しなくてはいけないということですね。私も今回の件では勉強になりました。そして、斥候役の重要性についても再認識しました」

 

「そうなんだ、シェリーは(キャット)と2人で行動したのよね。どうだった?」

 

「あ、はい。彼は凄いです」

 

「凄いって、何が凄いの?」

 

「彼はまったくの闇でも目が見えるみたいでした。クララが川から草むらに入った足跡にも気付きましたし、クララが引きずられた跡も追跡できたのは彼のおかげです。あの闇で、彼が居なかったら何もできなかったでしょう」

 

 シェリーは、マートが夜営地に報告に向かい、独りで置いていかれた時の心細さを思い出してぶるっと身体を震わせた。

 

「へぇ、シェリーさんは、(キャット)ちゃん、お気に入りになっちゃいました?」

 

 クララがにやにやしながらそう聞いた。

 

「はい、彼は頼りになります」

 

 真面目なシェリーの言葉に、クララとジュディは目を合わせて肩をすくめた。

 

「じゃぁ、(キャット)ちゃんは合格ですね」

 


-----

   

 以降の行程では、特に襲撃などもなく、フィンレイたちの商隊とアレクサンダー伯爵の次女であるジュディの一行は、予定通りリリーの街に到着した。

 

(キャット)、次の仕事の予定って入ってる?」

 

 護衛連中の解散が済み、報酬をうけとったマートに、ジュディはそう声をかけた。

 

「今のところ、予定は入ってないが、金も入ったし、ちょっと用事もあるので、2週間程休もうと思ってる」

 

「そんなに休むの?頼みたい事があるのだけど」

 

「うーん、上手くいけば1週間ほどで用事のほうは片付くとおもうんだが、少しは休みたいしな」

 

「とりあえず、用事を済ませたら、私に連絡を頂戴。次の仕事入れないでよ。冒険者ギルドに連絡先は伝言しておくわ。いいわね?」

 

「ああ、わかった」

 


読んで頂いてありがとうございます。


2020.5.30 飛行技能、鋭敏感覚の説明をすこし書き足しました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 待てよ?… マートはクララの痕跡を調べたんよな? そんで、クララは草むらにおしっこをしに行ったと…(๑ ิټ ิ)ヘヘッ …マートなら気づいただろ…クララのおしっこの痕跡を!( ゜д゜)クワ…
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