表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/411

18 ヒュージスパイダー退治

スキルは【】呪文は『』という表記に変更・統一しました。

 

「とりあえず、明かり(ライト)呪文がかかった矢を、巣にしている林一帯に撃ち込めばいいんだな?」

 

「そうね。きちんと当てなくても、そのあたりに撃ってくれたらそれでいいよ。ジュディ様の話だと、明かり呪文の効果範囲は20mぐらいあるみたいだからさ、それを考えて付近が明るくなるようにしてほしいんだよ。そうすりゃみんな普通に戦える。でもさ、ホントにちゃんと撃てるようになったのかい?その弓矢って盗賊たちから巻きあげた戦利品だよね?それに、矢じりが光るのにちゃんと狙えるのかい?」

 

「姐さんは心配性だなぁ、大丈夫さ。あれから毎日クインシーに習ったんだ。俺は暗くても明るくてもちゃんと見えてる。遠くもよく見えてるからかなり筋が良い、射手としても通用するって言われたんだ。まぁ、いいよ、どっちにしても、試せばわかるだろ。じゃぁ お嬢頼まぁ」

 

 ジュディは、マートが構える矢の矢じりに明かり(ライト)呪文を唱えた。あたりがぱっと明るくなる。その状態のまま、マートはひゅっと矢を射る。その矢は真っすぐ飛んで、200mほど先の木に刺さった。彼がヒュージスパイダーの巣だといった小さな森の真ん中に立っている木だ。そのうっそうと茂った枝の下に、白い繭がいくつもぶらさがっているのが光の中に浮かび上がった。

 

「うわっ……」

 

 その光の中でわさわさと細い脚をもつ何かが蠢いた。救出組の面々から気持ち悪いものを見たという感じの声が上がる。

 

「お嬢、次」

 

 マートは次の矢をすでに構えていた。

 

「うまく行きそうだから、9本同時にかけるわね」

 

 ジュディはマートがつがえている矢と、矢筒にある矢に一度に明かりの呪文をかけた。

 

「疑ってたのかよ。まぁ、いい。ほらいくぜ」

 

 マートが撃つ矢は、ヒュージスパイダーが巣にしている林の回りの地面に次々と突き立った。あたり一帯が明るく浮かび上がる。

 

「じゃぁ、シェリー様、そして戦士連中は一緒に行くわよ。蜘蛛の毒にはくれぐれも気を付けて。もし、掠ったりしたら、声を出すこと。呪文で解毒するからね。ジュディ様と(キャット)は援護よろしく」

 

「様は要らないわ。アニス、あなたが今回のリーダーよ」

 

 ジュディはそう言った。

 

「あいよ、じゃぁ行くよ。『防護(プロテクション)』」

 

 アニスは剣を抜きつつ、防御力を高める防護呪文を自分も含めシェリー、ジェシー、グランヴィルにも使った。

 

(シールド)

 

 ジュディも一定量ダメージを防ぐ呪文を4人に使う。

 

 援護魔法をうけた4人は、明るく照らされた蜘蛛の住処に近づいていった。

 

 そして、その前に立ちふさがったのは、脚の幅でいうと5mを超える巨大なヒュージスパイダー1匹と、数え切れないほどの2m程の小ぶりなヒュージスパイダーだった。

 

「大きいのは、私が行く」

 

 シェリーは盾を構えつつ、巨大なヒュージスパイダーに相対する。

 

「わかった。じゃぁ、私達は小さいのを片付ける」

 

 アニス、ジェシー、グランヴィルの3人は、シェリーの周りを固めながら、小ぶりのヒュージスパイダーたちにむかってそれぞれの武器を構えた。

 

 ヒュージスパイダーは1匹だが、子供のヒュージスパイダーはそれこそ数え切れないほどの数が居た。しかし、周囲が明るく照らされた戦いは、マート達が優勢だった。巨大なヒュージスパイダーの速度に致命傷こそ与えられないものの、シェリーの剣の腕は確かだったし、途中何度か前線で戦うアニスたちの背後に回る蜘蛛も居たが、それらはジュディの魔法の矢と、マートの矢によって牽制されるため、不意をつくことはできなかった。

 

“後ろじゃ”

 

 戦っているマートの頭の中にそういう声が響いたのは、子供のヒュージスパイダーの数がかなり減り、もうそろそろ決着がつくんじゃないかと皆が思ったときだった。咄嗟にマートは後ろを振り返ると、目の前にもう一匹の巨大なヒュージスパイダーが居り、マートとジュディに襲いかかろうとしているところだった。

 

「お嬢、後ろに蜘蛛だ」

 

 マートは弓をその場に放り出して剣を抜くと、ヒュージスパイダーに向かって突き出す。その動きに牽制されて、相手は動きを止めた。マートはそのまま、蜘蛛をにらみつけるようにしながら、ジュディを後ろに庇う。

 

「お嬢様!」

 

 正面の巨大なヒュージスパイダーを相手にしながら、シェリーが叫ぶ。

 

(キャット)時間稼いで。シェリー、大丈夫だからそっちを焦らずに片付けて頂戴。ジェシーは子蜘蛛をさっさと片付けてからシェリーの援護。グランヴィルは(キャット)のサポート、タイミングをみてスイッチして。ジュディ様はゆっくりと下がってください」

 

 すかさず、アニスが指示をした。

 

「あいよ」「はい、おねがいします」「了解」「OK」「わかったわ」

 

肉体強化(ボディブースト)】【毒針(ポイズンニードル)

 

 マートは口の中で小さく呟く。

 

 目の前のヒュージスパイダーの動きが止まった。そのタイミングを見逃さず、ジュディは攻撃魔法を唱えた。

 

魔法の矢(マジックミサイル)

 

 4本の魔法の矢が叩き込まれると、マートの前のヒュージスパイダーは、脚を縮め、くるんと仰向けになって動かなくなった。それとほぼ同時に、シェリーも、元から相手していた目の前の巨大なヒュージスパイダーに止めを刺した。

 

「やったっ」

 

 皆の歓声が上がった。

 

読んで頂いてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ジェシー、シェリー、ジュディ・・・混乱しそう。 そのうちワギューとジュシーが出てきて飯テロする可能性が・・・!?
[気になる点] おおっとー? またもや脳内音声という気になる伏線が・・・ 精霊との交信術開花か?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ