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188 激突2


「ライナス様!」

「おちつけ、自分の仕事を果たせ」


 ライナスの左腕をみたジュディの悲鳴にも似た声が上がったが、ライナスは短くそう叱咤した。

 

麻痺(パラライズ)


 ジュディの呪文を受けて、オーガナイト3体の動きがぎこちなくなった。その隙を逃さずマイク配下の騎士たちが彼らを囲み、槍を突き出す。オーガナイトはその槍を受けてぐぎぎっと唸って倒れ、動かなくなった。

 

魔法の矢(マジックミサイル)』 


 もう1人の魔法使いの攻撃呪文がクローディアを襲う。だが、その魔法の矢はクローディアが前に突き出した掌でかき消え、傷はほとんど残らなかった。

 

「精々★3ってところかな。それじゃ効かないよ」

 

即死(デス)


 クローディアの呪術魔法だ。オーガナイトの止めを刺した騎士たちの4人が急に倒れる。

 

「あーあ、魔法の素質無しか。だめだめ、それじゃ死にに来たようなものだね」


 そう言って、クローディアは笑う。


 痛覚呪文を受けて転倒したビルとハンニバルの代わりにフォローに入ったマイクが必死に槍でオーガキングの足元を突く。オーガキングはそれを避けようと動き、少しずつ下がらされた。その隙に治癒を受けたビルとハンニバルが足首をひきずりつつも立ち上がる。


「ちっ、くそっ。こっちは素質が2あるって言うのに」

「それでも抵抗できねぇのかよ」


 3人はなんとか武器を構え、巨大な石槌を肩に担いだオーガキングと対峙した。


 一方、片方の手が使えなくなったライナスは槍を捨て、剣を抜いた。


「せめて、馬に乗っていれば俺とも互角に戦えたかもしれねぇが、それじゃ、俺に勝つのは無理だぜ」


 テシウスはそう言いながら剣をライナスに振り下ろした。あまりの速度にその剣がぶれて見える

 

<速剣> 直剣闘技 --- 2回攻撃


「くそっ、舐めるな」


<虚剣> 直剣闘技 --- 行動キャンセル技 


 ライナスは、テシウスの手首あたりを狙い、斬撃の向きを変えさせて、攻撃を潰す。だが、テシウスの振りは強力でライナスの技でテシウスの攻撃自体は邪魔したものの、無理な姿勢となりよろめいてしまう。テシウスはそのまま肘を使ってライナスの構えを崩そうとする。1歩、2歩とライナスは後ろに下がり耐えた。


(キャット)、助けてっ”


 状況が不利と考えたジュディは近くに居るはずのマートに念話を送った。

 

----- 

 

 アマンダは矛をなんども振り、ニーナの毒針を全部打ち落とした。

 

「どういう仕組みかわからないけど、魔人を召喚した後は精霊を召喚するし、その魔人は毒針を飛ばしてくる、芸達者な事だ。面白くなってきたね」


「)#(!”*@」


 アマンダはオークウォーリヤー3体に何かを指示した。彼らは揃ってマートに向かって斧を振り上げつつ突進し始めた。目は血走り、口の端には泡まで浮かべている。

 

肉体強化(ボディブースト)

氷結(アイス フリージング)』 


 マートは一歩下がって身構えると呪文でオークウォーリヤーの右手を凍らせる。しかし、彼らはそれに怯むことなく斧を構えたままマートに体当たりをしようと進んできた。彼らの体重はそれぞれマートのおよそ5倍はあるだろう。マートはなんとかその場で3体を飛び越え突撃をやり過ごした。

 

 アマンダ自身は巨大な矛を振り回してニーナに襲いかかる。一番端をもって大きく振り回し、ニーナの足元を払ったかと思うと、手許に引き寄せると、高さを変えて何度も突く。矛はアマンダの手で撓り、それ自身がまるで生きているかのように跳ねた。その動きに合わせるようにして、ニーナも後ろに回転して躱し、ステップを踏み、まるで踊っているかのように躱す。そしてその合間に毒の尻尾から何度も針を飛ばし、アマンダを狙うが、彼女はそれも矛を振って打ち落としていく。

 

「やるね、ニーナ」


「あんたもね、アマンダ」


 そのすぐ横で、突進を躱されたオークウォーリヤーは振り返り、うぎゃぎゃっと叫ぶと、再びマートの居るところに突進し始めた。

 

「なんだ、こいつら。狂ったように突っ込んできやがる。狂戦士とか、そういう感じか」


<貫射> 弓闘技 --- 装甲無効射撃


 マートは素早く弓を構え、一番先頭のオークウォーリヤーの膝を射た。膝を射抜かれた個体はバランスを崩して転倒しそうになりながらも足をひきずりながら進む。マートは続けて他の2体のオークウォーリヤーの膝も射抜く。それでもオークウォーリヤーたちは斧を杖替わりにして、マートに向かって進み続けた。


「幾らやられても突っ込んでくるとか、ゾンビかよ。筋力とかも上がってるのかも知れねぇが、逆に攻めが単調だ。大したことないな」


 動きの鈍くなったオークウォーリヤーが近づいてくるのを待ち、マートは強欲の剣で一体の首を刎ねた。他の2体の攻撃も難なくかわし、続けざまに二体の首も薙ぐ。オークウォーリヤーの分厚い肉鎧を、以前は傷つけるだけでかなり苦労していたが、強欲の剣の斬れ味はすさまじく、骨の感触などもまるで感じられない。

 

 その横で、ニーナのカギ爪とアマンダの矛が何度も交錯する。

 

「ちっ、オークウォーリヤーが3体もいて、もうやられちまったのかい。情けないねぇ。こっちも矛の攻撃をカギ爪で全部弾くなんて、どんな魔人なんだい」


「僕に攻撃の隙を与えてくれないなんて、お姉さんなかなかやるよ」


 ニーナが構える。


「ちっ、いいねぇ、久しぶりに血が滾るってもんだ」


 アマンダは嬉しそうにそう言って、矛を小脇に抱え、左手を突き出した。

 

肉体強化(ボディブースト)


「いくよっ」


 魔獣スキルで肉体を強化したアマンダは、地を蹴り、ニーナに向かって一気に跳んだ。

 

肉体強化(ボディブースト)

飛行(フライ)


 ニーナも身構えて、迎え撃つ。

 交差する爪と矛。

 ガキンと音を立て、金属製の矛が折れた。ニーナのもう片方の手のカギ爪がアマンダを肩口から袈裟懸けに切り裂く。アマンダの身体は力を失い、そのまま地面にどさっと音を立てて落下した。

 

「なかなかいい勝負だったね」


 その時、マートにジュディからの助けてと言う念話が届いたのだった。

 


読んで頂いてありがとうございます。

 


誤字訂正ありがとうございます。いつも助かっています。

評価ポイント、感想などもいただけるとうれしいです。よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ニーナ、男前!
[一言] 女にも容赦ない。 だが、それが良い。 次は騎士を殺した女だ!
[気になる点] 状況が不利というか絶体絶命では… 色々甘く見すぎだったな
感想一覧
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