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猫《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】  作者: れもん
第22章 王都でのウィード男爵
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173 どうする?新邸宅


「というわけで、新しく邸宅を国王陛下から頂けることになった。今は交代で仮の門番が3人居るが、それも俺が正式に受け取るまでの話でしかない。どうしたら良いと思う?」


 ライラ姫との話が終わると、マートは魔法のドアノブを使いシェリー、アレクシア、エバ、アンジェの4人と、併せて12人の元魔龍同盟のメンバーも海辺の家から新しい邸宅に連れてきて、どうしたらいいか相談しはじめた。


「広いですね、部屋は何部屋ぐらいあるのですか?」


 シェリーはともかく、他の皆はこんなところは初めてみるという感じで見回っている。アレクシアがそう尋ねた。


「少なくとも30部屋はあるな。それも、この大広間とか超広くて、ちょっとした酒場よりよっぽど人が入れそうだ。他に地元から騎士団を連れて来ても大丈夫なように別棟の建物が2つあるらしい」


「掃除だけでも、5、6人ぐらい要りそうですね」


 マートの説明にエバはそう言って溜息をついた。

 

「洗浄呪文って、掃除とか洗濯とか出来るよな。俺もやるけど、今の研究の合間に手伝ってくれねぇか?」


「ああ、いいぜ」「いいよ」


 そう答えたのは真理魔法★1を持つ2人の魔人だった。1人はオウルベアの前世記憶をもつバーナード、もう1人はトレントの前世記憶を持つローラだ。2人共洗浄呪文を始め、いくつかの真理呪文が使えるようになっていた。

 

「魔法で掃除、洗濯ですか?それも、マート様いつの間に??」


 アレクシアが意外そうに尋ねる。

 

「ああ、ちょっと勉強してな」


 自分で勉強したわけではなく、ニーナのおかげで使えるようになったマートは焦りながら答えた。それも、シェリー、アレクシアたち4人には使える事は秘密にしていたのをすっかり忘れていたのに、自分から明かしてしまったのだった。

 

「マート殿には、秘密が沢山ありそうだ」


「そうだそうだー、モーゼルさんの事も隠してたっ」


 シェリーとアンジェがそう言い募る。

 

「モーゼルの事を隠してたって、12人保護してただけじゃねぇか」


「モーゼルさんは、(キャット)のことを、恋人だって言ってたよ?」


 アンジェの言葉に、マートは舌打ちをしながら、モーゼルを見た。彼女は眼を見開いて何の事かわからないといった表情だ。シェリーたち4人を海辺の家で待機してもらったのだが、その間に元魔龍同盟の12人とは仲良くなっていたようだ。

 

「だーっ、話がややこしくなってるじゃねぇか。この魔法のドアノブの事や、真理魔法の事は内緒にしてて悪かったが、どっちも奥の手だから、わざわざ説明することじゃねぇだろ。あと、モーゼルは俺の恋人じゃねぇ」


「本当ですか?」


「本当だ。モーゼルからも言ってくれよ」


「えー、恋人にしてくれないの?」


 モーゼルはにこにこしながらそう言い、マートが首を振ると、笑いながら舌を出したのだった。


「もぉ、しかたねぇな、じゃぁ、ついでに奥の手を言っておくと、神聖魔法もちょっとだけは使えるんだ。こいつも内緒だぜ。もちろん姐さんほどじゃなくて気休め程度だ。あと、王都に居ると噂として聞くかもしれねぇから先に言っとくが、エミリア伯爵やライラ姫も恋人じゃねぇからな」


「エミリア伯爵?」

「ライラ姫?」

「誰ぇええええ?」


 話はさらに錯綜し、マートはその説明にさらに長い時間を費やしたのだった。

 

-----


「じゃぁ、人が雇えるまでは、とりあえず門番はワイアットたち3人が交代で、掃除洗濯は俺とバーナードとローラ、料理と接客はエバとアンジェで頼む。シェリーとアレクシアは俺の手伝いだな。残りは他のメンバーの手伝いをしててもいいし、海辺の家に戻っててもいい。よろしく頼むよ」


 一応の担当が決まり、マートが一息ついていると、仮の門番の1人が来客を知らせてきた。窓から外を見るとジュディとクララの2人だ。

 

「ジュディとクララの2人も魔法のドアノブの話だけは知っているが、今さっき話したことは他の連中には内緒にしておいてくれよ。できるだけ隠しておかないと生き残るのすら難しいんだ。頼むぜ」


 マートが真面目にそう言うと、それが伝わったらしく、4人+12人も真面目な顔で頷いたのだった。


-----

 

「すごいお屋敷ねぇ、うちよりも広いんじゃない?」


 屋敷に入ってきたジュディは、マートとシェリーの顔を見てそう言った。

 

「ああ、かもしれねぇな。ちょっと事情があってな」


「これは、ライラ姫との関係を噂されても仕方ありませんね」


 クララがそうポツリと呟く。

 

「御期待を頂いてます、つーのが、公式なコメントだ。まぁ、実際何もねぇよ。このお屋敷も国王陛下から拝領したものだしな」


「そうらしいけれど、ライラ姫が色々と骨を折ったっていうのがもっぱらの噂よ。これを見ると疑いたくなるわねぇ、シェリーはどう思う?」


「先程も、エバさんとその話をしていた所なのです」


 シェリーはそう言って苦笑して見せた。

 

「ジュディ様、おいでいただきましてありがとうございます。こちらにどうぞ」


 エバが、どうぞこちらへと応接室のほうに案内する。他の連中はアレクシアやアンジェと共にいつの間にかどこかに移動してしまったようだ。

 

「エバも、久しぶりね。元気そうでよかったわ」


 ジュディはにっこりと微笑む。


「で、お嬢、急にどうしたんだ?」 

 

 世間話が切れたタイミングでマートがそう切り出した。

 

「すぐに相談しようとおもってたのに、いつの間にか魔術庁に居ないから、ブライトン子爵に教えてもらって来たのよ。実はね、年明けから、(キャット)にヘイクス城塞都市の近くまでの護衛をお願いできないか、ライラ姫にお願いしようと思っているの」


読んで頂いてありがとうございます。


評価ポイント、感想などいただけるとうれしいです。よろしくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[一言] あれ?ウハウハ介護生活は?( °꒫° )
[一言] 領地も貰ってしまったし、冒険者としては活動しないで国からの依頼で動く貴族として働くのかな?
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