第二章
第二章 秘密の恋
どうしてこんなことになってしまったのか両国考えていたことだった。
アルフォードと、アークフォルトが同盟国になったからなのだが、アースメイアが反乱を起こし、戦争になってしまった。
エミリーは、カイルと同じ城にいた。
しかし、戦争となるとそうはいかなかった。
カイルは、剣の腕が立つ人で、素晴らしかった。それに比べレノンは、文学のほうに秀でていたため、そこまで強くはなかった。
エミリーは、カイルが無事に帰ってきてくれるように祈りながら見送るのだった。
アースメイアと、アルフォードの境界線では、両国の王子が言い争っていた。
「おい、レノン。いい加減にあきらめろ」
「えー、やだよ」
「いい加減にしろ。決着付けるか?剣でな」
「望むところだ。死んだって知らねーからな?」
「お互い様だね」
とのんきに言っているレノン。
「一発勝負だ」
「どっちが先に斬られるか」
「いいだろう、いくぞ」
「ああ。」
二人の幼馴染は、エミリーをめぐって、最後の戦いをした。
「カキーン」
と剣が落ちた。片腕から血を流しているのは、カイルだと思いきや、レノンであった。
相当な出血量で、レノンは馬上から落ちて意識を失った。
カイルは、レノンを支え、自国に連れていき、手当てをしてもらい、医師からは、意識が戻るまで一週間程度だと言っていた。
そんなことから回想が始まる。
カイルの誕生日パーティーから二日後・・・。
カイルとエミリーは、部屋で謹慎中であった。
二人とも納得いかない様子で不機嫌であった。
「なんで、私がこんな目に合わないといけないのよ」
「なんで、俺がこんなことにならないといけないんだ」
お互いバルコニーで思っていることをつぶやいた。
カイルのバルコニーに伝書鳩のカルピンが足に括り付けたまま止まった。
カイルは、カルピンについていた手紙を読んだ。
そこには、謹慎中のエミリーからの手紙であった。
手紙にはこう記してある。
「カイル様へ、この手紙を読んでいるときは、あなたも同じ思いをしているでしょう。
レノンが仕組んだことは許せません。同盟国とはいえ、納得ができない。
私は一国の皇女としてあなたに伝えます。
私は、カイル様のことが好きです。あなたに会えないのはつらい。
私からのお願いですが、同盟を組んでほしいんです。
私とカイルが付き合えば、私は政略結婚になるが、同盟は組める。
そうすれば、レノンからはなんも言われなくなるわ。」
と記してあった。
なんて頭がいいんだと思ったカイルは、エミリーに返事を書いた。
「エミリー、君の言うとおりだ。俺は、言えなかったが、エミリーのことが好きだ。
ただ、敵国だからこんなことになってしまっているのだと思っている。
俺たちが結婚すれば、同盟国になれるし、レノンも納得してくれるはずだ。
俺も、なんでレノンのやつがこんなことしたのかがわからない。
だから、エミリー、俺の妃になってくれ。」
と書いたが、カイルが見直したとき、急にドアのノックが鳴った。
「コンコン」
「誰だ」
「ヨハンです」
ヨハン来たのかよ、待ってもらおう。
「ヨハン少し待ってくれ」
「かしこまりました」
その間にカイルは文書を丸め、カルピンに括り付けてエミリーの国に送ったのであった。
「ヨハン、入っていいぞ」
「カイル様、お話があります」
「なんだ?」
「レノン様のことで」
「レノンがどうした?」
「今のレノン様は何をしでかすかわかりません。」
「ああ。」
「慎重になられないと危ないですよ」
「ただ言いたかったのはそれだけです」
「わかった、忠告ありがとう」
「では、失礼します。」
ヨハンは去っていった。
これから、何が起きるのか不安だったが、エミリーのことも心配だった。
一方で、エミリーのほうはというと。
バルコニーで涼んでいた。
遠くにいるカイルのことを思いながら、まるでロミオとジュリエットのように。
「謹慎までいくなんて、お父様ひどいわ」
「でも、カイル様と結婚すれば、同盟国になるのかしら?」
「それならそれもいいかもしれないわ」
そう呟いていたら、カルピンが飛んできた。
「まあ、カルピン、手紙を??」
「クルックー」
となくカルピン。
エミリーは、カルピンにくっついている手紙を取って読んだ。
そこには、レノンの陰謀が書かれてあった。
「まさか、そんなことがあるなんて。」
エミリーはショックを受けた。
ただ、カイルが無事だということがわかり安心していた。
それから一週間後、二人は謹慎を解かれた。
久しぶりの外出で気分がいい。
少しして、馬車が急に止まった。
「何があったの?」
誰か立っているんです。と従事者はいう。
誰だろうと窓からのぞいたら、そこには、エミリーが会いたかったカイル・アルフォードではないか。
エミリーは、ドアを開け、カイルの胸に飛び込んだ。
「カイル、会いたかったわ」
「ああ、俺もだよ」
久しぶりの再会で、喜ぶ二人。
しかし、木の陰にはレノンがこっそりと潜んでいる。
まさか、そんなはずはないと思っている二人。
「おやおや、お二人ともお熱いことで」
嫌味たらしく言うレノン。
レノンの表情は、まるで人が変わったような感じだった。
「レノン、お前何のつもりだ」
切れるカイル。
「カイルがエミリーのことを好きになるのがいけないんだよ」
という。
「ただ単に屁理屈じゃないか。それはかんけーねーだろ」
「私は、レノン様よりカイル様のほうがいいわ」
あっさり振られるレノン。
「なんで、そもそもレノンがいるの?」
疑問に思ったのか問いかけてみる。
「なんでって、エミリーにあいたくてさ。」
「まさか、カイルがいるとは思わなかったけどね。」
いやいや、そもそもついてきている時点であぶねーだろ。
カイルはそう予感した。
「カイルとエミリーは敵国でしょ。」
「僕たちは同盟国なんだエミリーとは」
「だからと言ってエミリーは渡さねーよ」
とカイル。
実は、数刻前、エミリーとカイルは父、国王に相談しに行っていた。
エミリーとカイルは恋仲であるということと、結婚をする条件で同盟国になるという話をしていた。
国王は、うなずき、あっさり了承してくれたのであった。
そのことを知らないレノン。
知らないならそのままにしておこうと思った二人。
なんの知らないレノンは、怒り狂いこう言った。
「なんで、二人は敵国なのに仲がいいんだよ」
またか。と思う二人
ここで暴露するしかないね。
とこそこそ二人で話し合った。
国の大きさ的にレノンはかなわないことくらいは知っているはずだ。
カイルが笑いながらこう言った。
「レノンに伝えないといけないことがあってな」
「なに?」
「私、アークフォルト皇国第一皇女エミリーは、本日より、カイル・アルフォード皇子と婚約しました。」
「よって、私たちの国は、同盟国になりました。」
目をはるレノン。
「嘘だろ?」
「いいえ、本当です」
「お互いの父にも了承得ました。」
「なんていうことだ」
「そういうことだ、レノン」
「あきらめろ」
ガックシうなだれているレノン。
「これからは、三国とも同盟国になったからよろしくね?」
「エミリーは、これから、俺の国を行き来することになるから。」
「なんかあったら承知しないよ」
念には念をということをレノンに伝えた。
「もういいよ」
「二人で幸せになって」
そういって帰っていった。
何のことだったんだろう。とぽけーとする二人。
これから行き先を変えて、カイルの国に行くことになった。
カイルの父上が了承するほどの人だとしったカイルは、誇りに思った。
その後、カイルとエミリーは王宮に戻り、今回のことを報告した。
そのまま婚約の話は進んでいた。
一方で、アースメイア王国はというと。
「兄さま、カイルとエミリーが婚約したそうです。」
「ああ、知っているぞ」
「どうするんですか?」
「別によくないか?同盟国になったんだぞ、喜ばんか」
「そうですね。その通りだと思います」
しかし、二人の喜びはやがて、国をも巻き込む戦いとなってしまったのだった。
ノースメイアの王子たちは、どうしてもエミリーを手に入れたかった。
どんな手段を用いても手に入るならと策を考えていた様子。
エミリーとカイルには、二人のやっていることがすぐにわかってしまった。
すぐさま、国王に相談し、兵隊を集めてもらい、エミリーは、レノンに手紙を送った。
「親愛のあるレノン様。私に、どうしても会いたいならば、兵を集めて来ればいいわ。その代わり、あなたがやっていることは、国同士を
悪くさせることですわ」
とかいた。
その内容が、兄ジョシュアを怒らせてしまった。それを見たレノンは、怒り狂い、戦いを望んだ。
「いったいこれはなんだ。エミリーもカイルもふざけんな」
切れている二人・・・・。
そんな状態で、戦いの日を迎えるのであった。
戦いの日当日・・・・・。
エミリーは、朝から浮かない顔をしていた。
カイルとレノンが戦って、傷つくのを見たくないからだ。
「エミリー、浮かない顔をするな」
「だって、二人が怪我をしたらって思うとなんか不安になっちゃって。」
「大丈夫だ。絶対死にはしないさ。」
「ただ、レノンがどう出るかによってだ。」
「わかりました。お気をつけて行ってらっしゃい。」
見送るエミリー。
エミリーは、心の奥底ではカイルが勝つと思っているのであった。
一方、アースメイア王国とアルフォード皇国の境界線では。
すさまじい戦いが起きているのであった。
第二章完結