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欠けた世界のその先に  作者: 安久呂 流可
第1章 好きの無い世界への旅立ち
17/18

4-3

だとしたら、勝ち目がなかった。


結婚は出来る。

生まれた時に相手が決まっているのが、この国のルールだからだ。


だけど、私はマルクスの心も欲しい。


私にだけ優しくしてほしいし、私だけを見てほしい。

でも、今、マルクスの目に映っているのはアリーナだ。

苦しい。

こんなにもマルクスのことを思っているのに、それは届くことが無いのだ。

 


見たくはないはずなのに、二人を尾行する。

心のどこかで「二人は私に内緒でサプライズを考えているのかも」なんて、甘い考えを抱いているのかもしれない。



サイクリングコースを歩く途中、二人は林の中に入っていった。

尾行していることに気付かれてしまったのかと思ったが、違うようだ。


近くまで行くと、細い道があった。

遠くからでは見えない、近くに来ても決して「入ってみよう」などと思わないような道だ。

二人の姿は見えない。


この道を進んでしまったら、もう、後には引けない。

そんな感じがしていたが、足は奥へ奥へと進んでいく。



小屋のような建物が見える。

レンガ風の外観のそれは、お店のようにはとても見えなかった。



真っ白な壁に、大きな四角い窓。

建物の周囲には、緑の植物や花を植える。

というのが、一番清潔的で良いとされている。


実際に、この国のほぼ全ての店はそのデザインで出来ていた。

私がカタリーナとよく行くカフェもそうだった。

 


近くにあった窓から、中の様子を窺う。

二人が珈琲を飲みながら、楽しそうに談笑するのが見えた。



私には、詮無いことと諦めて帰る以外の道はなかった。



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