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グレンガイア国2
消え去った光の中には、二つの人影があった。
目を奪われるほどのまばゆい白と吸い込まれるような黒。相対する二色が一方は怯えたように、もう一方は警戒心をむき出しにして召喚の間に集まった者達を見ていた。
黒い腕が白い存在を守るように回され、小さな白い手は自分を守る者にすがりつくようにしてそこにある。
黒い存在は唸るようにその場に問うた。
「ここがグレンガイアという国だと、聞いた。国王と召喚士というのは、誰だ。」
呆けていた召喚士はそれで我に返り、慌てて影の前へと進み出ると己の地位と名を告げた。
「グレンガイア国王宮魔術団筆頭魔術師を務めております。名はクライデル。イーノス・クライデルと申します。我が国の国王陛下はあちらにおられる…」
「よい。自分で名乗らねば失礼に値するだろう。よくぞ参った二人の客人よ。グレンガイア国三十三代国王アルトロス・ソーレ・グレンガイアだ。我が国を救う聖女様…と、もうお一方は…?」