表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人質人材派遣派遣株式会社  作者: なかじまこはな
人質人材派遣
6/35

借金1千万できちゃいました!!1

「とろくて頭悪そうに見えるけぇ、無理じゃろ?」


無理じゃろ?


期待した言葉はたった今…粉々に砕けちりましたよキム兄さん。


やっぱり…そんな風に見えるんだな僕は。


だいたい、いつも第一印象って、


「日當君って良い人そうけど…頼りなさそう」


だし…、褒めるかけなすかどっちかにしろっていつも思ってた。


だから…彼女に……。


禁断の言葉が浮かびそうになり僕は頭を振る。


僕は…ダメ人間だもん。


絶対にバイト続くわけがない。


マイナス思考になると…僕はとことんマイナスに陥る癖がある。

やっぱり…断ろう。


「負のオーラ…出とう」

急にそう言われ、キム兄を見た。


「断る気やないやろうな?」


ニッコリ微笑むキム兄さんは目が笑ってません。

ハッキリ言って怖いです。


もう…走って逃げたいくらい。


うん、走って逃げよう!


僕は立ち上がると、キム兄さんを見もせずに走ってドアに向かった。


向かったつもりだったが、ドアが外側から開き、ドアがもろに僕にぶつかった。


「えっ?ごめん」


ドアを開けた誰かが顔を出した。


顔を出したのはティッシュを配っていた青年。


僕はドアにぶつかった拍子に尻餅をついたまま青年を見上げた。


「大丈夫?」


青年が手を差し延べてくれる。

優しい…こんなに優しい人も働いてるんだ。


いや…違う、きっとこの人もキム兄に強制的に働かされてるに違いない。


かわいそうに…それなのに他人にこんなに優しい。

人間が出来てるんだろうなぁ…。


キム兄は悪人に違いない。


どことなく極道の臭いがするもん。


「あの…」


青年が困ったような顔で僕を見ている。


僕は我に返り、大丈夫と笑って立ち上がった。


「本当にごめんなさい、よく見てなかったから…怪我とかない?」


青年は本当に申し訳なさそうに僕を気にしてくれている。


本当に優しい。


それに比べ…他の人達は。


早い所、逃げないと。


あの極道に捕まらないうちに。


僕が青年を交わしてドアに手をかけようとした時に、


「もう面接終わったの?」


青年が尚も話かけてくる。

確かに彼が僕にティッシュをくれたからココにいる。


返事を返してる暇はない…きっと彼とは仲良くなれたかも知れない。


違う場所で会いたかったな。


「うん」


僕は急いでドアをあけようとした。


「待て、忘れもんじゃ」

キム兄の声。


ドキッとした…どうしてこうも、この人の声は迫力あるんだろう。


「忘れ物?」


何か忘れたっけ?と振り向いた。


キム兄が何か指さしている。


指さす方向に手をつけてないコーヒーが入ったカップ。


まさか…飲めと?


「人が出した物を手をつけず帰るとは…ええ度胸じゃな」


僕を見る…目が…目が怖い。


それに…それいれてきたの僕ですよ。


「いや…あの、お腹いっぱいで」


僕は真っ直ぐに彼を見る事が出来ずにそう言った。


内心はもう…いっそ、このドアがどこでもドアで開けたらアパートの部屋ならどんなにいいか。


「僕、あの…やっぱり」

逃げ腰にそう言いながらドアノブをさりげなく回す。


タイミングを見計らってダッシュで逃げる魂胆だ。


「ドミ!」


キム兄が青年を見た。


ドミ?


僕がキョトンとしていると。


「はい?」


青年が返事をする。


彼の名前なのかな?


あ、コードネーム?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ